八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

159 / 244
「八木冬花の章 act4」

 

 

 

 

『デトネラット社代表取締役社長四ツ橋力也氏が、ヴィランへの物質供与の罪で逮捕されました。氏は、自身をリ·デストロと名乗り、かのデストロの後継者として、ヴィラン組織"異脳解放軍"のリーダーを務めている事が、捜査上で判明したと···』

 

『蛇腔総合病院理事長である殻木球大氏が、違法な人体実験を行っている事が判明し、昨日身柄を確保されました。激しい抵抗があった模様ですが、オールマイトやエンデヴァー·アイスメイカー等のヒーローによって、被害なく制圧されたと···』

 

『No.4ヒーロー"アイスメイカー"氏が、妊娠による活動休止を、ヒーロー協会を通じて発表されました。復帰時期は、未定との事。籍は既に入れておられ、お相手に関しては明かされないとの事です。いやぁ、長年女性ヒーローのトップを走ってこられた方を射止めたのは、いったい誰なんでしょうねぇ』

 

 

 

「個性は貴方の一部、貴方自身よ。怖がらないで、受け入れてあげて、転孤君」

「···はい」

 

 そんなニュースが世間を騒がしている頃、私は志村転孤の指導を行っていた。彼が目覚めた"崩壊"の個性。それを、自分の意思でコントロール出来る様にする訓練。

 父親である志村孤太朗さんは、私達ヒーローに関わる事に難色を示していたけど、転孤君の個性の危険性を理解し、ヒーローへの道を薦めない事を絶対条件に、渋々許可を出してくれた。

 燈矢君が嚇灼熱拳·冷を習得して、私の直接指導が要らなくなっていたから、時期も丁度良かった。

 

「·········っ!!」

「落ち着いて、ゆっくり、集中して、個性が発動している感覚を体で理解するの」

「···スゥ~ハァ~······」

「そう、焦らず、心を落ち着けて。大丈夫、君なら出来るわ」

「はい!」

 

 

   ▼▼▼

 

 

「やぁ、結婚おめでとうなのさ」

「お久しぶりです、根津校長」

 

 予想外のスピードで成長する我が子に、家族や医者共々

大荒わな頃、母校である雄英高校の校長が訪ねてきた。

 

「今日は、どうされたのですか?」

「うん、前々から話してた、AFO打倒後は、正式に教員として働くという件についてなのさ」

「···あ」

 

 そうだった。

 八斎會と立ち上げた、対ヴィラン訓練におけるヴィラン役を派遣する事を主とした会社。当然、利用して貰わなければ儲けにならないので、警察や大手のヒーロー事務所は勿論、卒業生というコネを使って、雄英にも協力して貰った。会社の子達が派遣される時には、監視役兼臨時講師として、私も雄英に行っていた。

 そして、その都度根津校長から、うちで正式に教師として働かないかとお誘いを受けていた。私も、雄英で教師をやって、いずれ入学してくる原作キャラを、間近で見たいと思わなくもなかったので、AFO打倒という目的達成後に、という口約束をしていたのだ。

 

「出産予定日は、いつなのかな?」

「···このままの成長スピードを維持するのなら、年末年始辺りには」

「じゃあ、来年度には間に合うのさ。当分は育児優先で、ヒーローを目指す生徒の進路相談役として、月に一回か二回、勤務してくれたらいいのさ。テレワークでも可能だしね」

「···そんなに急ぐ必要があるのですか?」

「···うん。情けない事に、わが校にも一定数、異脳解放軍に名を連ねる教員が居たのさ。特に、進路指導に携わっていた教員の割合が最も高かった。だから、今うちの進路指導はスッカラカンなのさ」

「···なるほど、分かりました。そういう事でしたら、卒業生として、母校の危機に手を貸さない訳にはいきません。どうか、よろしくお願いします」

「大変な時期にスマナイのさ。じゃあ、これが教員試験の日程ね」

「······校長のアレコレで、パス出来ませんか?」

「うん、無理」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「八木さん!頑張って!後もう少しです!!」

「~~~っ!!!!!」

 

 

 それは、今年も後半月を過ぎた雪の日でした。轟家で、雪遊びに興じる燈矢君や冬美ちゃん達を、姉さんと一緒に見守っていた時、破水が起きたのです。

 普通であれば、破水してもすぐに病院へ、とはならないけど、私の場合、余りにも胎児の成長が早い(母体の体の変化も同様)ので、何が起こってもすぐ対処出来るよう、破水の時点で即入院してくれと、医者に言われていました。

 

「動ける?冬花」

「ええ、痛みはまだだから、大丈夫」

「···あ、貴方、冬花が産気付いたわ。旦那さんに連絡をお願い。病院で落ち合いましょう」

「奥様、お車の準備は出来ております」

「ありがとう、車田。燈矢!お母さん達、少し出てくるから、冬美や夏雄の事、お願いね」

「う、うん、分かった」

 

 自分も臨月が近いのに、流石三人も子供を産んだだけはあるわ。テキパキと指示を出す姉さんに、そんな呑気な事を思いながら、車田さんに支えられ、車へと乗り込んだ。

 

「ふぐっ!!」

「冬花!!」

「ヤバっ、きた···かも」

「車田!」

「はい!奥様!!」

 

 ちゃんと産んであげるから、もうちょっとゆっくり出てきて。

 

 

 12月17日17時17分(所要時間:7時間)

 八木俊典·八木冬花夫妻 第一子誕生

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「ねぇ、貴方。黙っていては分かりませんよ」

「·······」ガクガクブルブル

「私は、どういう事かと聞いているだけですよ?」

「······」冷や汗ダラダラ

「ねぇ、あ·な·た?」

 

 娘、雪花と共に退院して、轟邸へ戻ってきた私を待っていたのは、正座をする夫と、それを怒髪天で見下ろす義兄姿でした。

 夫が何をしたかは、番外編のお父さん編を読んでいただいて。

 

「貴方、当分はご飯と梅干しだけですからね」

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!どうかお許しをーー!!!」

「義兄さん、どうしますか?」

「構わん、ヤレ」

 

 

 因みに、無断で建てた子供部屋は後に改装され、轟家長男の部屋となり、後の奥さんとの逢瀬の場所になるのでした。

 

 

 

 




一先ず、過去編はこれで終わりです。
今後は、書けるor書きたいエピソードを思い付いたら、差し込んでいくと思います。


評価と感想をよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。