八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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第十一話「八木雪花とUSJ襲撃事件~我らヴィラン連合~」

 

 

 

 

「おいおい、なんだよ。あの雄英ヒーロー科って言っても、所詮はガキって事か」

「何やってんだ!クソ雪女ぁ!!」

「八木さんを、離せ!!」

 

 ボロボロになって、膝をついても尚、目に闘志を宿して吠えるかっくんと緑谷君。

 他の皆も、支え合いながらも立ち向かう気力を失っていない。ヴィランに胸元を掴まれ宙吊りにされ、もう指一本動きそうにない私は、その様子をただ眺めるしか出来なかった。

 

 何でこんな事になっているのかというと、時間は午後の授業開始まで遡る。

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「今日のヒーロー基礎学はこれ、RESCUEだ」

 

 その一言で始まった午後の授業。

 皆、各々のヒーローコスチュームに着替えて、訓練場へ向かうバスに揺られている。緑谷君だけ、修理に出してる関係で体操服だけど。ついでに、笛まで持参して気合いを入れてた飯田君が、座席の配置で項垂れている。

 

「私、思った事を何でも言っちゃうの、緑谷ちゃん」

「は、はい、蛙吹さん!」

「梅雨ちゃんと呼んで。貴方の個性、オールマイトに似てるわね」

「へ?そそそそそそそうかな!?いや、でもそのえー「待てよ梅雨ちゃん。オールマイトは怪我しねぇぞ」

 

 唐突な梅雨ちゃんの言葉に、すっごい狼狽える緑谷君。私やかっくんも、バレない程度にビクッとなる。OFAの事やオールマイトとの関係は、一応秘密って事になってるし、説明しようがないからアレだけども、態度に出過ぎだよ。

 

「派手で強えっつったら、やっぱ爆豪と轟だよな」

「爆豪ちゃんは、キレてばっかで人気でなさそ」

「んだと、出すわコラ!!」

「そういう所だよ、かっくん」

 

 ホントに、あの口調だけでも取り繕う事が出来れば、顔は悪くないし、強さに惹かれて人気も出そうなのに勿体ない。まぁ、ヴィランっぽいヒーローランキングで炎司おじさんの後釜に座るのは確実でしょうな。

 そうこうしていると、バスが目的地に到着した。

 

「ここが、僕が設計して作った演習場。その名も、ウソの災害や事故ルーム!!」

 

 スペースヒーロー「13号」の案内で中に入った私達の前に、ありとあらゆる事故や災害を再現した訓練場が広がっていた。USJってネーミングは、大丈夫なのかと不安になるけど。そして、13号先生のありがたいお言葉を頂戴して、いざ実習へとなった時それはやってきた。

 

「なんだ?火災ゾーンの煙か?」

「・・・違う、煙じゃなくて雲」

「全員動くな!!」

 

 階段を立ち上る様に流れてくる白い煙。私達の足元を流れていくそれは、出入り口の前で積乱雲の様な雲へと形を整え、ズアっと消え去ると、そこには8人の人間がいた。

 

「初めまして、俺達はヴィラン連合。今回、ヒーローの巣窟な雄英高校に入らせて貰ったのは、今後脅威となる卵達を抹殺し、雄英の評判を地の底に叩き落とす為さ」

 

 その中の、顔を雲で覆った車椅子の人物が放った言葉に、皆一斉に身構える。

 

「各エリアに、俺達の仲間が待ってる。さぁ始めよう、ヒーローとヴィランのデスゲームを」

「く!みんな!!」

 

 車椅子の人物から放たれる濃密な雲に巻かれ、視界が真っ白に染まる。そして、皆が姿を消していた。残っているのは、相澤先生と13号先生。車椅子の人物と、手の剝製を顔にくっつけた人物と、ガスマスクを付けた大男。

 

「さて、何人戻ってこれるかな?」

「決まってる、全員だよ」

 

 

 

  ▼▼▼

 

 

 

「チッ、どこだここは!」

「多分、倒壊ゾーンだ」

「んで、こいつらがあいつらの仲間って事かよ」

「いったい、何人いんのよ!!」

 

 倒壊ゾーン:爆豪、瀬呂、切島、芦戸

 

 

「囲まれちまって、どうすんだよ!!」

「落ち着いて、峰田ちゃん。でも、大変な事になったわね」

「デク君、どうするん?」

「・・・僕らが今すべき事は、戦って勝って皆と合流する事!!」

 

 水難ゾーン:緑谷、麗日、蛙吹、峰田

 

 

「く、やりますわよ!耳郎さん、上鳴さん」

「やるっきゃないか」

「ちょっ!何でそんなやる気なんだよお二人さん」

「泣き言言うんじゃねぇ、来るぞ!」

 

 山岳ゾーン:八百万、耳郎、上鳴、砂藤

 

 

「く、早く皆と合流しなければ」

「落ち着け、委員長。今は、己の安全を確保してからだ」

「(コクコク)」

 

 暴風、大雨ゾーン:飯田、常闇、口田

 

 

「葉隠さん、これを。素肌よりはマシだから」

「ありがとう、尾白君」

 

 火災ゾーン:尾白、葉隠

 

 

「周囲に動く敵はいなさそうだ」

「そうか、呆気ないな」

 

 土砂ゾーン:轟、障子

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「取り敢えず、最初の分散は予定通りいったようね」

「ええ、順次交戦に移行してますよ」

「初めてにしちゃ、中々動けてるじゃないか」

『しかし、本番はここからだ。強敵と相対した時こそ、彼らの真価が問われる時だ』

「大丈夫さ。彼らなら、きっと何かしらの成果を見せてくれるよ」

 

 USJの各ゾーンが映し出されたモニタールームで、複数人の教員が様子を観察している。プロの目からすれば、まだまだ荒削りな所は多々あれど、将来に期待出来る才能を見せてくれている。

 

「あたしが出なきゃいけない事態にならない事を祈るよ」

 

 やり過ぎるなと一応注意はしたけど、どうなるかねぇ。

 この訓練が、無事に終わる事を願いつつ、お茶菓子に手をのばすリカバリーガールであった。

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