このお話は、『イメチェンデク君と包帯かっくん』のちょっと後のお話になります。
「梅雨、アイスを買って来···たぞ······」
何故か、日本全国で冷房機器の故障が相次いだ。そんな日に限って、ここ数十年で一番の猛暑が襲ってきた。
我が家も、例に漏れず冷房器具は全滅し、修理業者はてんてこ舞いで、来れても明日以降になるとの事。
宿題を共にやり来ていた梅雨を部屋に残し、近くのコンビニにアイスを買いに行った。皆考える事は一緒の様で、冷たい物を求める者達でごった返していた。
何とかカップアイスを入手出来、保冷剤入りの保冷バックに入れて、鉄板の上で焼かれている気分になりながら帰宅した俺を待っていたのは、カーテンを締め切った部屋で、仰向けに寝転がっている梅雨の姿だった。
それだけなら、まぁたまに見る光景なのだが、今日はヤバかった。オールマイトがヴィランに負ける位ヤバかった。
上は白いタンクトップ、下は布面積少なめの下着のみ。梅雨には珍しく、ハーフパンツとブラジャーが脱ぎ散らかされている。汗で肌に張り付く服の、薄ピンクのぽっち部分から目が離せない。窓は開けてあるが風はなく、汗の匂いに混じって、むわっと香る梅雨の甘い匂いが、鼻腔から脳天を突き抜けていく。
最早俺の目には、無防備に横になる梅雨が、最高級のリンゴで作ったアップルパイと同等にしか見えなかった。生唾が止まらない。
「······ゴクッ」
保冷バックが、ドサッという音と共に床に落ちたが、俺にはもう、それに割く意識は残っていない。自分の荒い息遣いが、嫌に耳に響く。手が、ピクピクと震えながら、梅雨の女性的な膨らみへと、ゆっくり伸びていく。
「···んん······」
「っ!!!!」
何かを感じ取ったのか、寝返りを打って、俺に背を向ける梅雨。髪を結ばれている故に、さらけ出された汗に濡れるうなじに、いやらしいという表現しか浮かばない。
言い訳じみた事を言うなら、この時の俺は、暑さにやられていたと言わざる終えない。兎に角早く、この美味しそうなモノを貪り尽くせと五月蝿かった。
「梅雨が···悪いのだからな」
▼▼▼
「で、やってしまったと」
「···うむ」
「梅雨ちゃんは、何か言ってたの?」
「···汗臭くなかったかと、恥ずかし気に聞いてくる姿は、とても妖艶だった」
「あ、そう···」
珍しく、常闇君から話があると言われ、余り他人に聞かれたくはないがお茶子さんになら聞かれても構わないとの事で、家に招いて話を聞く僕。
話とは何かと思ったら、梅雨ちゃんとの初体験を赤裸々に語られてしまった。正直、途中からどんな顔で聞いていればいいか分からなかったよ。
「え、えと···それで?」
「う、うむ、それでなんだか···つ、梅雨の······梅雨の顔が、見れないんだ」
「へ?」
「こ、行為中の梅雨の顔が浮かんで、ま、まともに、梅雨の顔を見る事が出来ないのだ」
『フミカゲ、アレカライママデ、ツユチャントアイサツグライシカシテナインダ』
「黙っていろ、ダークシャドウ」
「あ~、うん、まぁ、何となく分かる。梅雨ちゃんから、話しかけてきたりは?」
「···無い。お互い、話し掛けようとして言葉に詰まる···その様な感じだ」
「ん~、ちょっと待ってて」
僕は、常闇君を残して部屋を出て、お茶子さんに電話を掛ける。数コールの後、お茶子さんと繋がった。
『デク君?どしたん?』
「あ、お茶子さん、近くに梅雨ちゃん居る?」
『うん、居るよ』
「迷子の鴉が家に居るから、迎えに来てって伝えてくれる?」
『あ、うん、了解』
これでよし、後は、常闇君にちょっとだけ説教すれば、丸く収まるかな。
「お待たせ、常闇君」
「うむ。して、俺はどうすれば」
「簡単だよ。もう一回、やり直し」
「や、やり直し?」
「今回、常闇君も梅雨ちゃんも、心の準備をする間もなくだったから、心が追い付いてないんだよ。だから、キチンと顔を合わせて、お互い同意を取って、もう一回」
「もう···一回」
「うん、もう一回。あ、常闇君、ゴム持ってる?無いなら、僕のを何個かあげるけど」
「···ある。そして、緑谷。貴様のでは、サイズが合わん」
「···ごめん」
数十分後、お茶子さんと一緒にやって来た梅雨ちゃんと、凄いガチガチになってる常闇君を見送った。翌日、仲良く腕を組んで登校してきた二人を見て、そっと常闇君に向かってサムズアップをする僕であった。
▼▼▼
「聞いてください!お茶子ちゃん、梅雨ちゃん!!梅雨ちゃんの話を聞いて、無理矢理クーラーぶっ壊して、梅雨ちゃんみたいな格好で待機していたのに、仁君、手を出すどころか、『腹冷えると風邪引くぞ』ってタオルケット掛けてくれて、ずっと団扇で私を扇いでくれてたのです!!
嬉しいけど、そうじゃないのです!!二人と一緒に選んだ渾身の勝負下着履いてたのに!!ヘタレなのです!!仁君ヘタレなのです!!!」
「それ、ヘタレと違くて、トゥワイスさんの心が鋼だっただけじゃ···」
「···もう、こっちから襲うしかないんじゃないかしら」
「···もう何度も挑戦してるのです。でも、多勢に無勢で返り討ちにあうのです。仁君に手を出して貰うしか方法がないのです」
「えと···頑張って?」
「うがあああああ!!!!」
「どうどう、三奈」
「今度はどうしたの?」
「あんのヘタレ児郞!!手ぇ伸ばしたんだから最後まで来いよ!!!」
「···梅雨ちゃんの真似でもしたの?」
「したよ!!クーラー付け忘れたふりして、何ならパン一で寝てやったよ!!なのにアイツ、後ちょっとで触れるって所で逃げだしやがって!!乙女の勇気をなんじゃと思っとんだぶぁーーくぁーーーーー!!!!!」
「···あ、電気?ちょっと切島に放電しといて」
「尾白君、ちょっと切島君ボコっといて」
「あの、焦凍さん···こ、氷を出して頂ければ」
「かっくん?いや、雪作って抱いとくから」
「「いいから、蒸させろ」」
「え?クーラーが壊れてしまったのですか?」
「う、うむ、修理しようにも、ぎょ、業者はどこも手一杯の様で···」
「それならお任せ下さい!天哉さん!!この私が!!すぐに直してみせますので!!!」
「······あ、うん、その、お願いします」
「よ~し、この超速空冷どっかわベイビーを内臓させて~」
「頼むから、余計な物は着けないでくれ、明君!!」
作者が、ヒロアカキャラで蒸らしたいキャラは、冬美さんとリューキュウとマンダレイです。
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