八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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「火は、風によって更に」

 

 

 

 夜嵐イナサ。ヒーロー名"レップウ"。

 デクやダイナマイト達の同期であり、彼らの世代が黄金世代と呼ばれる一因の一人。JPヒーローランキングトップ10の常連でもあり、日本を代表するヒーローの一人。

 そんな彼であるが、昔から大のエンデヴァーファンと知られており、彼の事務所とチームアップや合同訓練をよくしている。その日もまた、エンデヴァー事務所との合同訓練に、サイドキックやインターン生を引き連れてやって来たのだった。

 運命の出会いをされるとは、欠片も思わずに。

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

「今日は、よろしくお願いします!!!」

「ああ、よろしく頼む。今ウチには、職場体験で雄英の学生が来ている。すまないが、訓練メニューは彼ら向けの基礎的な内容となる事を了承しておいてほしい」

「全然構いません!!基礎は大事っす!!自分達も、初心に返ってしっかり学ばせて貰うっす!!」

 

 歳を重ね、老齢の域に入っているエンデヴァー。現場に出るのは荼毘やショートに任せ、自身は後方に控える事が大半になってきたとはいえ、その威風はなんら陰りを見せず、No.1の地位を保持し続ける堂々たる姿は、かつて子供の頃憧れた時と何も変わっていない。

 これでも三十路に足を踏み入れ、ヒーローとして円熟してきたと自負しているけども、憧れた頂はまだまだ遠そうっす。

 

「は、初めまして。職場体験でお邪魔させて貰っている轟緋衣です。ヒーロー名は"グレン"です。どうかよろしくお願いします」

「レップウっす!!少しでも、君の成長に繋がる様、自分達も頑張るっす!!」

 

 ショートが時折写真で見せてくれた、荼毘とバーニンの娘さんっすね。俺の事務所は、女性が事務員(50代既婚)しか居ないっすから、連れてきたサイドキックやインターン生が浮き足立ってるっす。硬派を気取ってる奴ばかりっすけど、まだまだっすね~。

 

「···最初に言っておくが、孫に不埒な真似をした奴は、訓練中だとて容赦はせんぞ」

「「「は、はい!!!」」」

 

 

 

「赫灼熱拳ジェットバーン!!」

「溜めが甘いっす!!もっと一点に集中させるっす!!」

「はい!!」

 

 俺が発生させた竜巻に向かって、技を放つグレン。グレンの個性は、エンデヴァーやショート達と違って、炎を出すのではなく、自身が炎となる系の炎熱個性"火衣"。

 個性の相性はあれど、ウチのインターン生は手も足も出ず、サイドキックと良い勝負···いや、サイドキックの方が押され気味だったっすかね。流石、しっかりと鍛えられてるっす。

 

「お、今のは良かったっす!次は、もっと火力を上げるっすよ!!」

「はい!!!」

 

 本当に、将来が楽しみっす。

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「はぁ······」

 

 マグネ保育園に預けている子供を迎えに、お茶子や百と来たのだけど、応接用の椅子に座る見慣れた顔に気付いた。

 とても物憂げな表情に、私達は心配になったけど、マグ姐がとっても良い表情で見守っているので、そんな深刻な事ではないのだろうと思う。

 

「···緋衣ちゃん、どうかしたの?マグ姐」

「トガちゃんに相談があるって来た時から、ずっとあんな感じなのよ。アレ、絶対恋の悩みよ」

「まぁ恋!!」

「ほうほう、もうそんなお年頃ですか」

「緋衣ちゃんも、もう高校生やもんね。でも、何でヒミコちゃん?」

「さぁ?そればっかりは、本人に聞いてみないと分からないわ。トガちゃんも、もうすぐパトロールから帰ってくると思うから、その時一緒に聞いてみましょう」

 

 フッフッフッ、久し振り恋愛狂者の血が騒ぐぜ。

 そして、10分位してトガさんが戻ってきた。マグ姐が事情を話し、緋衣ちゃんの了承も得て、私達も相談を聞く事に。さて、緋衣ちゃんの恋のお相手は誰ぞ?

 

 

 

「燈矢兄から、飲みの誘いなんて珍しいな。何かあったのか?」

「···ああ、ちょっとな。取り敢えず、駆け付け一杯」

「···んなの、燈矢兄以外飲めねぇよ。すみません、生中一つ」

「······なぁ、焦凍。今俺は、冬美をホークスに貰われていく親父の気持ちを味わっている」

「何だそりゃ」

「緋衣···好きな人が出来た、らしい」

「まぁ、アイツも高校生だからな。好きな人位、出来て当然だろ、相手は?同級生の奴か?」

「···お前もよく知る奴だ」

「···誰だ?」

「ヒーロー名"レップウ"だとよ。お前と同期のヒーローだ」

「レップウ···夜嵐!?!何で??!」

「レップウ事務所が今日、ウチと合同訓練した時、緋衣とレップウが組んで親父と模擬戦したらしい。親父のプロミネンスバーンに対抗する為、自身を炎化させて、レップウの起こした風に乗って擬似的プロミネンスバーンを放ち、親父に打ち勝ったとの事だ。その時、運命を感じたんだとよ。私が添い遂げるのはこの人しか居ない!って俺や萌に、興奮気味に話してくれたよ」

「···マジか」

「···マジだ」

「······燈矢兄は、どうするんだ?」

「······萌や母さん達から、お前は黙って見ていろと言われた」

「···そうか」

「···緋衣~~~」

 

 

 

「良いですか、緋衣ちゃん。大事なのは、自分が子供でなく女なのだと、相手に意識させ続ける事です。自分が女である事を、とにかく押して押して押して押しまくって刷り込むのです!!」

「はい!!」

「そして、恐らく相手は、年齢やら社会的何やらを理由に拒否してくるのです!!なら、それを利用して、社会的に問題無い年齢になったら、相手にゴタゴタ抜かす余裕を与えず攻めまくるのです!!」

「はい、被身子先生!!!」

 

「ヒミコちゃん、実感こもっとるな~」

「二十歳になった瞬間、トゥワイスさんを攻め滅ぼしただけはあるね」

「トゥワイスさんの個性で増えて、A組B組に加えて、お義父様やお義兄様、八木先生夫妻、トムラ事務所とその関係者の皆さんに変身して、文字通りの大戦争でしたものね」

「トゥワイスも、うだうだ言わずにさっさと受け入れてれば、痛い目みないですんだのにねぇ」

 

 

 

 




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