八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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インフルからの復活記念投稿
病床の中で書いたので、もしかしたら書き直すかも


第十二話「八木雪花とUSJ襲撃事件~戦え、ヒーローの卵達~」

 

 

 

 突如始まった、ヴィラン連合と名乗る集団と雄英高校1年A組の戦い。敵の策略により、バラバラにされてヴィラン達のど真ん中に放り出されてしまった彼らの行方や如何に。

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「君、カアイイですね!お友達になりましょう!!」

「くっ!」

「デク君!!」

 

 水難ゾーンに投げ出された僕達四人。蛙吹さんのお陰で、船の上に退避する事は出来たけど、周囲をヴィラン達に囲まれてしまって、どうすれば突破出来るか作戦を考えていた。

 しかし、敵を前にして悠長に考えている暇は、与えてはくれなかった。

 

「いいですねぇ、いいですねぇ。もっとボロボロになれば、もっとカアイくなるですよ!」

 

 ゲートの所に居た一人、マスクをして背中に機械を背負った女の子。恐らく、最初から船に潜んでいたのだろう彼女の奇襲を受けて、水中のヴィランの攻撃で沈みかけている船の上で、何ら有効な手立てを打てないでいた。

 

「緑谷ちゃん!」

「ありがとう、つ、つ、つ、梅雨ちゃん!!」

「自分のペースでいいわよ。でも、このままじゃジリ貧ね。私一人で、皆を守りながらあの数を相手には出来ないわ」

「ど、ど、ど、どうすんだよ~!!船も、もうもたねぇぞ」

「ウチの個性じゃ、この船一分も浮かせられへんよ」

 

 どうする、どうすれば。こういう時、オールマイトならどうする?相手の技量は僕達よりも数段上。今はまだ遊ばれてるだけだから何とかなってるけど、本気を出されたら何も出来ずにやられる。周りを囲んでいるヴィラン達は、彼女よりも確実に弱い。何とか、奴らの包囲を崩す事が出来れば。

 

「···そうか!麗日さん、梅雨ちゃん。少しの間だけ、この人の相手をお願い!!峰田君、君が頼りだ!!」

「うん、分かった!」

「ええ、でも長くはもたないわよ」

「もうヤケだ!何だってやってやるさ!!」

 

 前衛を入れ替わる瞬間、簡潔に作戦を伝えて峰田君を背中に背負う。

 

「OFAフルカウル5%。行くよ、峰田君!!」

「おっしゃ、任せろ!!これがオイラのグレープラッシュだあああ!!!」

「今だ!!スマーーーッシュ!!!!」

 

 敵は、峰田君が投げたもぎもぎが何か分かってなかった。この水難ゾーンに、唯一水中で行動出来る梅雨ちゃんがいる事と総合すれば、敵は僕達の個性を把握していないという事。故に、そこに隙が出来る。

 峰田君が投げた多数のもぎもぎを警戒して意識がそれた瞬間、僕は水面に向かって拳を渾身の力で振り下ろす。右腕から嫌な音と痛みを感じると同時に、水面が爆発。

 渦潮となって、敵ともぎもぎがくっつき合い、水中にいたヴィランを一網打尽に出来た。

 

「うわぁ、凄いです!」

「梅雨ちゃん!!」

「ええ、お茶子ちゃん!!」

 

 余波で転覆する船だけど、個性で自身を浮かせた麗日さんを抱えた蛙吹さんが、舌で僕らを捕まえてくれて、皆でこの場を脱する事が出来た。被害は、僕の右腕と峰田君の頭皮かな。

 

 

   ▼▼▼

 

 

「うらぁ!!死ねや、クソヴィラン!!!」

「君、本当にヒーロー志望なのかい?おじさん、心配になってくるよ」

「爆豪!あんま一人で突出するな!!」

「危ねぇ!大丈夫か?芦戸」

「ありがと、切島。もう、数多すぎ!!」

 

 あんだけ大仰な事ほざいた割には、チンピラ風情の雑魚ばかり。唯一骨のありそうなのが、ボス格のマジシャンみてぇな格好のヴィランだけだ。

 

「どうした?俺らを殺すんじゃなかったのか?!ヴィラン連合さんよぉお!!」

「ん~、ここまでの強さとは、おじさん予想外過ぎてびっくり」

 

 仲間の大半がやられても動揺が見られねぇ、まだ何か隠し球があるのか、一人で十分だと思ってんのか。こっちも、俺以外の奴らに疲れが見え始めた。特に、無駄な動きの多い黒目。アイツのフォローに醤油顔とクソ髪が回ってっから殲滅スピードが落ちてやがる。

 

「じゃあ、おじさんもちょっと本気出しちゃうよっと!!」

 

 ポケットから、ビー玉の様な物を投擲してきたクソヴィラン。ソイツが指を鳴らした瞬間、ビー玉が弾けて人間大のコンクリ塊が現れやがった。

 

「俺の後ろに下がれ!!」

 

 クソ髪が、咄嗟に前に出て自身の個性を使って防御する。砕けたコンクリ片が飛び散るが、その全てを受けきった。

 

「何だよ、今の。アレがアイツの個性か?」

「知るかよ。おい、耳貸せ醤油顔」

「瀬呂だって······分かった、頼むぜ爆豪」

「ほらほら、どんどん行くよー」

「黒目!!雑魚は俺が片付けるから、クソ髪のフォロー位しやがれ」

「黒っ!?!!私の名前は芦戸だってば!!」

 

 次々投擲されるビー玉。恐らく、物質を圧縮してあのビー玉に収めてんだろう。もしかすると、人の体も圧縮させてあの状態に出来るかもしれねぇ。迂闊には近付けない。

 

「なら、遠くから吹っ飛ばしゃいいだけだよなぁあ!!!爆線MAXだ!!!」

 

 ビー玉からコンクリ塊になり、相手と自分の視界が遮られた瞬間、二人の前に飛び出して篭手のピンを抜く。戦闘訓練時より劣るが、クソヴィランを吹っ飛ばすには十分だ。

 

「ナイス爆豪!!ゴキブリならぬヴィランほいほいってね!!」

「あ~らら、いつの間に···(ガクッ)」

 

 爆煙が晴れると、ビルとビルの間に張り巡らされたセロテープにくっついたクソヴィランの姿があった。気絶した様で、醤油顔が更にテープでぐるぐる巻きにしていく。

 

「行くぞ、後は中央でふんぞり返ってるヴィランの親玉をぶっ殺すだけだ」

 

 

   ▼▼▼

 

 

「クソ、本体はどれだよ!!」

「うええ!!また増えた!!」

「情けない声出す前に、一人でも多く倒せっての!!」

「くっ、使える脂質も残り少なくなってきましたわ」

「どうしたどうした、ヒーロー共!そんなんじゃ、いつまでたっても終わんねぇぞ。もうやだ、疲れた、帰る!!」

 

 黒と灰色のラバースーツに身を包んだヴィラン。

 あの人が現れてから、戦況は一変。分身する個性で再現なく増えるヴィランに対して、先の見えない消耗戦へと移りました。私を含め、耳朗さん以外の三人は、個性を使えば使う程弱っていく個性。このまま、ただイタズラに時間を浪費してしまえば、確実に負ける。

 まだ動ける内に、何か手を打たなければ。

 

「くそ、俺が全力ぶっぱで全員巻き込んで」

「馬鹿!外したら足手まといが増えるだけで、賭けるには分が悪すぎるっての!!」

「つっても、このままじゃいずれ擂り潰されるぞ」

「だから、まだいける内に一か八か」

「そもそも、あの中に本体がいる保証がありませんわ」

「じゃあ、どうすんだよ!」

「降伏すんだったら、痛め付けるだけですませてやるぜ。いや、最後まで嬲り殺しにしてやる」

 

 考えなさい、百。

 どうやったら、この場を切り抜けられるのか。周囲は切り立った崖で逃げ道がない。唯一の山道も彼らがひしめき合っている。もう、脂質を無駄に使う余裕はない。次の策で決めきらないと。

 

「麗日とか居てくれたら、こっから飛び降りたり出来るのに」

「それか、下にクッションでもあれば」

 

 クッション···飛び降り···山岳···そうですわ!!

 

「耳朗さん、地面に向かって音波攻撃を最大出力で!!」

「はっ?地面に?何か分かんないけど、百が言うなら!!」

「砂藤さん、合図したら思いっきり地面を殴って下さい!!」

「お、おう、分かった」

「上鳴さんは、ヴィランを二人に近付けないように」

「おっしゃ、任せとけ!」

 

 私も、脂質を使いきる勢いで創造をする。この場を切り抜けられる唯一の物を。

 

「く、もう···限界」

「皆さん耳朗さんの所に!砂藤さん!!」

「おっしゃあああ!!!!」

 

 砂藤さんが拳を地面に叩きつけると同時に、巨大バブルボールで皆さんを包む。耳朗さんの音波攻撃による振動で綻んだ岩山が、砂藤さんの一撃で崩れ始める。

 崩壊に巻き込まれていくヴィランを尻目に、上下左右に揺さぶられ、何度もバウンドしながら転がり落ちていく。砂藤さんが、私達をしっかりとホールドしてくださったおかげで、ボール内でぶつかり合うという事もなく、下まで降りられましたわ。

 

「み、皆さん、無事ですか?」

「お~、なんとかな~」

「うええ~い、スリル満点だったぜ~」

「ウチも大丈ブフゥー!!男共はこっち見んな!!」

「うえ?どうし「こっち見んなっつったろうが!」ギャアアーーー!」

「耳朗さん?!」

「あ~、取り敢えず前隠してくれ」

 

 

   ▼▼▼

 

 

「我ら、ヴィラン連合開闢行動隊!さぁ、ヒーローの卵に、我らの力を思い知らせてやれ!!」

「「「「うおおおお!!」」」」

「行け!ダークシャドウ!!」

「「「「うわあああ!!」」」」

 

 仲間達が、鳥顔の生徒が腹から出した影の怪物によって蹴散らされている。他所を見れば、物凄い早さで爆走する少年が異形系の少年をフォローしながら蹴り飛ばしている。もう、某無双ゲーの雑兵が如くバッサバッサである。

 

「俺、只の事務員なんだよなぁ」

 

 怪物に殴り飛ばされながら、特別給与に惹かれて安請け合いした自分を呪った伊口秀一君であった。

 

 

   ▼▼▼

 

 

「ふむぐっ!!むぐぐぐ!!」

「葉、葉隠さん!」

「男はS極、女はN極。その状態で、満足に戦えるかしら?」

 

 俺達の前に現れたのは、サングラスにアロハシャツ姿のオカマヴィラン。葉隠さんを後ろに対峙すると、奴の個性なのか、後ろに引っ張られる感覚を受け、葉隠さんが俺の尻尾にビタッとくっついてきた。離れようとしているけど、引っ付く力に敵わずコアラ状態である。正直言って、かなり不味い。

 

「あっついわね~、ここ。こんな乾燥した所、お肌の大敵よ。だから、さっさとやられてくれるとありがたいわねっ!!」

「くっ!」

 

 鍛え上げられた肉体から放たれる拳を、何とかいなす。尻尾以外で受けたら、確実に骨まで持っていかれる。

 

「ぷはっ!尾白君、私を気にせずやっちゃえ!!」

「そういう訳にはいかないでしょ」

「いいから!ゴニョコニョ···ねっ!」

「···分かった」

「あら、何かやってくれるのかしらん?」

 

 余裕綽々にファイティングポーズをするオカマヴィラン。俺は、バックステップで距離を取り、助走をつけて横回転しながら奴に向かって跳ぶ。

 そして、葉隠さんの位置に気を付けながら、渾身の力で奴の腹に向かって尻尾を叩きつける。

 

「良い一撃、でもそんなんひゅっ!!!」

「うっぷ···オカマでも、人体の急所は変わらないよね」

「···南無」

「手、洗っておきなさいね」ガクッ

 

 足をガクガクさせながら股間を押さえ、一言残して気絶するヴィラン。俺の一撃に合わせて、葉隠さんがそこを思いっきりぶん殴った···まぁ、そういう事である。

 葉隠さんと相対した時は、気を付けよう。

 

 

   ▼▼▼

 

 

「轟!!」

「ぐっ!な···んで······」

 

 突然現れた、黒のラバースーツにのっぺりした白い面を着けた白髪の女性ヴィラン。ソイツの一撃で轟が刈り取られた。

 

『良い目と耳を持ってる様ね。でも、敵が自分で自分を凍らせたのには気付かなかったみたいですね』

「くっ、轟を放せ!!」

『仲間思いも良いですが、無策で突っ込んでくるのは悪手でしかありませんよ』

 

 腕と副腕全てを使っての殴打は、同じ数の氷の腕によって受け止められた。その氷は、腕を伝って体の方に広がってくる。振りほどこうとしても、ガッチリ掴まれて身動きが取れない。

 

『スミマセン、障子目蔵君。焦凍君と君が居たら、すぐにネタバレで訓練にはならなそうなので、ここで退場してもらいます』

「な···にを······」

 

 ヴィランの言葉を理解する前に、俺は氷に閉ざされ意識を失ってしまった。すまない、轟。

 

『後は、調子にのってあの人がやり過ぎない事を祈るだけですね』

 

 

   ▼▼▼

 

 

「先生、いくらヴィランっぽいって言っても、トムラさんは流石に無くない?」

「知らん、発案者はお前の母親だ」

「あ~、何となく察しはつきました。で、私はどっちとやりあってればいいの?お父さん?それともトムラさん?」

「俺の出番はこの後だ」

『私とだよ、雪花。さぁ、久しぶりに親子で肉体的コミュニケーションと洒落込もうじゃないか!!』

「はーい、お手柔らかにお願いします、いざ」

 

 





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