八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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「夏だ、薄着だ、ラッキースケベだ」

 

 

 

 

 月曜日

 

 

「きゃあっ!!」

 

 それは、突然起こった。

 物間寧人の前を歩く拳藤一佳のスカートが、突風によって捲り上がった。

 余りに予想外な出来事だった為、視線を反らす事が出来ず、拳藤のシンプルな淡緑色の下着を、その目に焼き付けてしまった。

 

「···見た?」

「···お詫びは、スイーツで良いかい?」

 

 

 これは、彼の身に起こったラッキースケベ。又は、彼女の身に起こったラッキースケベられの一週間の記録である。

 

 

 

 火曜日

 

 

 廊下を一人歩いている物間寧人。

 廊下の先に、憎きA組の緑谷出久の後ろ姿を確認した彼は、どう煽ってやろうかと、材料を記憶の中から探しがら足を早めた。

 故に、横から突如現れた拳藤一佳に気付かなかった。避けられる訳もなく、勢いよくぶつかり、その勢いのまま拳藤を押し倒してしまう物間。

 拳藤の、豊満で柔らかな胸に顔を突っ込んで。

 

「···拳藤、これは事故だ、決して、故意では無い事を先に言わせて貰うよ」

「だったら、さっさとどけーー!!!!」

「へぶあーーー!!!!!」

 

 

 

 水曜日

 

 

 物間寧人は、階段を登っていた。

 上階から、拳藤一佳が降りてきていた。

 お互い、横にズレようと足を動かしてしまい、同じ様に右往左往する事数段。"きゃっ!!"という悲鳴と共に、拳藤一佳が階段から足を踏み外した。

 受け止めようとするも、足を踏み出す途中というタイミングだった為、降ってきた拳藤一佳と共に階段下へと転がる。

 背中に痛み、顔面に布の感触。

 

「んんんーーー!!!!」

「ひゃあ♥♥」

 

 視界いっぱいに広がる、青い布地と肌色。それが、拳藤一佳のパンティとお尻だと気付いた瞬間、慌てて退かそうと手を伸ばした。何故か、腰とかではなく、わざわざお尻を鷲掴みにして。

 

「こんの!!変態!!!」

「不可抗力ーーーー!!!!」

 

 

 

  木曜日

 

 

「くっ!やるじゃないか、心操君」

「ちょっ、あんま動かないでよ」

 

 ヒーロー基礎学の戦闘訓練。

 物間寧人は、拳藤一佳、円場硬成とチームを組み、心操人使、柳レイ子、小大唯のチームと戦闘を行った。互いに一進一退の攻防を繰り広げるも、心操の操る捕縛布によって、拳藤と一緒に縛り上げられてしまった。

 何とか抜け出そうと、布の中でもがく。

 

「あ!ここからほどけそう!!物間、いける?」

「分かった、やってみよう」

 

 拳藤に言われた場所に、何とか腕を伸ばそうとする。

  ムニュッ

 

「あっ♥♥」

「···」フニフニ

 

 手が、何か布の感触を捉えた。それは、手から零れそうな位大きく、そして柔らかかった。ギギギと、自身の手がフニフニしている物に顔を向ける。

 そこには、自身の手の形に形を変える豊かなお胸と、怒りと羞恥で真っ赤な拳藤の顔があった。

 

「···」フニフニ

「いつまで触ってんのよ、この馬鹿!!!」

 

 

 

  金曜日

 

 

「あっつい~」

「言わないでくれ、拳藤。余計に暑くなる」

 

 狭いロッカーの中、向い合わせで詰め込まれている物間寧人と拳藤一佳。

 災害救助訓練で、ロッカーに閉じ込められて出られなくなった役に選ばれた二人。汗を拭いながら、救助されるのを待っている。

 

「ハァハァ···」

「···」

 

 汗の臭いに混じって、どう形容すべきか迷うが、拳藤の女の子な匂いが立ち上ってくる。服越しとはいえ、拳藤の豊かな胸は、自身の胸板に押し付けられて潰れている。少しでも涼しくしようと、スリットから覗かせる白い生足が眩しい。

 

「···ツッ!!」

「?どうかした?物間」

「な、なんでもないさ」

「本当?調子悪くなった?······っ!!!」

 

 体を更に寄せ、物間の顔を覗き込む拳藤。密着する面積が増えた故に、気付いた。気付いてしまった。男性の生理現象というのは、授業で習って、知識として知ってはいた、あくまで知識として。下腹部に当たる、物間のズボンの下にある固い物に、頭が真っ白になる。

 

「···えと、あの、物···間」

「出来れば、スルーしておいてくれるとありがたいねぇ」

「え、あ、は、はい」

「僕も、ヒーローを目指すと言えど男だからねぇ。君を前に、反応させないというのは不可能というものさ」

 

 わざとらしく、髪をファッとかきあげる物間。その様に、女の部分がキュウッとなるのを自覚する拳藤。自覚してしまうと、先程まで気にならなかった、物間の男らしい匂いに頭がクラクラして、腰に力が入らなくなってくる。

 

「······」

「······」

 

 交差する瞳の奥に、雄と雌の色を互いに見つける。

 そして、自然と、顔の距離が狭まっていき、互いの吐息が互いの唇を湿らす程まで迫る。

 

 

ガタンッ!!

 

 

「物間と拳藤、発見!!」

「二人とも、無事!!」

「···出来れば、もう5分早く見つけて欲しかったねぇ、心操君」

「···レイ子、後10秒待っててほしかった

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「はぁ、今日の訓練は大変だったねぇ」

「···うん」

 

 いつものように、並んで駅まで向かう物間寧人と拳藤一佳。

 何となく、互いに気恥ずかしいものを感じながら、歩を進める二人。

 

「···ねぇ、物間」

「なんだい?拳藤」

「もし、一緒に入ってたのが他の女子でも、同じ反応してた?」

「···それは、忘れてほしいんだけどねぇ。まぁ、可能性は0では無いだろうね」

「···そっか、んっ?雨?」

 

 さっきまで、明るかった空が暗くなり、大粒の雫が顔に当たる。そして、すぐにバケツをひっくり返した様な土砂降り。

 雨の予報などなく、傘を持っていなかった二人は、急いで雨の振り込んでこない場所を探して走る。漸く、大丈夫そうな喫茶店の軒先を見つけて駆け込んだ。

 

「は~、夕立にしても降りすぎじゃないかい?」

「もう、びしょびしょ」

「本当、濡れてない場所なんて無い···ねぇ······拳藤」

「えっ?呼んだ?物っ!!まぁっっ!!?」

 

 急に、拳藤を真正面から抱き締める物間。突然過ぎて、目を白黒させる拳藤。

 

「えっ??ちょっ!!何?!?」

「透けている」

「へっ?」

「濡れて張り付いて、クッキリとハッキリと、下着が透けている。店内の客が見ていたよ」

「っ!!!!」

 

 物間の体越しに、チラッと店内を覗いてみると、残念そうに此方を見ている男性とか、隠してるつもりでバレバレにスマホを構える男性の姿を確認できた拳藤。

 

「あの···しばらく、このままで」

「···お安いご用だよ」

 

 

 

  土曜日

 

『一佳!!昨日物間君と抱き合ってた理由を詳しく!!』

「何もない!!何もないから!!」

『んなつまらない言い分はいいから!今すぐ、ここに集合!!レイ子も唯も首を長くして待ってるから!!!』

「はぁっ!!?!!?」

 

 

 

『なぁ、物間』

「休日の朝に、どうかしたのかい?心操君」

『漸く、拳藤と付き合い始めたって本当か?』

「はいっ?夏バテで変な妄想でもみみみみみ見たのかい???」

 

 

 

 




唐突な土砂降りで、布団と洗濯物が全滅して、ムシャクシャして書いた。後悔はしていない。

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