八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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「鷹と狙撃主と会長」

 

 

 

 

「ホークス?何で?」

「先輩こそ、家族放っておいていいんすか?」

「お前も、奥さん妊娠中でしょうが。私は、会長に呼び出されただけよ」

「義両親が頼りになるっすからね。呼び出されたのは俺もっすよ」

 

 会長に呼び出され、指定された店に来て案内された個室に居たのは、一月前に無事息子を出産した先輩、レディナガンこと筒美火伊那だった。

 

「あら、二人とも早かったのね」

「会長、ご無沙汰してます」

「お疲れさまっす、会長」

 

 次いで、呼び出した張本人であるヒーロー公安委員会会長が、共も連れずにやってきた。こうして、三人の会食が始まった。

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「火伊那は、まだお酒は駄目よね。ホークスはどうするのかしら?」

「俺も、アルコールはやめとくっす」

「そう、じゃあ麦茶を二つと、芋の水割りを」カシコマリー

「会長は飲むのね」

「私は、我慢する必要が無いもの。ここは私が持つから、料理は好きなものを頼みなさい」

「じゃあ、遠慮無く。取り敢えず、焼き鳥の盛り合わせっすかね~」

「相変わらず、焼き鳥好きだな。共食いしてる様にしか思えん」

「羽生えてるだけで、鳥の異形型じゃないっすから」

「···貴方達、まだそのやりとりしてるのね」

「「鉄板ネタなので」」オマタセシマシター

 

 会長の呆れ顔を他所に、俺も先輩も適当に料理を頼む。一通り注文し終え、届いた飲み物で一先ず乾杯。俺が、まだ先輩の指導を受けていた頃、会長がまだ会長に就任していない頃、時折こうやってご飯に連れてって貰っていたのを思い出す。

 

「子育ては順調かしら?火伊那」

「四苦八苦してます。廻や壊理、八斎會の人達が手助けしてくれているので、何とかといった所です」

「そう、それならいいわ。後、早めに孫の顔を見せに来てくれると嬉しいわ」

「貴女の孫じゃないでしょ、会長」

「あら、私は貴女を娘の様に思っているのよ?なら、貴女の子供は私の孫と言っても過言ではないわ」

「···何ですか、その理論は。まぁ、近い内に挨拶に伺いますよ」

「ふふ、楽しみにしてるわ。ああ勿論、壊理ちゃんも一緒にね」

「はいはい、分かりましたよ、お母さん」

 

 自棄糞気味に、ほうれん草のお浸しを口にする先輩。会長の視線がこっちに向いた。今度は、俺が標的の様だ。

 

「ホークスも、産まれたら早めに連れてきなさいね。火伊那の時同様、出産祝いはしっかり弾むわよ」

「···何となく、受け取りたくないんすけど。受け取ったら、無理難題言われそうで」

「そんな事はないわよ?無理でも難題でも無い事ならお願いするけど」

「俺、家族とゆっくりのんびり過ごしたいんすけど」

「私が老後を全うしたら、存分にどうぞ」

「うへぇ~」

 

 意味あり気な目線を此方に向けつつ、美味しそうにお酒を飲む会長を横目に、鶏皮を頬張りつつ、焼き鳥盛り合わせを追加する。そっから、基本的に俺と先輩が会長にからかわれつつ、和やかに食事が続いた。

 

「···ホークス」

「まだ何かあるんすか?会長」

「ふふ、ちょっと真面目なお話よ。貴方、私の後を継いで頂戴」

「ブッ!!なんば言うとですか!?」

 

 余りの内容に、思わず椅子から立ち上がってしまった。

 

「そんなに驚く事かしら?私も、ソロソロ引退を考える年齢だもの。後継者を指名してもおかしくないでしょう?」

「そ、そりゃそうでしょうが、何で俺なんすか」

「勿論、このドラ娘が断ったからよ」

「そんな面倒臭い役職、やる訳ないでしょう」

「いや、だからって俺っすか?目良さんとか、他にも適任な人いるでしょう」

「落ち着きなさい、ホークス。ちゃんと理由はあるわ」

「理由っすか」

「そもそも、火伊那は貴方への繋ぎとして就任して欲しかったのよ。貴方には火伊那の補佐をして貰いつつ、地盤固めの時間をとね」

「でも、先輩は断ったって···」

「当然だろ、私の手は血に汚れている」

「先輩、それは···」

「ヒーロー社会を守る為に、ヒーローに相応しくない行いをする者達を消してきた。その過去は消えない。反ヒーロー派には、良い燃料になるだろうよ」

「ハッキリ言って、今公安委員会の主要関係者は、私を含めソレに荷担してきたわ。貴方位なのよ、身綺麗なのは」

「身綺麗って、俺だって、実の親はヴィランっすよ」

「そこは、幾らでも美談に出来るわ。ヒーロー公安委員会は、ヒーローに対する抑止力でなければならない。今までは、血にまみれた恐怖を背景にしてきた部分があるわ。誰もがその正義を疑わない、唯一無二のヒーローの存在があったから、人々はヒーローに絶望する事が無かったから、それでも良かった」

「だが、その絶対的存在が居なくなった。エンデヴァーやお前が、オールマイトに劣るとは思っていない。だが、オールマイトが居なくなって大丈夫かと不安に思う人々が居るのも確かだ」

「ヒーローの信頼。今後、それを保つ為には、今までのやり方では駄目なのは確実。だから、血生臭いのは全部私が背負って持っていくから、No.2であり、人々がその背に憧れる貴方に、綺麗になった椅子に座って欲しいのよ」

「···考える時間が欲しいっすよ」

「私も、今日明日で退く訳じゃないわ。五年後辺りを目処に、組織の刷新をしていく予定だから、しっかりと悩みなさい」

 

 そして、会食はお開きとなった。先輩が、俺の肩をポンッと叩いて帰っていくが、俺が会長に就任したら、絶対こき使ってやる。そんな事を思いながら、愛する妻の待つ家へと翼を羽ばたかせた。

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「壊理と巡は?」

「よく寝てるわ。お世話ありがとう、廻」

「···公安から、何か言われたか?」

「巡を早く見せに来いとは言われたわ」

「それだけか?」

「心配しないで、それだけよ」

「なら、いい」

「ええ」

「···火伊那」

「何?廻」

「お前は、壊理と巡の母親で···俺の妻だ、忘れるな」

「何よ、唐突に。忘れた事なんて一瞬もありませんよ」

「なら、いい」

「変な廻」

 

 

 

 




原作、後一話で本当に終わるの?単行本に、後日談とか追加されっと嬉しいんだが。(出茶を是非)

評価と感想を、よろしくお願いします。
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