八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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原作完結記念「八年後」

 

 

 

 

「雄英よ!私は帰ってきた!!!」

「何叫んどんだ馬鹿」

「いやぁ、様式美かなぁと」

「出産明けで、まだ本調子じゃねぇんだから、ちったぁ大人しくしとれや」

「大丈夫だってば、旦那様。相変わらず心配性だなぁ」

「けっ!」

「皆、もう来てるかな?会うの楽しみだなぁ~」

 

 久しぶりに、母校に足を踏み入れた私と勝己。

 各々の夢に向かって、ここを巣立ってから早七年。皆、押しも押されぬプロヒーローとして、多忙な日々を送っている。

 まぁ、産休育休で子育てに励む仲間も、私含めて多いけれども。表じゃ黄金世代なんて言われてるけど、裏じゃ大恋愛世代なんて噂されてるとかなんとか。

 

「来たか、大変な時期に悪いな」

「やっほ~、心操君。いや~、先生も板についてきたんじゃない?」

「いや、まだまだだよ。相澤先生の、愛ある指導が継続中さ」

 

 私と勝己を出迎えてくれたのは、相澤先生の誘いで、去年から雄英高校で教師をやっている心操君。オイタをすると、容赦なく捕縛布でグルグル巻きにされると、生徒達に恐れられているらしい。まぁ一番の恐怖は、反省するまで嫁さん自慢を聞かされる事なんだとか。

 

「ちっ!さっさと案内しろや!」

「···爆豪は、本当に相変わらずなんだな」

「でしょう、口気を付けなって言ってるのに。そのせいで、この前のランキングでギリギリの10位だったってのに」

「うっさいわ!!」

「まぁ、それが爆豪の良さでもあるからな。こっちだ、大体の奴らはもう来てるよ」

 

 心操君の後を追って、校舎の中に入る。訓練施設は、増えたり減ったりしているけど、ここは殆ど変わらない。私達が卒業した時より、すこし綺麗になっているかな?位だ。

 

「ここだ。時間になったら、また呼びに来るから、ここで同窓会でもしつつ待っててくれ」

「懐かし~、案内ご苦労様でした」

 

 案内されたのは、かつて青春を過ごした教室。中からは、ガヤガヤと賑やかな声が聞こえる。もう一児の母になったけど、童心がムクムクと沸き上がってきた。

 

「やぁ!級友諸君!!私の名前は爆豪雪花。No.1ヒーローを目指すママさんヒーローだ!!」

 

 ドバァンという効果音を引っ提げて、華々しく教室の扉を開け放ち、高らかに宣言する私。ああ、この懐かしい感覚はが、たまらない。

 

「雪花君!生徒達は授業中なんだ!!静かにしたまえ!!」

「ぶー、ノリが悪いよ飯田君。いや、逆にノリが良いのか」

 

 インゲニウムⅡとして、お兄さんのインゲニウムと共に、街を駆け回っている飯田君が、いの一番に反応してくれた。当時と変わらぬ委員長ぶりを発揮して。まぁプライベートは、自由奔放な奥さんと、その血を色濃く受け継いだ娘さんに振り回されているとかかんとか。

 

「お前にしては遅かったな、爆豪」

「子供と離れるのが嫌で、時間ギリギリまで粘ってたとか?爆豪のかっちゃんパパ」

「電気、そりゃあんたの事でしょうが。迅雷と離れたくないーー!!って。出産、おめでとう、雪花」

「見て見て雪花。鋭奈、声出す様になったんだよ!!可愛いでしょ!!」

「まぁまぁ、爆豪。うちのが来月予定だから、準備するもんとか、色々アドバイス欲しいんだけど、いいか?」

「···ちっ!性別とか後で教えろや、瀬呂」

 

 私よりも一月早く親になった、切島君·三奈夫妻と上鳴君·響香夫妻。独立して個人事務所を立てたサンイーターに代わり、鉄哲君と共に、ファットガム事務所の次期エースとして活躍している切島君。三奈が妊娠してから、神経質な位過保護になった為に、三行半を突き付けられかけたのは、笑い話に出来て良かった。

 上鳴君の方は、ヒーロー活動の傍ら、両親と同じミュージシャンとしても活動する響香を、スタイルの良い(とある部分が大きい)女性アーティストに鼻の下伸ばして折檻されつつ、サポートしているようだ。まぁ、響香も本気で怒っている訳じゃなく、一種の愛情表現みたいなもんだから、別れるとかの心配はしておりません。

 瀬呂君も、順風満帆の様で何より。

 

「雪花ちゃーん!会いたかったよ~!!ねぇ、この前のCM見てくれた?」

「うわっと!もう、妊娠初期とは言え、そういうのは控えなさいって、透」

「そうだよ、透。ここに、僕達の大事な命が宿ってるんだから」

「は~い、猿夫君」

 

 後ろから飛び付いてきて、今は尾白君の尻尾に巻かれているのは、Mt.レディから広告女王の座を奪ったCM姫、先日目出度く妊娠が発覚したスケルトンヒーロー、尾白透。尾白君とは、相変わらず普通にラブラブの様だ。

 

「ルミナイネン」

「あ、常闇君。梅雨ちゃんはどう?順調?」

「ああ、何事もなく、今は実家でゆっくりしている。お前達と学年がズレる事を、少々残念がっていたがな」

「こればっかりは、授かり物だからねぇ」

「後、お前達の子供を見たがっていた。今度、顔を見せに行ってやって欲しい」

「OK」

 

 ヒーロー公安委員会会長に就任したホークスに代わり、ホークス事務所を引き継がされ、日夜空を翔けて、平和を守って飛び回る常闇君。いい加減、ヒーロー活動以外の時は、名前で呼んで欲しいのだか、恥ずかしがって、梅雨ちゃん以外の女子をヒーロー名で呼ぶのは相変わらずである。

 その梅雨ちゃんは、常闇君との第一子を身籠って、只今産休中。蛙の個性だから、もしかして卵生なのか?と密かに思っていたのは、私の中だけの秘密。あ、ちゃんと胎生だったよ。

 

「皆さん、お早いですわね」

「俺らが最後だったか?」

「あ、百に焦凍。まだ、お茶子と緑谷君が来てないかな、最下位回避だよ。経営に関する勉強の方はどう?ちゃんと頑張ってる?」

「まぁ、なんとかな。優秀な先生が側に居るし」

「焦凍さんは勤勉ですから」

 

 百と結婚し、八百万家に婿入りした焦凍。いずれ、跡取り娘として会社を継ぐ百。その配偶者として、経営に関する様々な事を、ヒーロー活動と平行して学んでいる。そのお陰か、ファンサの質も上がってきており、人気は鰻上りである。

 百?嫉妬に狂った過激ファン達の命を、ぶちギレた焦凍から守る為に、体を張っておられましたが何か?流石に、妊娠してからは、八百万家·轟家を中心に親世代が動いてくれたので、そういった過激ファン達は影を潜めたけども。

 

「あ、障子君がテレビ出てるよ」

「表彰だっけ。個性による差別、迫害を減らす為に、日本中駆け回ってるんだもんね」

「口田さんも映っておられますわね。仲間として、誇りに思いますわ」

 

 三奈が、携帯の画面を見せてきた。そこには、カメラのフラッシュを浴びながら、表彰状を受け取る障子君の姿があった。

 個性に起因する理由での差別や迫害、それを少しでも減らす為に、障子君は、同じ志を持った人達に協力して貰いながら、人々を助け、人々と語り合っている。自分達は、貴方方と変わらない、ただの人間なんだと、知って貰うために。

 まぁ私としては、ちょくちょくメディアに取り上げられた時、傍らに佇む超高身長な異形系の女性の事が、中々に気になるんですけどね。

 

「砂藤は店が忙しくて、峰田は帰ってこれないんだっけか」

「これ終わったら、皆で砂藤のお店に突撃しちゃおうよ」

「いいね!それ賛成!!」

「いや、流石に迷惑っしょ」

 

 去年、ケーキショップ"シュガールール"をオープンした砂藤君。ムキムキマッチョメンが、超美味しくて甘いお菓子を作るというギャップが話題を呼び、一躍有名店へ。ついでに、奥さんが超美人なのが発覚すると、「リアル美女と野獣」「菓子を作れば美人にモテる」「女は胃袋で落とせ」等々のアレがネットで飛び交い、男のお菓子作りブームが沸き起こったのは、記憶に新しい。お店が繁盛しているのに加え、お菓子作り教室の講師に呼ばれたり等、ヒーローよりもパティシエしてる時間の方が長くなったと、この前ぼやいていた。

 そして、峰田君は、まさかのアメリカ進出。

 日本じゃ、オイラの器は小さすぎる!!待ってろよ、世界の美女達!!!ってな感じで飛び出していった訳ではなく、修学旅行で、峰田君の個性に目を付けた人達がスカウトしに来たのだ。しかも、ちゃんとプルンでボインなアメリカンブロンドガールを派遣してきて。そうして、嬉々として海を渡った峰田君だけども、専らアメリカ軍のムキムキアメリカンネイビーと共に、血涙を流しながらヴィラン確保に邁進している。一応、マスコット扱いで女性達に人気はあるようだ。

 

「ごめん!遅くなって!!」

「ま、間に合った~」

「時間ギリギリじゃないか。社会人たるもの、10分前行動を心掛けるべきだ」

「は、早めに出たんだけど、ちょっと、事件に遭遇しちゃって、その対処してたらこんな時間に」

「交通事故とか、溺れてる子とか、迷子とか、銀行強盗とか、色々大変やって」

「む、そうなのか、それならば仕方ない。しかし、僕達にも連絡してくれれば、応援に行ったというのに」

「そ、それが、携帯壊れちゃって。お茶子さんは、携帯家に忘れちゃってたし」

「アハハ···うっかりしてもうて」

「まぁ、間に合ったんだからいいじゃん」

 

 そのパワーや戦い方から、二代目オールマイトと界隈で騒がれている緑谷君。まぁそれよりも、恋愛成就·夫婦円満の象徴として、お茶子共々、世間から騒がれ崇められているのだけども。いやぁ、緑谷君がお茶子にプロポーズしようとした時の、あの大騒動は今でも忘れられませんなぁ。

 お茶子は、トガさんが発起人となって始めた、個性カウンセリング事業を、梅雨ちゃんと手助けしている。トガさんが伸ばした手を、更に遠くへ届かせる為に。勿論、私達も協力してるけどね。

 

「お前ら、良く来てくれた」

「「「相澤先生!!」」」

 

 入ってきたのは、子供が産まれた事で、多少身嗜みをしっかりする様になった、でも服装は相変わらずの我らが元担任。お父さんの定年退職に合わせて、雄英を退職したお母さんに代わり、学年主任等の上の役職を担うようになって、日々大変なんだとか。

 

「相澤先生、今日は何のために、私達呼ばれたんですか?」

「ああ、うちの生徒達に、胸を貸してやってくれ」

「それは、僕達に生徒と戦えという事でしょうか?」

「その通りだ。流石に、妊娠中や出産して間もない奴には、サポートに回って貰うがな。順当に強くなってきてはいるが、少々天狗になってきてる生徒もいる。ここいらで、プロの本気っての見せてやりたくてな」

「···叩きのめしていいって事かよ、先生」

「死なない程度に、全力でだ、爆豪。先輩として、後輩に思う存分Plus Ultraさせてやってくれ」

「「「はい!!!」」」

 

 

 

「···大丈夫?洸汰君」

「イテテ、やっぱ、あの人達半端ないって」

「手も足も出なかったね」

「···まだまだ、背中は遠かったって事か」

「精進あるのみ、だね」

「Plus Ultraだよ」

(出水ーー!!壊理ちゃんの膝枕とか見せつけてんじゃねぇーーー!!!)

 

 

 

 




ヒロアカ祝完結!!堀越先生お疲れ様でした!!
ただ一言、八年後お茶子のヒーロースーツ、首にあるのはデクとお揃いの何ですか?!?


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