八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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第十三話「八木雪花とUSJ襲撃事件~魅せろ、次代の光~」

 

 

 

 

「ごっは!!!」

「八木さん!!」

 

 水難ゾーンを抜け、中央広場に戻ってきた僕達の前に、体の両側に白銀の巨大な腕を展開した八木さんが降ってきた。地面を二回位バウンドして、噴水の水と残骸を撒き散らしながら漸く止まる。

 

「雪花ちゃん!」

「梅···雨ちゃん、来るなぁああ!!」

「っ!ケローー!!」

「と、飛ばされるーー!!」

「くっ、梅雨ちゃん!峰田君!!」

 

 急いで駆け寄ろうとした蛙吹さんを、八木さんが叫んで止めた直後、八木さんの上に黒い塊が落下してきた。それがヴィランだと気付く前に、物凄い衝撃波で吹き飛ばされそうになる。

 

「や、やぎ···さん?」

 

 八木さんの時よりも広範囲に降ってくる瓦礫と水飛沫。立ち上る粉塵を吹き飛ばす様に、拳打の音が衝撃波を伴って響き渡る。

 

「うおおおおお!!」

『フゥハッハッハッハッ!!』

 

 黒い塊は、ガスマスクを着けたオールマイト並みの大男で、八木さんから放たれる巨腕のパンチを、自らの拳で意図も簡単に防いでいる。

 拳が合う度に、罅割れる巨腕を修復しながらもラッシュを止めない八木さん。止まればもう後がないと言わんばかりの必死な形相で。

 

「助けなきゃ···」

「デク君···」

「助けなきゃ!!」

「デク君!!」「緑谷!!」「緑谷ちゃん!!」

 

 僕は、5%のフルカウルを纏って飛び出した。OFAを人に向かって打つ、かっちゃんの時は、怖くてそれが出来なかった。でも、コイツはそんな泣き言を言っていられる相手じゃない。

 

『むっ?!』

「緑谷君?!」

「SMAAAASH!!!!」

 

 八木さんの迎撃に繰り出した右パンチ。それによって無防備になった右脇腹に向かって、渾身のスマッシュを放つ。

 

「なっ!!?」

『その程度かい、少年!!』

 

 僕の拳は、確かにヴィランの脇腹に突き刺さった。今度は、ちゃんと最後まで力を込めて殴った。なのに、奴は脇腹に力を込めただけで防がれてしまった。

 

「"雪やこんこん、霰やこんこん"!!」

 

 僕の体を押す程度の吹雪によって後退して出来た空間を、ヴィランの裏拳が素通りする。

 

「耐えただけで、効いてない訳じゃないでしょ!!」

『んぐっ、容赦ないね~まったく』

 

 八木さんが、僕が殴った場所と同じ箇所に打撃を加える。今度は、ちょっと小揺るいだ。そうだよ、一発でダメなら二発、二発でダメなら三発。より強く、倒れるまで殴り続ければいいんだ!!

 

「DETROIT SMAAASH!!」

「合わせる!スノウバンカー!!」

『まだまだぁあ!!』

 

 今度は、拳と拳がかち合う。骨に罅が入った。関係ない。まだいける。

 

「DETROIT SMAAASH!!」

「一回ぶっ飛べ!!」

『ぬぐっ!』

 

 僕と八木さんの拳が、クロスした腕に突き刺さる。構うことなく振り抜き、ヴィランが地面を削りながら10m近く殴られた勢いで後退する。

 

『中々やるね』

「当たり前でしょうが!!子供だからって甘く見ないでよね!!緑谷君、まだいける?」

「うん、いける。でも、全力で後二回殴ったら、腕が砕けると思う」

「オッケー、じゃあ「ウチらも手伝う!!」お茶子!」

「麗日さん。それに、峰田君と蛙吹さんも」

「ケロ、私達も微力ながらお手伝いするわ」

「オイラだって、足止め位なら出来らぁあ!!」

「見つけたぜぇえ!!クソヴィラン!!!」

「皆さん、ご無事ですか?!」

「あ、おーいみんな~!!」

「全員居るか!出席番号順に点呼を!!」

「かっちゃん!みんな!!」

 

 他のゾーンに飛ばされていた皆が集った。後は、轟君と障子君が合流すれば、A組全員集合だ。

 改めて、ガスマスクヴィランに向けて拳を構えると、パチパチと乾いた拍手をしながら、雲に乗った顔に手のオブジェをくっ付けたヴィランが降りてきた。

 

「おめでとう。全員じゃないのが残念だけど、まぁよくやったよ」

「···先生は」

「ああ、イレイザーと13号なら上で待ってるぜ。静かにな」

 

 その言葉に、皆ざわっとする。先生達がやられた。僕達が今からやり合おうとしている相手は、それ程の力を持った凶悪なヴィラン。

 

「さぁ、最終ステージと行こうじゃないか」

 

 

   ▼▼▼

 

 

「おいおい、なんだよ。あの雄英ヒーロー科って言っても、所詮はガキって事か」

「何やってんだ!クソ雪女ぁ!!」

「八木さんを、離せ!!」

 

 手も足も出なかった。オールマイト先生並みのフィジカルを持ったガスマスクヴィラン、手に触れた物を塵にする個性の顔手ヴィラン。

 A組の皆となら、どんなヴィランも倒せると信じていた。しかし、蓋を開けてみれば、フィジカルで対抗出来る超パワーの緑谷君、圧倒的な反射神経とセンスで触れずに接近戦の出来る爆豪君、その二人のサポートかつ自身も前線に立てる八木君の三人が辛うじて食らいついているだけで、僕自身も含め幼子を相手にする様に容易く蹴散らされてしまった。

 

「飯田さん、後どれぐらい走れますか?」

「八百万君?!······全力で20秒、限界を越えても1分までだ。何か策があるのかい?」

「···これで勝てるという保証はありませんが、思い付いたのが一つだけ。まだ、皆さんが動ける内に」

「分かった、聞かせてくれ」

 

 耳朗君に支えられながら側に来た八百万君の口から、作戦の内容が伝えられる。

 

「どうした、ヒーロー?もっと足掻いてみせろよ」

「ああ、そうさせて貰うさ!!上鳴君!!!」

「おうよ!全力全開130万ボルトーーーー!!!!」

『ぐぬっ!!』「ちっ、面倒な」

 

『作戦はこうですわ。まずは、ヴィラン二人の中間で倒れている上鳴さんの放電で、一瞬でも動きを止めます』

 

「次、麗日君!!瀬呂君!!」

「タァァァアーーーッチ!!!!」

「八木救出!!麗日回収!!」

『ぬおっ!!』「くそ、手ぇかかる」

 

『麗日さんの個性で、ガスマスクヴィランを浮かせます。瀬呂さんには、雪花さんの救出と麗日さんの回収をお願いしてあります』

 

「爆豪君!!芦戸君!耳朗君!」

「俺に命令すんな!!!」

「うん、酸を撒き散らすよ!」

「スピーカーが壊れるまで鳴らし続ける!」

「ああ、うざってぇ!!」

 

『もう一人の方は、爆豪さんを中心に芦戸さんと耳朗さんの遠距離攻撃可能な人で足止めを』

 

「緑谷君!常闇君!行くぞ!!」

「OFAフルカウル8%!!」

「行け!ダークシャドウ!!」

『うおおおあああ!!!!』

 

『飯田さん、緑谷さん、常闇さんのダークシャドウで、とある場所に向かってガスマスクヴィランを押して下さい』

 

「峰田君!切島君!砂藤君!」

「ばっちし準備OKだぜ!」

「男は気合いだあああ!!!」

「いつでもこいやぁああ!!!」

 

『私が創造した、超重量高硬度な金属板に峰田さんのもぎもぎをくっ付けて、切島さんと砂藤さんに支えて頂きます。それにヴィランをくっ付けるのです』

 

『う、動けん!!』

「尾白君!蛙吹君!口田君!」

「うおおおお!!!」

「ケッロォオオ!!!」

「っ!!!!」

 

『最後、尾白さん、蛙吹さん、口田さんで、動けないヴィランにもぎもぎの付いた瓦礫をぶつけて完全に閉じ込めてしまうのですわ』

 

「やった!!ヤオモモの作戦大成功!!」

 

『葉隠さんに走り回って貰って、皆さんに伝えて貰っていますわ。後は、飯田さんの号令だけ』

 

「あ~~、ゲームオーバーか。まぁでも、最後に一人くらい持ってかないとダメだよなぁ」

「···誰がさせるかっての、そのまま終わっとけ」

 

 個性を使いきってウェイウェイ言っている上鳴君に、その手を伸ばそうとした奴の体が、白銀にうっすらと包まれて止まる。八木君が個性を使って拘束したのか。

 

「どうだ!!これが、雄英高校ヒーロー科一年A組の力だ!!!」

 




本作の戦闘は、ぱぱっとすぱっと一話完結を目指しております。

という訳で、評価と感想をよろしくお願いします。
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