八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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「浴衣はやっぱうなじでしょ」

 

 

 

 

「お待たせしました、せんぱ···コホン、消太さん」

 

 

 今日は縁日。

 天下の雄英高校教師として、例年であれば業務に追われて、こういった催しに参加する余裕は無いのだけど、今年は根津校長直々に休みを取らされ、"二人で夏祭りに行ってきたら良いのさ"と、提案という名の命令を下された。

 プレゼントマイクとミッドナイトにも、同じ指令が下っていたみたいで、根津校長のお節介なのでしょう。消太さんも、担任しているクラスが三年生になった事で更に忙しく、中々二人だけの時間が取れなかったので、ありがたくお節介を受けさせていただきます。

 

「···いや、時間通りだ、亜南。······その、なんだ、その浴衣、似合っている」

「ありがとうございます。消太さんも、甚平姿が新鮮ですよ」

「···捕縛布が無いのが落ち着かん」

「フフッ、では、行きましょうか」

「ああ」

 

 照れ臭そうに、捕縛布がなく、髪をゴムで纏めた事で珍しく露になっている首筋を掻く消太さん。いつもカッコいい先輩ですけど、こういう所は可愛い。

 そんな事を思いながら、差し出された左手に己の右手を重ねて歩き出す。左手の薬指にある、冷たい金属を感じながら。

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「あっ!ちわっす、先生。相澤先生も、13号先生とデートっすか?」

「瀬呂···それと、君は勇学園の」

「せ、赤外可視子です。お久しぶりです」

「ああ······余り、羽目を外しすぎるなよ、瀬呂」

「分かってますって。じゃあ、俺ら行きますんで、また学校で」

「し、失礼します」

「ああ、楽しんでこい」

 

 夏祭りの会場に足を踏み入れた直後、教え子に出くわすとは、幸先が良いのか悪いのか。まぁ、出くわしたのが瀬呂で良かった。もし、

 

「八木さんや葉隠さんでなくて良かったですね、消太さん。あの子達だったら、ニヤニヤしながらからかってきていたでしょうね」

「···心を読むな、亜南」

「後輩で婚約者ですから、それ位察しはつきますよ」

 

 そう言って、自身の左手にある指輪を見せながら笑う亜南。何となく、顔を隠したくて、ゴーグルと捕縛布が恋しい。

 

「あ、わたあめ!お祭りなんて何年も来ていませんから、久しぶりに食べたいなぁ~」

「···はぁ、分かった、今日は全部俺の奢りだ」

「大好きです、消太さん」

「そんなので大好きと言われても、嬉しくはない」

「フフ」

「ほら、行くぞ」

「はい、消太さん」

 

 

「ん~~!甘~い、懐かし~。消太さんも一口どうですか?」

「···そういうのは、苦手だ」

「そう言わず、はい、どうぞ」

「······アムッ·········甘過ぎる、口の周りがベタベタする」

「砂糖ですから」アムッ

 

 ガキの頃は、よくこんなのを喜んで食ってたもんだ。まぁ、亜南が嬉しそうに食べているなら、それでいいが。

 

「ああ~!イレ先!!イレ先が謎の長身美女とデートしとっと!!」

「あ、相澤先生、うす。それと···13号先生?」

「不破、廻原」

「えっ?ああ!よぅ見れば13号先生っちゃん。コス脱いどる所あんまイメージなかけん、すぐ分からんかったたい。イレ先と婚約ばしたって噂は聞いとったけど、本当だったたいね」

「卒業式以来ですね、不破さん。プロとして、どうですか?」

「いやぁ~、まぁまぁっちゃね。元々担任の厳しい指導と、彼氏が優秀やけん、なんとかやっていけてるったい」

「そんな、俺の方こそ真綿先輩に助けて貰ってばかりで」

「謙遜せんでもよかよ。廻原君が前線張ってくれとるけん、私が落ち着いて対処出来てるのは間違いなか」

「真綿先輩」

「···そういうのは、二人っきりの時にしろ。後、お前は社会人だが、ソイツはまだ高校生だ。節度守れよ」

「あ、す、すみません」

「イレ先は、相変わらずしゃーしーっちゃ。そんなんじゃ、13号先生に愛想つかされるかもしれんったいよ」

「ご安心下さい、真綿さん。そんな所も含めて、消太さんを愛してますから」

「おおう、13号先生ってそがに情熱的なキャラやったと?廻原君、知っとった?」

「いや、俺も初めて知った」

「ほら、さっさとどっか行け。除籍処分は出来ないが、お前の所属事務所にクレームは入れられるんだぞ」

「やる気も無い癖に」

「(ギンッ!!)」

「じゃ、じゃあ、俺達はここで。ほら、真綿先輩、行きましょう」

「イレ先も13号先生もお幸せに~」

「とっとと行け!」

 

 いくら世間は狭いと言えど、何故こうも出くわすのか。

 

「はぁ···口直しにたこ焼きでも食うか」

「ネギたっぷりでお願いします。ついでに、フランクフルトと唐揚げも追加で」

「買ってくるから、そこのベンチで待ってろ」

「はい、お願いします、消太さん」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

  カランカラン

「お、やっと来たぜ」

「遅いわよ、イレイザー、13号。もう始めちゃってるわよ」

「二人とも、取り敢えずビールでいいかい?」

「ちゃんと、時間通りですよ、ミッドナイト」

「はい。あ、これ大地君に」

「わざわざありがとう···って何これ」

「消太さんチョイスです。止められませんでした」

「子供服だ、バザーで見つけてな」

「イレイザー···こんなのウチの可愛い大地に着せれる訳ないでしょうが!!」

「消太、服のセンスは相変わらずなんだな」

「うわ、本当にダサい」

「だ~HAっHAっHAっHAっ!!!!」

「······そんなにか」

「だから言ったじゃないですか、別なのにした方が良いって」

「············そんなにか」ショボーン

 

 

 

 




タイトルは、ただの作者の癖です。

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