「皆さん、お集まり頂きありがとうございます」
とある日の放課後、八百万百宅に集まったのは、八木雪花を除いたヒーロー科女子+発目明。
只のお茶会、にしては重々しい雰囲気のA組女子に、B組女子と発目が戸惑う中、議長的立ち位置にいる百が口を開いた。
「えと、何で私ら集められたの?雪花だけ居ないのは?」
「···先ずは、此方のデータをご覧下さい。三奈さん、透さん、お願いします」
「ハイハーイ!」
「これ、最近の雪花の様子を纏めたものなんだけど」
拳藤一佳が、おずおすと小さく手を上げて発言すると、百は芦戸三奈と葉隠透に頼み、全員に一枚のプリントを手渡していく。そこには、
1:眠そう、欠伸が増えた
2:腰痛を訴える事が増えた
3:ダルそう
4:便秘気味
5:臭いに敏感
6:(超重要)お昼御飯、大半が酸っぱいもの
大体そういう事が書かれていた。起こった日付や回数、食事の献立まで網羅されたそれは、読んだだけで、とある事を連想させてしまうものばかり。
ワナワナ肩を震わせたり、口に手を当てて驚愕したり、あっちゃーと天を仰いだり、見間違いじゃないかと何度も読み返したり、だからなんだと首を傾げたり。それぞれ色んな反応を示す。
「これって、そういう事?」
「···まぁ、字面だけ見ればそうじゃない?」
「ん」
「確証はあるの?」
「···いえ、あくまでも状況証拠からの類推ですわ」
「私らも、かもしれへん···て感じや」
「私達の杞憂であってほしいと、今でも思ってるわ」
一名を除いて、ズゥンと空気更に重くなる。
「······あの、これらがどうされたのですか?雪花さんが体調を崩されているという事ですか?」
その一名である、本当にピンと来てなさそうな顔で発言する発目明。
「·········発目さんにも分かりやすく、端的に説明致しますわ。雪花さんは、その······妊娠されているかもしれませんの」
「······へ?にんしん?」
「雪花のお腹に、赤ちゃんが出来てるかもって話」
「·····あかちゃん·········ベイビーーーー!!!!?」
▼▼▼
「·····」チーン
「···フリーズされてしまわれた発目さんは置いておいて、今後について話し合いたいのですわ」
「話し合うって、何を」
「先生方は、どういう反応をされているんですか?特に、実の母親でもある八木先生は」
「平常通り、かな」
「なら、別に私らが何かする必要なくない?本当に娘が妊娠してるなら、何かしらアクション起こすでしょ。やっぱ、あんたらの杞憂だって」
「でもでも、その娘が体調悪そうなら、気遣う位すると思う。身内贔屓強めなオールマイトでさえ、何もしてないんだよ?おかしいよ!」
「波風立てないよう、平常を装っているとも見れるわ」
「そう言われると、不自然と言えば不自然ノコ」
「それに、今妊娠初期なら、卒業式迎えた時も、そこまでお腹目立っとらんやろうし、それまで隠し通すつもりなのかもしれへんよ」
「オールマイトの娘が在学中に妊娠なんて、凄いスキャンダルだからね」
「学校としても、下手に休学等の処置を取るには、雪花さんは目立ちすぎますわ。最悪、雄英存続の危機に陥る事態にまで発展しかねません」
「oh~」
「爆豪は?本当に妊娠してるなら、あの嫉妬爆弾が無反応って事はないでしょ」
「爆豪ちゃんは、雪花ちゃんをより気遣う様になってるわ」
「雪花の側にべったり。何か話してるっぽいけど、聞き取れたのは、"無理すんじゃねぇ"とか"テメェは大人しくしとれ"とかかな」
「ん~、爆豪は気付いてる···とも取れる」
「ん」
「そうね、唯の言う通り、見守るしか出来る事はないと思う。後は、外にバレないよう気を付ける位?」
「······というかノコ、そもそも、雪花に直接問い質したノコ?雪花、自分が妊娠してるかもって自覚してるノコ?」
「「「···」」」
「その···何となく聞きづらくて」
「雪花なら、あっけらかんと"失敗して、妊娠しちゃった"と言ってきそうだし」
「何でも思った事は口に出てしまう私でも、直接尋ねるのは勇気がでなかったわ」
「下手に尋ねて、他の第三者の耳に入って噂になってもアレだもん」
「···あら、発目さん?復活されたのですね···何処にお電話を?」
「(prrprrprrガチャ)あ、雪花さん。雪花さんのお腹にベイビーが出来たというのは本当ですか?」
「「「発目さんーーーーー!!!!!!」」」
▼▼▼
「アッハッハッハッ!!!」
「笑い事じゃありませんわ!!」
「だってぇ!!な、なんか、皆最近ソワソワしてるなと思ったらプクク!!そんな勘違いしてるなんてHA~HAHAHA!!!」
昨日、突然電話してきた発目さんから、突拍子もないことを聞かれて何故に?と思ったら、まさか皆が、私が妊娠してるなんて勘違いしてるとか。
腹が捩れる位笑っちまうぜ。
「じゃあ、何で眠そうやったん?!」
「腰痛は?」
「ダルそうだったのは?!!」
「便秘は!?!」
「匂いは!!!?!」
「「「酸っぱいものは?!?!!!」」」
「ああっと、それは···」
う~む、話していいものやら。まいっか、どうせすぐバレる事だし。
「ちょっとね~、かっくんのお手伝い。かっくん、卒業したら個人事務所設立して、サイドキック経ずにプロデビューするんだって。だから、設立する為に提出する書類とか、事務所を開設する場所とか、その他細々とした事務仕事をね。かっくんは、デビューに向けての実績作りも必要だし、彼女としては、出来るだけ協力したげたいからさ。
で、睡眠時間減って眠いし、椅子に座ってる時間が長くて腰痛いし、疲れ取りきれないし、不規則で便秘になるよね。あ、匂いと酸っぱいものは偶々だよ。酸っぱいもの頼んでるんじゃなくて、ランチセットメニューが酸っぱいものだっただけ」
「···それだけですの?本当に、お手伝いだけですの?」
「······そうだよ」
「「「ジー(¬_¬)」」」
「······最近、かっくん、海老反りとプレスに嵌まってるから···」
「海老反り···」
「プレス···」
「首だったり腕だったり、こうグイーっと背骨限界まで反らされながらズドズド。マングリ返しさせられて、上からドスドス。只でさえ一戦一戦長いし、普通でも消耗するのに、体が回復しきりませんのよ」
「雪花、鏡見る?」
「そんな、惚けた顔で言ってもヤレヤレ感出しても、説得力ないよ」
「···だって、だんだん痛みが心地よくなってきて、気持ちいいんだもん」
「雪花、アンタ段々ドMに調教されてきてない?」
ちょこっと裏話
麗日お茶子経由で事務所設立を知った緑谷出久が、友達の力になりたいと要らんお節介を発動して、資料やらなんやらを纏めたノート持参で爆豪勝己に突撃し、"頼んどらんわ!!"とキレられたそうな。
そして、その原因となった八木雪花にも怒りの矛先が向き、三夜連続で抱き潰されるハメになったとさ。めでたしめでたし。
「全然めでたくなーーい!!!」
一度はやりたかった勘違い妊娠ネタ。
評価と感想をよろしくお願いします。