八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

188 / 244
「お騒が雪花」

 

 

 

 

「皆さん、お集まり頂きありがとうございます」

 

 とある日の放課後、八百万百宅に集まったのは、八木雪花を除いたヒーロー科女子+発目明。

 只のお茶会、にしては重々しい雰囲気のA組女子に、B組女子と発目が戸惑う中、議長的立ち位置にいる百が口を開いた。

 

「えと、何で私ら集められたの?雪花だけ居ないのは?」

「···先ずは、此方のデータをご覧下さい。三奈さん、透さん、お願いします」

「ハイハーイ!」

「これ、最近の雪花の様子を纏めたものなんだけど」

 

 拳藤一佳が、おずおすと小さく手を上げて発言すると、百は芦戸三奈と葉隠透に頼み、全員に一枚のプリントを手渡していく。そこには、

 

 

1:眠そう、欠伸が増えた

2:腰痛を訴える事が増えた

3:ダルそう

4:便秘気味

5:臭いに敏感

6:(超重要)お昼御飯、大半が酸っぱいもの

 

 

 大体そういう事が書かれていた。起こった日付や回数、食事の献立まで網羅されたそれは、読んだだけで、とある事を連想させてしまうものばかり。

 ワナワナ肩を震わせたり、口に手を当てて驚愕したり、あっちゃーと天を仰いだり、見間違いじゃないかと何度も読み返したり、だからなんだと首を傾げたり。それぞれ色んな反応を示す。

 

「これって、そういう事?」

「···まぁ、字面だけ見ればそうじゃない?」

「ん」

「確証はあるの?」

「···いえ、あくまでも状況証拠からの類推ですわ」

「私らも、かもしれへん···て感じや」

「私達の杞憂であってほしいと、今でも思ってるわ」

 

 一名を除いて、ズゥンと空気更に重くなる。

 

「······あの、これらがどうされたのですか?雪花さんが体調を崩されているという事ですか?」

 

 その一名である、本当にピンと来てなさそうな顔で発言する発目明。

 

「·········発目さんにも分かりやすく、端的に説明致しますわ。雪花さんは、その······妊娠されているかもしれませんの」

「······へ?にんしん?」

「雪花のお腹に、赤ちゃんが出来てるかもって話」

「·····あかちゃん·········ベイビーーーー!!!!?」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「·····」チーン

「···フリーズされてしまわれた発目さんは置いておいて、今後について話し合いたいのですわ」

「話し合うって、何を」

「先生方は、どういう反応をされているんですか?特に、実の母親でもある八木先生は」

「平常通り、かな」

「なら、別に私らが何かする必要なくない?本当に娘が妊娠してるなら、何かしらアクション起こすでしょ。やっぱ、あんたらの杞憂だって」

「でもでも、その娘が体調悪そうなら、気遣う位すると思う。身内贔屓強めなオールマイトでさえ、何もしてないんだよ?おかしいよ!」

「波風立てないよう、平常を装っているとも見れるわ」

「そう言われると、不自然と言えば不自然ノコ」

「それに、今妊娠初期なら、卒業式迎えた時も、そこまでお腹目立っとらんやろうし、それまで隠し通すつもりなのかもしれへんよ」

「オールマイトの娘が在学中に妊娠なんて、凄いスキャンダルだからね」

「学校としても、下手に休学等の処置を取るには、雪花さんは目立ちすぎますわ。最悪、雄英存続の危機に陥る事態にまで発展しかねません」

「oh~」

「爆豪は?本当に妊娠してるなら、あの嫉妬爆弾が無反応って事はないでしょ」

「爆豪ちゃんは、雪花ちゃんをより気遣う様になってるわ」

「雪花の側にべったり。何か話してるっぽいけど、聞き取れたのは、"無理すんじゃねぇ"とか"テメェは大人しくしとれ"とかかな」

「ん~、爆豪は気付いてる···とも取れる」

「ん」

「そうね、唯の言う通り、見守るしか出来る事はないと思う。後は、外にバレないよう気を付ける位?」

「······というかノコ、そもそも、雪花に直接問い質したノコ?雪花、自分が妊娠してるかもって自覚してるノコ?」

「「「···」」」

「その···何となく聞きづらくて」

「雪花なら、あっけらかんと"失敗して、妊娠しちゃった"と言ってきそうだし」

「何でも思った事は口に出てしまう私でも、直接尋ねるのは勇気がでなかったわ」

「下手に尋ねて、他の第三者の耳に入って噂になってもアレだもん」

「···あら、発目さん?復活されたのですね···何処にお電話を?」

「(prrprrprrガチャ)あ、雪花さん。雪花さんのお腹にベイビーが出来たというのは本当ですか?」

「「「発目さんーーーーー!!!!!!」」」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「アッハッハッハッ!!!」

「笑い事じゃありませんわ!!」

「だってぇ!!な、なんか、皆最近ソワソワしてるなと思ったらプクク!!そんな勘違いしてるなんてHA~HAHAHA!!!」

 

 昨日、突然電話してきた発目さんから、突拍子もないことを聞かれて何故に?と思ったら、まさか皆が、私が妊娠してるなんて勘違いしてるとか。

 腹が捩れる位笑っちまうぜ。

 

「じゃあ、何で眠そうやったん?!」

「腰痛は?」

「ダルそうだったのは?!!」

「便秘は!?!」

「匂いは!!!?!」

「「「酸っぱいものは?!?!!!」」」

「ああっと、それは···」

 

 う~む、話していいものやら。まいっか、どうせすぐバレる事だし。

 

「ちょっとね~、かっくんのお手伝い。かっくん、卒業したら個人事務所設立して、サイドキック経ずにプロデビューするんだって。だから、設立する為に提出する書類とか、事務所を開設する場所とか、その他細々とした事務仕事をね。かっくんは、デビューに向けての実績作りも必要だし、彼女としては、出来るだけ協力したげたいからさ。

 で、睡眠時間減って眠いし、椅子に座ってる時間が長くて腰痛いし、疲れ取りきれないし、不規則で便秘になるよね。あ、匂いと酸っぱいものは偶々だよ。酸っぱいもの頼んでるんじゃなくて、ランチセットメニューが酸っぱいものだっただけ」

「···それだけですの?本当に、お手伝いだけですの?」

「······そうだよ」

「「「ジー(¬_¬)」」」

「······最近、かっくん、海老反りとプレスに嵌まってるから···」

「海老反り···」

「プレス···」

「首だったり腕だったり、こうグイーっと背骨限界まで反らされながらズドズド。マングリ返しさせられて、上からドスドス。只でさえ一戦一戦長いし、普通でも消耗するのに、体が回復しきりませんのよ」

「雪花、鏡見る?」

「そんな、惚けた顔で言ってもヤレヤレ感出しても、説得力ないよ」

「···だって、だんだん痛みが心地よくなってきて、気持ちいいんだもん」

「雪花、アンタ段々ドMに調教されてきてない?」

 

 

 

  ちょこっと裏話

 

 麗日お茶子経由で事務所設立を知った緑谷出久が、友達の力になりたいと要らんお節介を発動して、資料やらなんやらを纏めたノート持参で爆豪勝己に突撃し、"頼んどらんわ!!"とキレられたそうな。

 そして、その原因となった八木雪花にも怒りの矛先が向き、三夜連続で抱き潰されるハメになったとさ。めでたしめでたし。

 

 

「全然めでたくなーーい!!!」

 

 

 

 

 




一度はやりたかった勘違い妊娠ネタ。

評価と感想をよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。