「んじゃこりゃーーーー!!!!」
教室に響き渡るかっくんの絶叫。
「···爆豪も知らないのか」
「当たり前だろうが、ボケェ!!!!良いから、さっさと灰にしろや半分野郎!!!!!」
「いや、他人の物を勝手に燃やせないだろ」
「知るか!!テメェがやんねぇなら、俺がこの手で消し炭にしたるわ!!!!」
「かっくん、どうどう!!落ち着いて落ち着いて」
「離せ!!!」
暴れるかっくんを、後ろから抱き締めて抑える。
何で、かっくんがこんなにも怒って暴れているのかというと、焦凍が持ってる一冊の薄い本のせい。
その本の表紙には、結構耽美な絵柄で、上半身裸なかっくんが、これまた上半身裸な焦凍の胸に抱かれているイラストが描かれていた。そう、どこのどなたが描いたのか知らないけど、かっくんと焦凍を題材にした、BでLな同人誌である。
「描いた奴出てこいやぁ!!!!」
▼▼▼
「で、焦凍はどうしたの?その本」
「拾った」
「···なんで、職員室に届けなかったのさ」
「俺が描かれてるから、中身気になった」
埒があかないので、かっくんを雪像に封じ込めて、焦凍に事情聴取。おいコラ三奈、やんごとない純粋培養お嬢様に、んな特級呪物読まそうとすな。透も煽るな。
「俺が、なんで爆豪押し倒してキスしてんのか意味分かんねぇけど、まぁ絵は上手かったな」
「誰が、感想を言えと言った。たく、それ相澤先生に渡してくるから、こっち渡して」
「ええ~!今良いところなのに~~」
「なのに~~じゃない」
「雪花だって、気になるんじゃないの~?」
「彼氏と従兄弟のくんずほぐれつなぞ、見たかないわ!!つか、かっくんが受けな時点で解釈違いだわ!!!んなだったら、毎回毎回ヒィヒィ言わされとらんわ!!!ヒィヒィ言わしとるわ!!!!」
「怒るとこ、そこなんやね」
「攻めだったら、良かったのかしら」
「焦凍さん···お尻、お使いになりたいのでしょうか···」
「うえっ!!ウ、ウチに聞かないでよ!!」
こうして、多少騒ぎになりつつ、落とし物は相澤先生の元に届けられ、相澤先生からお母さん、お母さんからミッドナイト先生に渡って、本人に返されたとの事。
それで、この事件は風化していくかと思われた。
数日後
「テメェは、また何読んどんじゃゴラァ!!!!」
「漫画」
「んな事聞いとらんわボケェ!!!」
またまた、かっくんの怒声が響き渡る教室。
性懲りもなく、また焦凍が、二人の腐な本を拾ってきたのかと思いきや、今度はその逆だった。
表紙に描かれているのは、今にもキスしそうな、互いの頬に手を添えて見つめ合う私と百。はい、その通り。薔薇じゃなくて百合本である。
取り敢えず、峰田君が動き始める前に、雪像に封印した。彼の命を守るために。
「···また、拾ったの?」
「拾った」
「すぐに捨てろやド阿呆!!!」
「百が描かれてる物を、俺は捨てられない。ここに描かれてる百は、確かに良く描けているが、ここのこの部分に黒子がない。それに、百はここを攻められて、こんなヨガリ方はしない」
「テメェの女の事なんざどうでもいいんだよ!!雪花が、んなねちっこい攻め方する訳ねぇだろうが!攻めようとして返り討ちにあうに決まっとろうが!!事後に、悔しげに睨んでくんのが良いんだろうが!!!」
「焦凍さん!恥ずかしいのでストップですわ!!」
「かっくん!!実際確かにそうだけど、ここで暴露する事じゃないよね!!!」
「···かっちゃん、怒るとこ、そこなんだね」
「受けと攻めが逆。結局、雪花ちゃんも爆豪君も、言いたい事同じって事やんね」
こうして、私と百が精神的ダメージを負いながら、再び例のブツは相澤先生の元に。渡された相澤先生は、速攻で使いまわしの封筒に入れて封印し、ミッドナイト先生の元へ。今度から、こういうのはミッドナイト先生に直で渡してくれと言われた。
数日後
「···轟君、何読んでるの?」
「漫画」
「な、な、な、な、」
「あ、お茶子。お茶子も読む?凄いキュンキュン出来るよ」
登校してきた緑谷出久と麗日お茶子が目にしたのは、最近何かと教室を騒がしている、薄い本と同じ位の厚さの本を読んでいる、クラスメート達の姿だった。
取り敢えず緑谷は、皆が読んでる薄い本を、机に山積みしている轟焦凍の元へ。お茶子は、固まって読んでいる女子グループの元へ。
「···それ、どうしたの?」
「今朝来たら、置いてあった」
「···そうなんだ」
「緑谷も読むか?」
轟焦凍が読んでいる本の表紙には、とても可愛い絵柄の、緑谷出久と麗日お茶子が描かれていた。
怖いもの見たさで一冊手に取り、パラパラと開く。そこには、何とも美化された自分達。余りの恥ずかしさに、本を閉じて元の位置に戻してしまった。
「···面白い?」
「すげぇ、ほっこり出来る」
「···そうなんだ」
「俺も、今度百とこんなデートしてみてぇって思った」
「···ふ~ん」
「でも、俺には真似出来ねぇ。完敗だ、緑谷」
「いや、フィクションだからね!!」
この後、相澤先生が教室に来るまで、緑谷出久と麗日お茶子を題材に、ほのぼのデートや日常生活を描いた本を、ほっこりとした気持ちで読む、A組であった。(因みに、爆豪勝己はインターンで不在)
▼▼▼
「やはり、売り上げは出茶(健全)がダントツですね」
「もうすぐ卒業されますので、生で見れなくなる寂しさから、書き手もハッスルしておりますし、需要は更に高まると思われます」
「なるほどね~。いっその事、出茶限定の即売会でも開いてみましょうか」
「良いですね、ソレ。今度、議題にあげてみます」
「後、管理は徹底して頂戴ね。今回は、何とか校長にお目こぼしして貰ったけど、次は注意じゃ済まないかもしれないから」
「「「はい!ミッドナイト先生!!」」」
「それと、健全本でも、轟焦凍君の机に置いたりするのも禁止よ。幾ら、忌憚のない意見を言ってくれるとしてもね」
「「「···はい」」」
雄英高校経営科秘密同人サークル『U-A』(学校公認)も、あの子達のお陰で稼がせて貰ったわ。ふふ、次はどんな子達が出てくるかしらね、ジュルリ。
A組の面々で盛り上がる前は、天喰環×通形ミリオ一強だったらしい。
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