都内某所。
とある大型健康ランド内にあるサウナ施設に、腰にタオルを巻いた多くの人間が集まっていた。
『それでは、ヒーロー協会主催チャリティーイベント恒例、"チキチキサウナ我慢大会"を開始ししたいと思います』
「「「おおおーーーー!!!」」」
『今回、皆さんが争って頂くヒーローは···この方達だ!!!』
司会者の声と共に、あからさまにちゃっちく作られた入場ゲートのカーテンが開き、体にタオルを巻いた複数人の女性ヒーロー達が行進してきた。
「「「うおおおおおーーーーーー!!!!!」」」
『さぁ、正直紹介しなくても皆知ってる方々だとは思うが、紹介させて貰うぞ!現在女性最高位!去年の大地震、津波から人々を守るために立ち続けた不屈のNo.4!チームラーカーズより、Mt.レディ!!』
「よろしくお願いしま~す」
『続いて、ヒーロー史において、初めて服装規定を設けさせた生きる伝説!プレゼント·マイクとの婚約を発表して、多くの男が涙した!我らが18禁ヒーロー、ミッドナイト!!』
「うふふ、かかってらっしゃい」
『三人目は、学生時代から、多くの男性を虜にした期待の新人!!でも、最近サンイーターとの熱愛報道でお茶の間を賑わせた!ネジレチャン!!』
「負けないよ~」
『そして四人目!まさかまさかの、このお方!何年振りの復活だ?女性ヒーロー史に燦然とその名を輝かせる生ける伝説!かの平和の象徴のハートを射止めていた氷の女王!ねぇ、貴方本当にもうすぐ五十路?アイスメイカー!!』
「···女性に年齢の話題はご法度ですよ」
『あ、すみません。き、気を取り直して、最後はこの子!来年、遂にプロデビュー!二年前の衝撃告白より、世界中の誰もが注目しているであろう!母子で参戦!オールマイトの娘!ルミナイネン!!』
「お母さんにも勝つ!!」
男共の暑い視線を受けながら、紹介を受ける彼女達。会場のボルテージは上がりまくり、まだサウナ室に入っていないのに、ここがサウナになってしまったかの如く暑苦しい。
『おおっと、忘れていた。まさか、この美しき女性達に、不埒な真似をしようとする様な輩は居ないと思うが、今回もボディーガードを用意させて貰った。入ってきてくれ!!』
「「「···うおおおおーーーーーーーー!!!!!」」」
女性陣の登場よりも、更に大きな声があがった。
「あ~、今巻いてと指示があったので、簡単に紹介させてもらいます。Mt.レディのガードは、チームメンバーのシンリンカムイ!ミッドナイトのガードは、同僚のセメントス!ネジレチャンのガードは、彼氏の上司ファットガム!アイスメイカーのガードは、彼女の愛する夫オールマイト!ルミナイネンのガードは、姪っ子に不埒な真似はさせんと、日本が誇るNo.1ヒーローエンデヴァーが足を運んでくれたぞ!!
さぁ!心の準備はいいか、チャレンジャー!!賞品目指して、我慢大会スタートだ!!」
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はい、という訳で始まりました、毎年恒例の大型チャリティーイベント。
24時間かけて、色んなヒーローが色んなイベントやって、寄付を募る催し。今回だと、大規模地震の被災者に向けてって感じかな。
その中でも、圧倒的寄付率を誇るイベントが、女性ヒーローと一般参加者が争うこの我慢大会。テレビの前の存在が、汗に濡れる艶やかな姿を直視出来ると、多くの男性が寄付金三千円で貰える参加チケット求めて寄付をしている。私ら女性ヒーローが、全員ギブアップしても残ってた人達全員に配られる、私達全員のサインが入った色紙と、ガード含めた全員との握手券を狙ってって人も大勢だけど。
前までは、ミルコとかリューキュウとかプッシーキャッツとか、そこら辺りの知名度を誇る人らが来てたんだけど、昨今の結婚ブームで、妊娠してたり出産直後だったりと、参加出来る女性ヒーローが少なくなっちゃって、お母さんとか私とかにもお声がかかったのです。
しかし、私とかお母さんて、個性の関係で暑さに比較的弱いんだけど、コレッて様するに、盛り上がり処を作る為の早期脱落枠って人選だよね。
「無理はするなよ、雪花」
「···サウナの暑さより、炎司叔父さんの熱でダウンしそう」
「···その時は、スマン」
真後ろの、一段高い所に鎮座する叔父さんから声が掛かる。それを、振り向かずに苦笑しながら答える。幾ら、タオルの下に水着着てるからポロリの危険は無いとは言え、叔父さんの股間を見上げるのはちょいと勘弁。
私をコの時に取り囲む様に座る参加者も、叔父さんの威圧感で、皆私から目を反らして俯いてる。勇気を出して、チラチラ見てくるのが関の山だね。可哀想に。
モニターで、別部屋の様子も確認出来るけど、お母さんの所以外は、普通に鼻の下伸ばした参加者いっぱいだねぇ。お母さんの所?お父さんの膝に横座りして、人目を憚らず、公共の電波に乗っても大丈夫な程度にイチャイチャされておられます。私も、かっくんにガードして貰いたかったなぁ。お茶子とか百を筆頭に、A組B組その他知り合い一同から、絶対放送事故になるからやめろと止められたけど。まったく、心外だなぁ。ちょっとかっくん興奮させて、かっくんの男の威厳の凄まじさを、有象無象に見せつけてやろうかなぁとか考えてただけなのに。
「ふぅ···暑い······」
タオルの裾とか胸元とかを、ちょっとパタパタさせる。はしたないって言われるだろうけど、暑いんだから仕方がない。それに、不純な動機かもしれないけど、しっかりと寄付して来てくれた人達に、少し位サービスしてあげてもいいじゃん。そのお陰で、助かる人達が居るんだし。
「ギブアップします」
「ギ、ギブアップ···」
「くそ、もう無理だ」
ポツポツ、サウナ室から退場する人が出てきた。あ、頑張って耐えてる若い燕に舌舐りしながら興奮してたミッドナイト先生が、誤って個性発動させちゃって、参加者眠らせちゃったから、危険と判断されて退場させられちゃった。オイオイ。
次に退場したのは、「暑い~~、もう無理~~」って言って、サウナ室から出ていった波動先輩。Nt.レディはまだ大丈夫そう。お母さんは、ボツボツ限界かなぁ。お父さんにしなだれ掛かってるし。そこら辺の見極めは、お父さんがしっかりやってくれる筈。
「···大丈夫か?雪花」
「ん?まぁ、なんとか。お母さんがギブアップしたら、適当な所でMt.レディに後を託すつもり」
「···そうか」
「叔父さんは?もう若くないんだから、無理しないようにね」
「ふん、この程度の暑さで、どうにかなる俺ではない」
「だよね~」
目の前を陣取って座る、特徴的なツンツン爆発頭の男子に向かって、足を組んだり、ちょっと前屈みになって谷間が見えるかもって姿勢をしたりとちょっかいかけつつ、叔父さんと気分転換の会話をする。
あ、お父さんが、ちょっとぐったりしたお母さんを、お姫様抱っこで連れ出した。うん、様になるねぇ~。さて、じゃあ、私もソロソロ···ん?何か、Mt.レディの所が騒がしいな。
「···アレは、気絶している様だな」
「マジで!!?余裕そうだと思ってたけど、もう限界迎えてただけ?!?」
「残りは、お前一人だな」
「うそ~ん」
色紙の枚数的に、100人位でお願いしますって言われてんのに、まだ1000人以上残ってるんだよ?ふざけんなよなぁ。
「叔父さん、私が気絶するまで、手出し無用だからね」
「···分かった」
「オールマイトとアイスメイカーの娘舐めんなよ。こうなったら、誰にも賞品渡してやらんからな。色紙は、私が責任持ってオークションで売り捌いてやる」
「···それは、色んな意味でよせ」
▼▼▼
「ふはぁ~~、極楽だった~極楽だった~」
「たく、無茶してんじゃねぇよ」
「何?一人で健気に頑張った恋人に、労いの言葉はないんですか~?」
「ちっ」
「ご褒美が、こんな高級な温泉旅行だったんだから、頑張った甲斐があったもんだよ」
「頑張りすぎなんだよ、馬鹿が」
「ひどい~、甘やかして~」
「···たく、ほれ」
「ぬふふ~、かっくんのひっざまくら~♪」
満足げに、己の膝に頭を乗っける恋人の髪を、優しく撫でる彼氏であった。その手が、お尻に向かうのは、13分と32秒後の事である。
因みに同じ旅館には、サンイーターに襲い掛かるネジレチャンだったり、ゆったりと月見酒に興じるアイスメイカーとオールマイトだったり、なんとなく気まずいというか、こっ恥ずかしい気持ちを互いに抱くMt.レディとシンリンカムイが泊まってたりする。
え?ミッドナイト?イレイザーヘッドとプレゼントマイクと根津校長にこんこんと説教されながら、反省文を書かされておりますが何か?
この世界で、24時間テレビ的なのどんなのかなぁって思って、ウチらしいコメディをグニャグニャネリネリジュージューさせてみたら、こんな感じになりもうした。
まぁ、有り体に言ってしまえば、寄付金という名のお金払って、有名人と直接交流する権利を買ってね。そのお金は、困ってる人の所に送られるよ、てな事です。
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