「キャーー♥♥可愛いーーー♥♥♥」
「愛らしいですわ~♥♥♥」
「可愛ええなぁ~♥♥♥」
「はなせ!!はなせよ!!」
「···」
「え、えと、あの」プシュー
雄英高校ヒーロー科三年A組の教室は、少々カオスになっていた。それは何故か。八木雪花、八百万百、麗日お茶子の腕に抱かれている、4、5才位の男の子三人の所為である。
事の起こりは一時間前。プレゼントマイク先生の英語授業を受けていると、突如、爆豪勝己·轟焦凍·緑谷出久の三人が、謎の光に包まれた。すわ何事かと身構え、助けようと行動しようとした瞬間、目映い光が三人から放出されると、そこには、ぶっかぶかの制服に埋もれる、とっても小さく幼くなった三人がいたのである。
直ぐ様、プレゼントマイクから連絡を受けた、担任の相澤先生や八木学年主任が駆けつけ、事態の把握に努めた。相澤先生の抹消は効果が無く、原因は不明かと思いきや、雄英高校にエンデヴァーから緊急連絡が入った。何でも、彼の長男である荼毘こと轟燈矢も、同じ様に幼児化したとの事。原因は、昨日件の三人と荼毘が捕まえたヴィランの個性によるものらしい。
色々割愛するが、一定時間後に、対象を個性発現前まで戻す(記憶も戻す)という個性だとの事。幼児化している時間は、個人個人で違うらしいが、だいたい12時間~48時間で元に戻るとのこと。
それぞれの親に電話で、担任から事情を説明して迎えに来て貰う様頼むので、その間面倒を見ておいてくれと頼まれ、それぞれの恋人が、超ハイテンションでその任を承ったのである。
ぶかぶかの制服から、百創造の服に着替えさせ(一名大暴れ)、各々の膝の上に乗っけて授業を受け(一名もがく)、抱き上げ撫で回しこねくり回す休憩時間(一名超抵抗)。
では、それぞれの場面を切り取って見ていくとしよう。
▼▼▼
side轟百
「焦凍さん、美味しいですか?」
「···うん」チュルチュル
「っ~~♥♥」カシャシャシャシャ
「ヤオモモ、ちょっと落ち着いて」
まだぎこちない箸使いで、ランチラッシュ特製お子様そばセットを食べる焦凍君。それを、プリプリという効果音を舞い踊らせながら、スマホを構えて連写する八百万百。それらを、呆れ顔で眺める耳郎響香他数名。
雪花曰く、"その頃の焦凍は、蕎麦食わして抱っこしてりゃいいよ"との事。その言葉通り、終始キョトンとした顔こそしているが、とても大人しく、全てを受け入れている。
いつものクールさが無く、天然度100%な焦凍君に、周りの皆も目がニンマリである。
「······」ウツラウツラ
「眠いのですか?焦凍さん」
「···」コク
お昼ご飯を食べ終え、船を漕ぎだした焦凍君。半目になりながら無言で百に近付くと、ギュッと百に抱きついて、ヒーロー免許本免試験に向けて脂肪を蓄え中の為に、いつもより更に豊満さを増したその胸に、思いっきり顔を埋めて寝息を立て始めたのである。
「···やっぱ、轟だね」
「ああ、そうだな」
「っ~~~♥♥♥♥♥」
その後、百がお手洗いに行きたいという事で、眠っている焦凍を響香に預けたのだが、耳郎に抱かれて数秒後、目を覚まして何とも不満気に響香を見上げやがったので、戻ったら絶対にぶん殴ると、心に決めた響香なのであった。因みに、百が戻ってきたら、即百の所に戻ってその胸に顔を埋めるのであった。
side緑谷出久
「おかえりなさい、出久、お茶子ちゃん」
「ただいま帰りました」「···ただいま」
「本当に、小さい頃の出久なのね」
「お母さん?···ちょっと、太い?」
「ふぐっ!!そ、そうよね、あの頃と比べたら、太いわよね。お茶子ちゃん、またメニュー考えて貰える?」
「あ、アハハハ(;゚∇゚)分かりました」
お茶子お姉ちゃんに手を引かれて、帰ってきた自分の家に、自分の家じゃないという違和感を感じながら、なんとなく横に広いお母さんが出迎えてくれた。
晩御飯の支度をしてくるから、ここで待っててと、自分の部屋と言われた部屋に案内された。そこは、自分の知らないオールマイトグッズに囲まれた部屋だった。ベッドには、大分色落ちをして、所々継接ぎされたオールマイトなりきりパジャマ。
そして、大きめなコルクボードに貼られた、僕に似た男の人と、仲良さげに写るお茶子お姉ちゃんの写真達。これが、未来の僕。僕、本当に未来に来ちゃったんだ。
「(シャワシャワ)痒いとこない?」
「な、な、ないです!!」
「そか、じゃあ流すよ~」ジャー
結構シリアスな雰囲気出してた筈の僕は、お茶子お姉ちゃんにお風呂で髪を洗って貰っていた。てっきり、いつもの様にお母さんと入るんだと思って、お風呂場で服を脱いでたら、普通にお茶子お姉ちゃんが入ってきた。
お母さんといつも一緒に入ってるのに、何で、こんなにビックリしてドキドキしてるのか分からない。
「ふぅ~、ええお湯やね」
「は、はい」
お茶子お姉ちゃんに、後ろから抱き締められながら湯船に浸かる。
「······あの、お茶子お姉ちゃん」
「ん?」
「僕、ヒーローになれる?」
「···」
「オールマイトみたいな、強くて、優しくて、皆を守れる様な、すごいヒーローに、僕、なれるかな?」
「···うん、なれるよ。いや、もうなっとる。私や引子さんにとって、君はオールマイトよりも凄い、とっても凄い自慢のヒーローや」
「ほ、本当!!」
「本当。私と二人で、オールマイトに勝った事もあるんよ?」
「ええっ!!お、お、オールマイトに!!!」
「そや、オールマイトに。あん時のデク君も、格好良かった」
「そ、そうなんだ···」
「···こっち向いて」
「えっ?」
「君が、立派なヒーローになれるおまじない」チュッ
お茶子お姉ちゃんが、僕のおでこに唇をくっつけた。
「頑張れ。頑張れって感じのデク君」
side爆豪勝己
「やめろ!はなせ!!一人で寝れる!!!」
「はいはい、お姉ちゃんと一緒に寝ましょうね~。お義母さんお義父さん、おやすみなさい」
「おやすみ~、雪花ちゃん」
「おやすみ」
先生から連絡があった通り、小さくなった勝己を小脇に抱えて、勝己の部屋に入っていく雪花ちゃん。
天狗になる前で、まだちょっと小生意気なだけの勝己は、まぁ可愛くて構いたくなるのよねぇ。元に戻った時に、雪花ちゃんにご飯食べさせて貰って、お風呂入れて貰って、着替えまでして貰ったって言ったら、あの子どういう反応するかしら。
「···大丈夫かな?」
「あら?何が?」
「大抵、こういう場合って、アレだから」
「アレじゃ分かんないわよ、具体的に」
「多分、抵抗する勝己を抱き締めるなりしてベッドに押し込むと思うんだ。するとね、いきなり···」
勝己の部屋から凄い光が漏れてきた。
そして、ちょっと振動を感じた後、元に戻ったキレた笑顔の息子が、半開きの扉から顔だけを出してきた。左脇付近に、見慣れた銀髪がチラチラ見えるわね。
「部屋、いきなり入ってくんなよ」
「~~~~~!!!!」
その言葉と、雪花ちゃんのくぐもった叫びを残して扉が閉められる。旦那が、音だけは完璧だからと言っていた通り、部屋からは何も音は聞こえてこない。時折、ドスンドスンていう効果音が付きそうな振動を感じるだけ。
「やっぱり···か」
「まぁ、私の子なら、そうなるわよね」
▼▼▼
翌日。
「けっ」「」チーン
「「···」」テレテレ
「はぁ~、愛らしいですわ~」プリプリ
教室には、真っ白になってグロッキー状態な八木雪花を、膝に乗っけて不機嫌そうな顔をする爆豪勝己。二人して、テレテレしあっている緑谷出久と麗日お茶子。まだ幼児な轟焦凍を抱っこして、昨日以上にプリプリしている八百万百の姿があった。
「雪花、御臨終?」
「死、死んでる!!」
「生きてるよ!!三奈も透もひどい!!」
「何かあったの?お茶子ちゃん」
「えっ!?あ、え、な、なんもあらへんよ!!!」
「···そう?」
「結局、轟だけ戻んなかったんだね」
「はい、そうみたいです」
「···ヤオモモ、何か、えらいツヤツヤしてない?」
瞬間、轟焦凍の体から光が放たれた。繊維を引きちぎる音を響かせながら、光が次第に治まっていく。
そして、そこには元に戻った轟焦凍が立っていた。勿論、全裸で。
「「「キャーーー!!!!」」」
「「(かっくん/デク君より、小さい)」」
「さっさと下を隠せバカーーー!!!」
こうして、事件は幕を閉じたのであった。
「でっかい夏君!パース!!」
「お、おう!兄貴」
「でっかい冬美ちゃん、行くよ!!」
「う、うん、お兄ちゃん」
「···緋衣、お前のパパ、いつ元に戻るんだろうな」
「あ~う~」
「昔を思い出しますね、あなた」
「···ああ」
チャンチャン。
アニメでも、荼毘戦が終わってしまった。凄かったなぁ。
評価と感想を、よろしくお願いします。