「う~むむむむ」
「何唸り声あげてんだ?角取」
「変な唸り声がこっちまで聞こえてきたぜ?」
「Oh!Sorry、円場、峰田」
昼休憩、円場と昼飯食い終わって歩いてたら、中庭のベンチから聞いた事のある声の唸り声が聞こえてきて、二人で様子を見に行くと、やはりB組の角取ポニーが、スマホ片手に唸っていた。
つか、もういい加減日本語に馴れた筈だってのに、"少ない出番でBIGなインパクトを残さなければいけないのDEATH!!"って、わざとルー○柴みてぇな喋り方すんのやめろっての。
「で、何唸ってたんだ?」
「あ、普通に喋れよ」
「ブー、ワタシのアイデンティティなのに。まぁいいです、二人はこの作品をご存知デスか?」
そう言って見せてきたスマホには、あるネット小説が表示されていた。
「···なんか聞いた事あるタイトルだな。峰田は?」
「この前、アニメ化した奴だろ、ソレ。内容自体は、他のそれ系のジャンルと十把一絡げだけど、作画とOPのお陰で跳ねたとか言われてる」
「評判は知りませんデシたけど、友人にオススメされました。それで、今度感想を語り合うって約束したんデスけど、どうも内容が頭に入ってこなくて。こうやって、原作の小説を読んでみたんデスけど、それでも変な所に目が行って、頭に入ってこないのデス」
「ふ~ん、ソレッてどういう作品?」
「円場って、アニメとか漫画見るとしたら、ガチバトル系だもんな。ネットとかで目にした事位あんだろ?追放系とかそういう言葉」
「あ~、耳にした事はあんな。アレだろ?自己評価も出来ず、仲間とのコミュニケーションも取れない主人公が、その道のトップ層を行くのに何故か常識知らずっていう訳の分からない集団から追放されて、主人公は追放された先でハッピーエンド迎えて、追放した集団はこれでもかって言う位悲惨な目に合わせられるっていう」
「ん~、まぁ、概ね間違って···はねぇか。色々とバイアス掛かってそうだけどもよ」
「やっぱ、俺にはそういう復讐するっていうか、ざまぁ?って言うんだっけ?あんま食指が伸びないよなぁ」
「そりゃ、ヒーロー目指してる俺らからすりゃあな」
どうしても、オイラ達だと目に行くポイントがズレらぁな。
「ワタシ、アニメ好きとして、面白い面白くないは別にして、ちゃんと見てあげられないのが悔しいデス。二人は、なんでこんなにも目線がとっ散らかるのか分かりますか?」
「うぇ~、俺には皆目検討もつかねぇよ」
「いや、分かるだろ。つか、お前も体感してんじゃねぇか。角取も、何でそこで悩むのか、オイラの方が分かんねぇよ」
「「え?」」
いや、そこでキョトン顔すんなよ、テスト勉強中の上鳴や切島じゃねぇんだから。
「だから、そもそもそういう系とオイラ達ヒーローは、水と油なんだよ。楽しむには、何がしかの界面活性剤がいんの」
「峰田!詳しく!!」
「うおっ!!は、話してやっから、そんな詰め寄ってくんなよ!!」
コイツも中々のモン持ってっからな。急に詰め寄られて、目の前でポヨンってなったら、流石のオイラも気圧されるぜ。
「いいか、オイラ達は常日頃から、ヒーローとして困った人を助けろって教えられてる。ヴィラン退治も、あくまで困ってる人を助ける為だ。決して、ヴィランをぶっ飛ばすのが目的じゃない。そうだよな?」
「おう!」「Yes!」
「で、角取が読んでた作品だ。主人公の方は放っておいて、ざまぁされるサイドに注目だ。大体は、いけ好かない性格にしてあって、まぁ一応は自業自得で悲惨な目に合うんだ。それで、大抵の奴は"ざまぁみろ!"だったり、"スッキリしたぁ!!"って思うんだけどよ、オイラ達は違う。オイラ達には、ソイツらも助ける対象として見ちまうんだ。オイラ達にとって、ソイツらはヴィランじゃねぇんだよ」
「でもよ、中にはヴィランみたいな事するって話もあるんじゃねぇの?」
「そりゃ、零じゃねぇと思うぜ?でもよ、オイラ達は何でそんな行為に走ってしまったのかを知っちまってんだ。報いを受けろって言う前に、どうすれば防げたのかって考えちまう。でだ、結局主人公がちゃんとした自己評価して、仲間とのコミュニケーションを取って、自分が出来る事出来ない事とかをしっかりと共有していれば、なんて、それ言っちゃお話にならねぇっていう身も蓋もない所に思考が飛んでくんだ」
「Oh···」
「だからよ、角取。はっきり言うぞ、お前が望んでる様に純粋に作品を楽しむのは、オイラ達には不可能だ。お前もそれが分かってるから、モヤモヤしてんだろ?」
「······デス」
「それによ、お前は母国を離れて、遠い日本のトップ中のトップ、雄英高校のヒーロー科に合格する様なバイタリティ溢れた奴だ。まぁ偏見入ってっけどよ、そういう作品書いてんのは、そういう事が出来なくて、下で燻って自分が居る所から下がる事は出来ても上がる事をしない奴らだ。そんな人間に、共感するのは難しいだろ」
「PlusUltraしてきたんだもんな、俺達」
「······じゃあ、ワタシは、この作品を楽しんであげられないのデスか?峰田」
ズーンと、涙目になって落ち込む角取の肩に、オイラはポンと右手を乗せる。
「···方法は一つ、何も考えんな」
「What ?」
「絵でもいい、声優の演技でもいい、何も考えず、ただそこに映ってるもの受け入れろ。悪いが、オイラが言えるのは、それだけだ」
「···峰田」
「良いんだよ、楽しめない作品が有ったって。オイラだって、エロいのが好きでも、エロなら何でもかんでもって訳じゃねぇ。うわぁ、もう見たくねぇって奴もあらぁ。そんなもんだ」
「···その例えじゃ無ければ、格好良いで終わったのデスよ」
「うっせぇ!!エロ無くしたオイラはオイラじゃねぇよ!!」
「つか、そうじゃなかったら、速攻でリカバリーガールのとこに連れてってるわ」
「「「アハハハハ」」」
▼▼▼
「峰田!今度はコレをオススメされました!!一緒にWatchしましょう!!」
「中身空っぽなハーレム物じゃねぇか!!」
「Yes!!何も考えず見るTrainingです!!」
「一人でやれーー!!!」
「ねぇ、ポニーちゃんどうしたの?」
「何か、峰田から身から鱗なアドバイスを受けたんだって」
「···まさか、まさかする?」
「···わかんない」
···俺は何を書いたんだろうか。
ねぇ、何で峰田君と角取さんがフラグ立ててんの?ねぇ、何で?
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