「···火伊那、その格好は何だ」
「え?ただのバレーのユニホームよ」
「···何故、そんな格好をしているんだと聞いている」
「今度、皆と大会に出るからよ」
「その格好でか」
「当たり前でしょ、じゃなかったら着てないわよ」
「······」
「何?子育てで緩んだ体じゃみすぼらしいとでも言いたいの?」
「···いや」
「じゃあ何?言いたい事があるならハッキリ言って」
「···その、なんだ······H過ぎないか?」
「え?何?聞こえない」
「H過ぎないかと言っている!!」
「·········へっ?」
▼▼▼
「あっはっはっはっ!!!」
「プッ!!ち、治崎も、そ、そういうの気にするんだな、ブフッ!!」
「ま、まぁ、た、確かに、そ、そうね、クフッ!!」
「み、皆、わ、笑いすぎよ」
「そういう信乃も、堪えられてないじゃない」
「だ、だって、そ、そういう龍子も、口元にやけてるわよ」
「あ、あら、そうかしら」
「別に、笑っていいわよ。私だって、言われた瞬間にお腹抱えて笑ったもの」
不定期で行われる奥様交流会。
お茶をしながら、この前あった事を皆に話すと、揃って大爆笑だった。
「皆は、何も言われなかったの?」
「そうね、秀一君は顔真っ赤で可愛かったわ」
「朧さんは、綺麗と褒めてくれたわ」
「うちの旦那は、何か言いたげだったけど、"その格好も似合ってるよ、龍子ちゃん"だったわよ」
「燈矢の奴、張り切り過ぎて怪我すんなよって、格好には無反応だった」
「そんな格好も悪ねぇなって、転弧にベッドに引きずり込まれて押し倒された」
「倒されたじゃなくて、倒されにいったの間違いだろ」
「貴女、絶対自分から挑発したでしょ」
「二人目も、もうすぐかしら」
「流石、万年発情期ってネタにされてる兎なだけはあるわね」
「うるせぇ!!良いだろうが、別に。ヴィラン蹴っ飛ばせねぇから、色々溜まるんだよ」
拗ねるミルコ。まぁ、ミルコとかプッシーキャッツの二人は、ヒーローコスチュームよりは、一応露出が減ってるものね。
「そういや、皆ユニホーム大丈夫だった?手直し必要だったら、早めに言ってよ」
「ああ、私は大丈夫だ。まぁ、胸が張ってる時だと、ちょっとキツイ位だな」
「「「···」」」
「他の四人はどうした?何かあったか?」
無言で視線が交わる。恐らく、思っている事は一緒にだと思う。
「もしかして、お前ら太って腹回りとかしんどかったんのか?」
「ち、違うわよ!!何なら体重は減ってるわよ!!」
「それ、筋肉が脂肪に変わったんじゃなくて?」
「うぐっ!!」
「···はぁ、サイズは大丈夫よ。でも、何て言うの、鏡で見る自分が、思ったよりもムチッとしてたわ」
「「「分かる!!」」」
「こう、二の腕とか太股とか、段差が出来るのよ」
「筋量が落ちてるのは自覚してたけど、改めて触ってみると、フニフニ出来るのよ」
「服がフィットしてるというより、体がフィットするという感覚かしら」
「しんどい訳じゃないの、でも、こう何というかかんというか」
「「「現実を目の当たりにしてショックを受けた」」」
「そうそれ!!」
ガシッと手を握りあう私達四人。
無理矢理押し込めました、みたいなお見苦しい姿じゃないのは確か。でも、廻が言う通り、確かにエロいの。ネットでまとめられる位、もうエロいの。何なら、自分で言うのもなんだけど、エロを通り越して妖艶。PTAから苦情が来るレベルね。
「···で、どうすんだ?」
「今更、やっぱり止めるとか言わないよな?」
「あ、それは無いわ。より気合いが入っただけだから」
「何なら、休止前よりバッキバキに仕上げてやるわよ」
「少なくとも、ネットで"悲報、リューキュウ太る"なんて話題が出ないようにしないと」
「ヒーローの本気、見せてあげるわ」
「「「えい!えい!おー!!!」」」
「「┐(´∀`)┌」」
▼▼▼
「···凄いね、奥さん達」
「···ああ、そうだな」
「···躍動し過ぎじゃないか?」
「···バルンバルンだね」
「···最早、凶器だな」
「···ちっ、だから言ったんだ」
「ママー!!頑張れーー!!!」
「信乃おばさーん!!ファイトーーー!!!」
ママさんバレー大会当日。
子供を抱いて応援に来た俺達。そこそこ大きめの大会だったらしく、結構観客も入っている。その中でも、妻達の試合は、色んな意味で大盛り上がりだった。
そもそも、チーム全員が有名なヒーロー。休止中で、表に出てこなかったのが、久しぶりに公の場に出てくるという事で注目度抜群。休止前と遜色無い肉体美を晒し、試合が始まれば、飛んで跳ねて、妻達だけ超次元バレー。特に、ミルコの大跳躍からのシュートが酷い。アタックじゃないのかって?ボール蹴ってんだからシュートだろ。あんなの、一般人が触った瞬間骨が折れる。
そうじゃなくても、長年の経験で相手の動きを読み指示するマンダレイ、妻のピンポイントに狙い済ました鋭いサーブ、強烈なアタックもフェイントも意味を成さない鉄壁のディフェンス、竜化したリューキュウによる広範囲のレシーブ、どこにボールがいっても正確にトスするバーニン。正直、相手が可哀想である。
まぁ、妻が活躍しているのはいい。イラつくのは、無遠慮にカシャカシャと妻達を撮っているカメラ小僧(中年)達だ。
幾ら良い素材を使っていても、動けば揺れる。そりゃもう、あの大きさで揺れない訳がない。奴らの邪な目に視姦されていると思うと、イライラして会場ごと消し去ってやりたい。全員、テメェのカメラと合成してやろうかとさえ思う。
なんとなく、横に視線をやる。視線が合った。
「···なぁ、器物破損てどんだけの刑罰だ?」
「···三年以下か30万円以下」
「···全員で割れば、100万以下には抑えられるかな」
「···盗撮の疑いで没収とかして、その間にデータ消すとかがスマートじゃない?」
「三分もあれば、やれるぜ」
「···俺なら、どんなに壊そうが元に戻せる」
「「「よし、やるか」」」
「あんた達、馬鹿な事言ってないで応援しなさい!!!!」
「トムラ君達、何やろうとしているのです?」
「トガは気にしなくていい、俺はちょっと煙草吸ってくるわ」
▼▼▼
「ママ、凄く格好良かった!!ズバーンて、バシーンて」
「あー!」
「応援ありがとう、壊理、巡」
「火伊那」
「何?廻」
「お前のせいでフラストレーション溜まった。今晩は覚悟しておけ」
「············へっ?」
因みに、これ以降大会出禁にされた六人でした。
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