八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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「レッツMuscle」

 

 

 

 

「んっ!!んっ!!」

「よし、あと10回」

「んっ!!!」

 

 力道に補助をして貰いながら、ベンチプレスを行う私こと小大唯。月に何回かの、力道が通ってるジムで行う筋トレデート。

 飯田君とそっくりな声のトレーナーが経営するここのジムは、本格的なボディービルダーの人達が多くて、効果的な筋トレや機器のアドバイス以外で声を掛けてくる人が居ないから気に入っている。

 

「ふぅ~」

「お疲れさん」

「ん」

 

 バーベルをフックに戻し、力道からタオルとドリンクを受けとる。Mt.レディから、

 

『いい、ヒーローとして筋力は必要だけど、ルールはガチガチの近接系じゃないんだから、あんたの彼氏みたいなThe筋肉みたいにならない様に。結構人気に差が出るんだから』

 

 と厳命されているので、色々バランスとか気にしながら、力道とメニューを考えるのが楽しい。まぁ、最初は目のやり場に困っていた私のトレーニングウェア姿に、もう無反応になってしまったのが唯一の不満点。

 

「よし、じゃあ次俺な。街夫さ~ん、お願いしま~す」

「OK、今日は何キロだい?」

「前回より10追加で」

 

 力道と入れ替わり、休憩用のベンチに座って、ガチャガチャとバーベルに重りをはめていく力道を眺める。流石に、あの重さを補助するのは無理。

 

「ねぇねぇ~、君ってここ長いの?」

 

 力道の個性は、素の筋力を鍛えれば鍛える程効果が高くなるから、筋トレは欠かせない。家で腕立て伏せする時なんて、私が乗った位じゃ、もう大した負荷にならないみたい。唯は羽みたいに軽いからな、なんて言ってくれるけど、本当にそんな感覚なんだろうなぁ。

 

「ねぇねぇ~、俺ここ初めてだからさ~、色々教えてくれると嬉しいんだけど~」

 

 盛り上がった力道の筋肉、良いなぁ。でも、チーフトレーナーみたいに、個性を使わなくても、力を入れたら服が弾け飛ぶ様になりたいっていうのは断念して欲しい。アレは、個性とは違う何かだよ。どうやったら、あのオールマイト並みな筋肉が、服を着たらあんなに細くなるのか謎過ぎる。

 

「もしも~し、ねぇねぇ~、聞いてる~?」

 

 女子だと、一佳が一番苦労してるかな。ガチガチの肉弾戦派な一佳だけど、モデルのお仕事とかもオファーがあるみたいで、筋肉付けすぎると色々言われるって。あのミルコみたいなバッキバキの肉体美は、ある程度のヒーローとしての実績と人気が出てからじゃないと、ファンが付きにくいし離れるからって。世知辛いよね。

 

「お~い、無視しないでよおわっ!!!」

「よぉ兄ちゃん、新顔だな。お~っし、俺達がこのジムの事をしっかりレクチャーしてやるからよ、安心して筋肉鍛えようぜ!!」

「え?!い、いや、お、俺は!!」

「遠慮すんな遠慮すんな、さぁ行くぞ、レッツMuscle!!」

「「「レッツMuscle!!!!」」」

「うわああああ!!!!」

 

 今日は外れ日だったみたい。いきなり隣に座ってきて、馴れ馴れしく話しかけてきた、どう見ても体を鍛える目的で来てる様に見えない軟派な男。大体は、無視してれば諦めてどっかに行くんだけど、今日のはしつこそうだったので、こっちを心配そうに見てる常連さん達(スキンヘッドゴリゴリマッチョメンs)に目配せする。

 そして、ナンパ男を取り囲んでガッシリと拘束して、引き離してくれた。こういう時の報酬は、力道とのポージングツーショット写真(サイン入り)。力道の筋肉が素晴らしいから是非って。いや、彼氏が褒められてるのは嬉しいけど、なんとなく、釈然としない。こう、女としてのプライドとか。

 

「お待たせ、何かあったのか?」

「ん」

「あ~、またお礼しとかないとな。今度、お菓子でも作って差し入れするか」

「ん」

「分かってる分かってる。しっかし、普通は唯とだろうに、何で俺なんかと」

「ん~」

「はいはい、ありがとさん。じゃあ、次のメニュー行くぞ」

「んっ!」

 

 力道の腕に抱きついて、次のトレーニングマシーンの所に。こうやって胸を当ててあげると、まだ顔を赤くしてくれる。うん、この柔らかさをと大きさを維持して、引き続きトレーニングを頑張ろう。

 

 

 

 因みにこのジム、砂藤力道が小大唯を連れてきて、一緒にトレーニングを始めて以降、今までならすぐにジム通いをやめてしまう様な人種の男共が、鍛えれば俺にもあんな可愛い彼女が、と継続してジムに通って、熱心に鍛える様になったので、売上と存続の為に、二人がこのジムに嫌気を差して来なくならない様にと、従業員や常連が目を光らせているのである。

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「あの、唯さん?」

 

 ジム終わり、俺の部屋で唯の体をマッサージしている俺。ジムの中にも、マッサージをしてくれる所があるんだけど、唯は俺にして欲しいといつもせがんでくる。

 幾らその道のプロだとしても、やっぱり、他の男が恋人の素肌に触れるというのは気分の良い事じゃないから、まぁ良いんだけど。

 良いんだけども、今何故か俺の手は、唯の胸に当てられている。あ、自分の意思じゃないぞ、唯が俺の手を取って自分の胸に誘導したんだからな。

 

「えと、ちゃんと解しとかないと」

「ん~」

「うっ、唯が絡まれてるのに気付かなかったのは悪いと思ってるって」

「ん」

「い、いやぁ、今日は結構追い込んだから、ちょっと疲れが···」

「ん」

「···はい。あ、でも、先にちゃんとマッサージ終わらせてからな」

「ん♥」

 

 

 

 




無口だけど、内心は結構おしゃべりとか良いよね。

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