八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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「教えて、耳郎先生!!」

 

 

 

 

「お願いします!!」

「うえっ!!ちょっ!!そ、そんな事言われても···」

「お願いします!!!」

 

 自分に向かって、綺麗に揃って頭を下げる下級生の女子達に、耳郎響香は狼狽えていた。

 

「お願いします!!!どうか!私達に!!」

「「「胸を大きくする術を教えてください!!!!」」」

「う、い、い、い、言えないーー!!!!」

「「「耳郎せんせーー、カームバーーック!!!」」」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「「「アッハッハッハッ!!!」」」

「腹抱えて笑うな!!ウチ、本気で困ってんだからね!!」

 

 教室で頭を抱える耳郎響香に、どうしたのかと尋ねたA組女子達。

 恋人である上鳴電気が、何かやらかしたのかと思ったら、返ってきた言葉は、とある身体的特徴を持った女子(俗に貧乳というカテゴリーに入れられる)達に、胸を大きくする秘訣を教えてくれと詰め寄られたらしい。

 

「いやいや、普通に教えてあげればいいじゃん。彼氏に揉んで貰ったら育ったって」

「んな恥ずい事言えるかーー!!!つか、別に彼氏とか関係無いでしょうが!!!」

「響香ちゃん、ここにサンプルが幾つあると思う?」

「恋人が出来てから、厳密には、R18な事してから、全員サイズアップしてるんだよ?」

「科学的に証明できなくとも、一定の効果はあるって事じゃん。そうでしょ!!皆!!!」

「ま、まぁ、確かにそうやけど···」

「ハッキリ言われると、それはそれで恥ずかしいわね」

「しかし、それは誰でも実践出来る事ではありませんわ。行為をすれば大きくなるからと、学校の風紀が乱れる状況になっても問題ですし」

「でしょ!!下手な事言って、大変な事になったらダメじゃん!!」

「それなら、もうそこら辺に転がってる豊胸術を、何個か言えばいいでしょうに。牛乳飲むだったり、ストレッチだったりさあ」

「···雪花」

「ちょっ!!痛い痛い痛い!!肩握り潰されるーー!!!」

「···んなの、全部試してるに決まってるじゃん。周りの皆がさ、胸大きくなったとか、スポブラからちゃんとしたブラにしたとか、肩が凝って大変だとか、男子の目線がイヤらしくてウザイとかほざく様になって。一向に変化のしないここを見られてさ、同性からは哀れんだ目を向けられて、異性からは嗤われて、藁にも縋る思いで何でも試して試して試して試して試して試して、その度に絶望して涙で枕を濡らしたんだ。そんな子達に、不誠実な事言える訳ないでしょうが。今すぐその脂肪の塊を皆に分けてアンタもペッタンコにしてやろうかああああああああ!!!!!!」

「恐い恐い恐い恐い恐い顔恐いーー!!!!!!」

 

 金剛力士像も裸足で逃げそうな形相で、八木雪花の両肩をミシミシと言わせる耳郎響香。中学時代、"耳郎ってさ、顔は可愛いけど、貧乳だからなぁ""マジで、ストーンだもんな""まな板まな板、耳郎に比べりゃ、俺の方がまだ巨乳だぜ"なんて、嗤いながら話す男子の声を拾ってしまう、彼女は何度この耳を恨んだ事か。

 

「ウチをバカにしたあの時の奴ら、いつか全員タルタロス送りにしてやるぅぅううう」

「うぎゃーーーー!!!乳千切れるーーーー!!!!」

「響香さん、落ち着いて下さいまし!!」

「ドウドウ!!それ皆に分けても、微々たるもんだから!!」

「響香ちゃん、争いは何も生まないわ」

「指剥がせん!!デク君並みに力入っとる!!」

「誰でもいいから、ミッナイ先生呼んできてーー!!!」

 

 イヤホンジャックを雪花の胸に巻き付け、ギュゥウウっと絞り、両手で鷲掴んで思いっきり引っ張るバーサー香ーを、皆で宥めること数分。駆け付けたミッドナイトの個性で眠らされた事で、取り敢えずの終息を見せた。

 この後数週間、八木雪花は耳郎響香を前にすると、咄嗟に胸を庇う仕草をしてしまう様になったのは、まぁご愛敬である。

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「で?その騒動はどうなったの?」

「ミッナイ先生とかリカ婆が中心になって、放課後特別講習開いたり、個人カウンセリングとかを実施するんだって」

「揉まれれば育つってのは、結局ソイツらには伝えなかったの?」

「ええっと、なんだっけ。ミッナイ先生が、適当にそれっぽい事言いながら、個人差があるし、ただヤれば良いってもんじゃないで締めてたかな」

「まぁ、胸の大きさってデリケートな事だから。特に、十代半ばの学生にとっては」

「冬姉は、生徒に聞かれたりしない?"先生!どうやったら、先生みたいに胸が大きくなりますか?"って」

「ん~、どっちかと言うと、胸が大きくなってどうしたら良いか分からないって、隠れて相談にくる子の方が多いかな」

「逆に、目の敵にされてるんじゃない?冬美は」

「御名答です、義姉さん。小さめな女の先生の所に集まって、愚痴ったりしてるみたい。まぁ、授業が反抗的とかじゃないから、保護観察中かな」

「こんなの、こうやって子供に乳あげられれば、大小なんて気にしても仕方ない、なんて言ったら、大変な事になるかな」

「乳出すには産まなければ、産むには相手が居なければ、小さいよりも大きい方が相手見つけやすい、の三段論法で焼き討ちされるかもね」

「おっかないおっかない。お前もいつか、そういう事に悩みを持ったりすんのかな、なぁ緋衣」

「どっちの血が濃く出ても、貧乳になる事は無いだろうね。おばちゃんがいつか、緋衣ちゃんに似合う下着買ったげるからね」

「Hなのは駄目よ」

「えーー」

 

 

 

「···緋衣、流石にこれは派手過ぎないか」

「違っ!!そ、それは雪花おばさんが!!というか、お父さん!お母さんが居ない時は、自分の服は自分で畳むって言ってるでしょ!!お父さんの変態!!!」

「へ、変態!?!ご、誤解だ!!これは、親として、娘の成長をだなあ」

「おばあちゃーん!!お父さんがーー!!」

「待て緋衣!!悪かった!!お父さんが悪かったから!!」

 

 

 




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