「···ハッ!!······何ここ!!?!」
気が付いたら、そこは見た事もない場所だった。
お手洗いで、誰かに声を掛けられて、振り返ったまでは覚えてる。何か、とても良い夢を見てた気がするけど。
「おや、目を覚ましてしまった様だね、我がフィアンセよ」
「···誰?」
とても聞き慣れた、けど、何か異様に軽い?浮わついた?···上手く当て嵌まる言葉が思い付かないけど、違和感のある声が隣から聞こえた。
そこには、何とも悪趣味な格好をした、お父さんのそこそこ若い時分の顔を貼っつけた男が、ワイングラスを片手に座っていた。
「私かい?私はダークマイト。オールマイトの意思を継ぎ、新たな象徴となる男さ。そして、君の夫となる者だよ、我がフィアンセよ」
「はいっ??っ!!!」
仰々しく、胸に手をやって私の前に跪く男。生理的嫌悪感で、咄嗟に距離を取ろうとしたけど、体が椅子にガッチリ固定されていて実現しなかった。
「悪いけど、私には心に決めた人がいるの。アンタのフィアンセなんてお断りよっ!!!」
「おっと、我がフィアンセはお転婆の様だね。うん、大丈夫、私は寛大な男だからね。これから、ゆっくりと交流を深めていこうじゃないか、フィアンセよ」
雪拳を作り、男に向かって放ったけど、男が金色のコインを弾くと、同サイズの拳に変わり、雪拳を砕いた。この速さと正確さ、少なくとも並みの実力じゃない。
「デボラ」
「···はい、ここに」
「お嬢さんの方は終わったのかい?」
「はい、落ち着いておられます」
「次は無いからね。私のフィアンセを頼むよ、デボラ」
「お、お任せください、ダークマイト」
「カミル、サイモンに伝えろ。そろそろ、日本のプロヒーローが動き始めるだろう。せめて、それらの妨害位は出来るだろう?とね」
「はっ、ダークマイト」
「では、我がフィアンセよ、私が象徴となった世界でまた会おう」
「ま、待て!!······」
また、意識が···。かっくん、助けて······。
▼▼▼
「ハッ······」
「どうしたんだい?爆豪」
「······いや、なんでもねぇ」
「一般人の数は、900人近く。この人数で守りながら出口を探すには、手が圧倒的に足りない。それでも、行くの?」
「当たり前だ。雪花を置いていけるかよ」
「それに、誰かがプロヒーローの到着まで時間を稼がねぇと」
「ジュリオさんを、アンナさんの所に送り届けないといけないし」
気絶から回復した一般人の救助活動をしながら、今後の行動を話し合っている僕達。大体の行動方針が決まろうとした時、唐突に空に巨大なモニターが出現した。
『FUFUFU、救助活動に精が出てるね!
1つ問おう。新時代を作るには、何が必要だと思うかね?そう、破壊だ。過去の栄光、しがらみ、旧態依然たる姿勢。それらを全て駆逐し、新たなる秩序を構築するのだ』
相変わらず、自分に酔いに酔った話し方で、上機嫌に両手を広げるダークマイト。
『勿論、その中には、オールマイトの母校である雄英高校も入っている。
正にスクラップ&ビルド!!負の遺産を一掃し、新たなる伝説が始まる!!この俺の伝説がな!!!』
クオリティの低いオールマイトの笑い方をしながら、映像はホワイトアウトしていった。
「···そんな事、させない」
「ああ、俺らの学校を壊されてたまるか」
「あのふざけた面ぁぶっ飛ばす!!」
「では、最終確認を。デク、ショート、ダイナマイト、ツクヨミの四名は、ジュリオさんを護衛しつつ、ヴィランへの強襲及び、ルミナイネンとアンナさんの奪還を。残りの皆さんで、一般人の方々を護衛しつつ、出口の捜索と誘導を行います」
「アイツらは、僕達の事を被検体って言ってたからね。そう易々と逃がしてはくれないだろうねぇ。A組は主力が居ない以上、僕達B組が主戦力だ。さぁ、僕達の力を見せつけようじゃないか!!!」
「馬鹿!こんな状況で張り合ってどうすんのよ!皆で協力すんの!!」
「僕達はまだプロではない。しかし、僕達はヒーローだ。誰一人欠けること無く、ここから脱出しよう!!雄英高校ヒーロー科!!!」
「「「Plus Ultra!!!」」」
▼▼▼
「くっ!!どれだけ出てくるんだ!!」
「もう!この子達可愛くない!!」
要塞内で、ヒーロー科が行動を開始しようとしている頃、外では、多数のプロヒーローが、要塞下部から降ってくる怪物を相手に奮闘していた。
『エンデヴァー!頼む!!』
「フンッ、行くぞ荼毘。俺達で道を作る」
「ああ、待ってろよ焦凍」
「「プロミネンス·バーン!!!」」
赤と蒼、二つの灼熱の炎が一直線に走り、要塞に直撃した。
「「もっとだ!!もっと燃え上がれぇぇっっ!!」」
炎の勢いが更に上がり、要塞の先端を見事に破壊した。それを見た人達は歓声を上げ、No.1の雄姿に希望を見た。
しかし、破壊された部分がもこもこと盛り上がり、あっという間に、傷一つ無い元の姿へと戻ってしまった。
「···予想は出来ていたが、この早さで再生するのか」
「破壊して足を止めるのは無理そうだな、親父」
『ホークス君、そっちの首尾は?』
「ちゃんと配達しておきましたよ!!後、落ちてくる怪物への対処に手が足りなそうなんで、応援をお願いします」
『今、動けるヒーロー全員に要請を出している。それまで持ちこたえてくれ。エンデヴァー達は、引き続き要塞の足止めを』
「了解っす!!こんな時に、何でトゥワイスとトガちゃんは北海道に行ってるっすかねぇ」
「愚痴ってもしょうがねぇだろ、義弟」
「義兄さんだって、悪態ついてたじゃないっすか」
「貴様ら!!無駄口を叩く暇があるなら、一体でも多く怪物を撃ち落とせ!!」
▼▼▼
「委員長、今破壊音が聞こえた。音からして、外部からの攻撃」
「きっと、プロヒーローや!!」
「よし、耳郎君、その音の方へ誘導してくれ」
「それには、およばないんだよね!」
脱出経路を探しつつ、一般人を誘導していたヒーロー科の前に、ルミリオンが地中から姿を現した。
「「「ルミリオン!!」」」
「遅くなってごめんね。学生だけでよく頑張った、脱出経路は見つけてあるから、僕についてきて」
「「「はい!!!」」」
頼もしい先達の背を追って、一般人を誘導するヒーロー科。胸に、ここに居ない仲間の無事を願いながら、今出来る事を、しなければならない事をしながら。
▼▼▼
「ふぉっふぉっふ「邪魔だボケェ!!!」ぉ!!!!」
闘技場に現れた錬金兵の大群を常闇君に任せて、目指す屋敷に向かって急いでいると、門が開いて角刈りの大男と小柄な老人が待ち構えていた。けど、かっちゃんが最大速度の爆速ターボで、有無を言わせず二人とも吹き飛ばして倒しちゃった。
「おら!!おせぇぞテメェら!!!」
「···あの方は、本当にヒーローなのですか?」
「···はい、一応」
「おい!アソコ見ろ!!」
轟君が指差す先は、屋敷のバルコニー。そこに、ダークマイトが立って、僕達を見下ろしていた。そのかたわらには、八木さんとアンナさんの姿が。
「FUFUFU!お目当ては、俺の大切なお嬢様とフィアンセかな?しかし、渡さないぞぉ!!」
「お嬢様!!」
「雪花ぁあ!!!」
二人を見せびらかすと、逃げ込むように部屋へと戻ろうとする。かっちゃんとジュリオさんが、同時に急加速して迫るのと同時に、庭園に薔薇の花弁が舞った。これは、アンナさんの個性で強化された時の兆候。
「ドレイン·スポット」
二人の行く手を阻む様に、もみあげオールバック割れ顎の男性が歩いてくると、指をパチンと鳴らした。すると、男性の周囲にある物の動きが遅くなった。勿論、かっちゃんとジュリオさんも。
「緑谷!下がれ!!」
「くっ!!エアフォース!!!」
遅延するフィールドが円形に広がっていくのが見て分かる。何とか逆噴射でその範囲から逃れ、木々の間へ。轟君は退避が間に合わず、遅延のフィールドに囚われてしまった。
「おやおや、撤退かな?」
そんな訳がない。動きを止めるんじゃなく、遅延させるだけなら、それを越える速さで。
「浮遊、発勁、エアフォース···同時発動!!」
黒鞭のバネ、発頸によるエネルギーの解放、エアフォースの加速。その勢いのまま、遅延フィールドに突っ込む。
「なっ!!コイツ、どんなスピードで!!!」
男性のお腹に、思いっきり頭突きを食らわせる。男性は吹き飛び、フィールドは解除された。
「うわぁぁあっ!!」
ジュリオさんが、バランスを崩して地面に転がる。ジュリオさんのバイクは、土手に突っ込んで大破してしまった。かっちゃんはそのまま、上から伸びている透明な筒の中を上昇していくダークマイトに向かって行っている。
「ハァ、ブルーノ···」
「待てやゴラァ!!!」
「仕方ない。しつこい男は嫌われると、君の手で教えてあげなさい、我がフィアンセよ」
「···はい、旦那様」
八木さんが、アンナさんの手に触れ、薔薇の花を胸に咲かせながらフワッと筒の中から出て来た。あり得ない量の雪拳を展開させて。
「旦那様の敵は、私が倒します」
「雪花ぁああっ!!!」
···本編映像が欲しい。
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