八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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第十七話「八木雪花と開幕あっぱれ雄英体育祭」

 

 

 

 

「相変わらず、凄い人ですね~」

「日本が誇る一大イベントだからな。今年の目玉は、やはりエンデヴァーの末っ子とアイスメイカーの娘だろうな」

「三年は、ほぼルミリオン一強。二年は、能力が無い訳ではないがスター性に乏しい。この前の大食い大会で世間の注目を得た者達のいる一年に、人が流れるのも当然という事か」

「アイスメイカーの夫は誰問題、再燃してましたしね~。まぁ、八百万ちゃん目当てのカメラ小僧も多そうですけど」

「あの三人は、今日の活躍次第でネジレチャンの様になれるか埋もれていくかの分水嶺となるだろう」

「人気商売だからな、仕方ない。さて、俺達もプロとして、依頼された仕事をしっかりこなすとしよう。いつまで食ってんだ、マウントレディ」

「はいはい、あ~私も生で焦凍君見たかったなぁ~」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

『頑張りなさいね、焦凍。お蕎麦は無理だけど、焦凍の好きな物いっぱいお弁当に詰めていくから』

『お前も俺の自慢の息子だ。お前の実力を世間に知らしめてこい、焦凍』

 

「ああ、俺が一位を取るよ、親父、母さん」

「お、気合い十分だねぇ~、焦凍」

 

 家を出る時、激励と共に見送ってくれた両親の姿を思いだしながら集中力を高めていると、雪花がいつもの調子で覗き込んできた。

 自然体の様に振る舞ってはいるが、その目には誰にも負けないという強い意志が込められている。

 

「俺は、誰にも負けねぇ。誰であっても、容赦しねぇ。お前でもだ」

「吠えるねぇ、万年二位の息子さんは。あんたにも万年二位の称号を贈呈してあげるよ」

「やれるもんならやってみろ」

 

 獰猛な笑みを一瞬浮かべて、八百万達のいる方へ戻っていく後ろ姿を見送る。俺の個性や動きを熟知している雪花が、恐らく一番の難敵になるだろうが、ライバルはアイツ一人じゃない。あの雪花が気に入っている爆豪や、オールマイトから個性を受け継いだ緑谷達も、俺の前に立ちはだかる脅威となるに違いない。

 だけど、それでいい。だからこそ、一位を取る価値がある。俺は、No.1を越える為にここに来たんだ。

 

「A組の皆さん、時間です。会場の方へ移動をお願いします」

「分かりました。皆準備は出来ているな!さぁ、行こう!!」

「「「「おう!!」」」」「「「「おー!!」」」」

 

 

 

「あ、出てきた!A組だ!!」

「キャー、焦凍サマーーーー!!!!」

「「「「ヤ·オ·ヨ·ロ·ズ!!ヤ·オ·ヨ·ロ·ズ!!!」」」」

「Go Go Let's Go バ·ク·Go!!」

「緑谷く~ん、お茶子ちゃ~ん、頑張って~~!!!」

「行くぞ、テメェら!!フレー!フレー!せ~ぇっかっ!!!」

 

「凄い声援ですわね、焦凍さん」

「お前の方がすげぇだろ、八百万」

「な、何か、恥ずかしいね、デク君」

「そ、そ、そうだね、麗日さん」

「何でかっくんがチアリーダーで私が応援団なの?!絶対逆でしょ!!!ねぇねぇねぇ!!」

「知るか、黙れ、纏わりついてくんな!!」

 

 ゲートを潜って競技場に足を踏み入れた直後、割れんばかりの歓声に出迎えられた私達。

 焦凍に送られる黄色い声援、百に送られる野太い声援、緑谷くん&お茶子に送られる暖かい声援は許す。誰だお前達はと言いたい私専属応援団もまぁ何とか許容しよう。しかし、かっくんに声援送るボンキュッボンなパツキンちゃんねーチア軍団、貴様らは許さん。上手く説明出来ないけど何か許さん!

 

「雪花ちゃん、爆豪ちゃんにだけはスキンシップ激しいわよね」

「轟曰く、轟の実兄の連れ合いに影響されたんだろうとの事だ。本人は、恋愛方面でアプローチしてるつもりは無いんだそうだ」

「詳しいわね、常闇ちゃん」

「偶々、そういう話になっただけだ」

 

 かっくんに絡んでたら、響香に「恥ずいからヤメロ」とひっぱたかれたので、大人しく行進を再開する。マイク先生のヒーロー科以外は雑な紹介を聞き流しながら、割り当てられた場所で待っていると、宣誓台にヒーローコス姿のミッドナイト先生が立った。あの年齢であのスタイルを維持し続けてるのは、同じ女性として素直に尊敬致します。ありがたや~ありがたや~。

 

「選手宣誓!!選手代表!!1-A爆豪勝己!!」

 

 まさかのかっくん。入試一位だとしても、その人選は無くない?だって、

 

「せんせー、俺が一位になる」

 

 ほれ見たことか。かっくんらしいと言えばかっくんらしいけども、全国放送されてるんだよ。焦凍の方がまだマシだし、何なら百とか飯田君にやらせるべきだったって絶対。

 親指下向けるな首切るな余計に煽るな。一位は私の物なんだから、体育祭終わった後にざまぁってネット書かれるぞ、まったく。

 

「さーて、それじゃあ早速第一種目行きましょう。いわゆる予選よ!毎年ここで多くの者が涙を飲むわ!!」

 

 ブーイングの嵐も意に介さず、段取り通りに種目説明に移るミッドナイト先生。流石、コスチュームの露出規定なんて物を制定させた猛者である。この程度、あの人にとっては雑談と変わらないって事でしょう。

 

「運命の第一種目!!今年は……コレ!!!」

「障害物競争…!」

「計11クラスでの総当たりレースよ!コースは、このスタジアムの外周約4km!自由さが売り文句!コースさえ守れば何をしたって構わないわ!」

 

 何をしたって…ねぇ。どんな障害物が用意されてるのやら。

 

「さあさあ、位置につきまくりなさい」

 

 少しでもスタートライン近くにと我先に駆けて行く普通科の生徒達。A組の面々は、特に焦凍の立ち位置を注意して、自分にとって最適なスタート位置についていく。B組は、一回戦は完全に私達の観察に回るつもりだね。

 

「次勝つ為に、それも策の一つだよ。でもさ、一回負けてもいい何て思っちゃダメだと思う訳なのさ」

 

 B組の連中はもう意識の外に追いやって、焦凍の動向を中心にやる気のある面子を警戒しつつスタートの合図を待つ。

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「いよいよ始まるわね。燈矢の時もそうだったけど、この瞬間が一番ドキドキするわ」

「ふん、対抗馬がバーニンしかいなかった奴と違って、楽に予選突破とはならんだろうがな」

「でも、勝つのは焦凍、でしょ」

「当たり前だ。アイツは俺の息子なんだからな」

「あら、勝つのは私の娘よ、義兄さん」

「冬花、お疲れ様。もういいの?」

「ええ、競技が始まれば教員じゃなくて保護者として子供の応援をすればいいのさって、根津校長が取り計らってくれたから。応援出来なくていじけてるあの人の分までね」

「そう、じゃあ今日は敵同士って事ね」

「悪いが、娘をどうやって慰めるか考えておくんだな」

「・・・あの子、昨日の夜言ったの」

「・・・何をだ」

「もう、守ってもらわなくても大丈夫だって見せてあげるって。優勝したら、自分が誰の娘なのか、世間に教えてやるんだって」

「・・・ふん、それでも勝つのは焦凍だ」

「もう、貴方ったら。見守りましょう、私達の子供達を」

「ええ」

「ああ」

 

 




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