「大気は、私の千倍の大きさで固まる!!」
『GUIAAAAA!!!!』
スターの形に固まった大気と、怪獣と化したダークマイトががっぷり四つに組み合う。
「くうううう!!何てパワーだい!!!」
「援護します!!グラキエス·ギカント!!」
怪獣の驚異的なパワーに、ジリジリと押されるスター。それを援護する為、八木冬花の形をした氷の巨人が、怪獣にタックルを決めて足を止めさせる。
「本部!!周囲の避難状況は!!?」
『救助した一般人及び周辺地域の避難完了報告はまだだ!!戦闘はせず、可能な限り抑え込んでくれ!!』
「だそうですよ!!スター!!」
「了解だよ!!アイスメイカー!!!」
「ウルシ鎖牢!!今だ!Mt.レディ!!」
「キャニオンカノン!!!」
勢いをつけたドロップキックが怪獣にぶちかまされる。ビルを薙ぎ倒し、道路を陥没させながら倒れ動かなくなる怪獣。
「よしっ!!」
「気を抜くな!!まだだ!!」
「うげっ!!何体いんのよ!!」
視線の先には、地響きをあげて道路を侵攻してくる怪獣の群れ。スターとアイスメイカーが押し止めている大怪獣の足元から、Mt.レディの最大サイズと同等の怪獣が、次々と生み出され、周囲に拡がっている。
「Mt.レディ!!シンリンカムイ!!応援に来ました!!武器を受け取って下さい!!ルール!!」
「ん!!」
「ああもう!!一昔前の光の巨人にでもなった気分ね!!踏み潰されんじゃないわよ!!エミリー、ルール!!」
「バニシングフィスト!!」
「急げ!!早く避難させるんだ!!!」
「エンデヴァーさん!!」
「遅いぞホークス!!何をやっていた!!」
「頼もしい仲間達を連れてきたに決まってるじゃないですか!!!Mr.!!」
「ハイよ!!!」
救出民を背に、何とか怪獣の侵攻を妨げているエンデヴァー達。有効打を与えられるヒーローが少なく、度重なる個性の使用で、オーバーヒート寸前なエンデヴァーの元に、Mr.コンプレスを抱えたホークスが降り立った。
「行くぞダークシャドウ!!深淵闇駆·バルドル!!!」
コンプレスの圧縮玉から常闇が飛び出し、貯め込んでいた闇を解き放つ。怪獣より一回りも巨大になったダークシャドウが、怪獣達を薙ぎ払っていく。
「今の内に、体冷やしといて下さい、エンデヴァーさん」
「そんな暇は無い。他の場所はどうなっている?」
「大丈夫っすよ。そっちにも、応援送ってありますって」
「「おおおおおお!!!!」」
「「「どっせい!!!!」」」
切島と鉄哲、それぞれを力自慢で支えて、怪獣の攻撃を防ぐ。戦い続け、疲労の溜まった体に鞭を打って、懸命に遅滞行動を加わっているヒーロー科。
「アレ、アンタの専売特許じゃないか?キャップ」
「専売特許ではないよ。でも、お手本てのは見せてあげないとねっ!!!」
「流石、キャップ。こっちもお返しだ、マーベリック·タックル!!」
盾一枚で、身動ぎする事なく怪獣の拳を受け止めるキャプテン·アメリカ。そして、ミス·マーベリックが光の粒子を散らしながら、怪獣に突撃して胴体や頭部を吹き飛ばしていく。
「うげっ!!コイツら、分裂まですんのかよ!!」
「融合してでかくなれるんなら、分裂して小さくなるのも出来て当然でしょう!!A組はそんな事も分からないのかなぁ!!」
「だから!!こんな時まで張り合うなって言ってんでしょうが!!!」
飛び散った破片が勝手に纏まって、さっきまで相手をしていた錬金兵に姿を変える。
「くっ!!手が足りない!!」
「ヒーローが泣き言を言ってどうする」
「ハッハァ!!早く殴らせろや!!」
「あ、貴方達は!!」
「公安委員会からのお達しだ、好きに暴れろってよぉお!!ヴィラン連合!俺についてこい!!」
「おいおい、アンタは事務員だろうが」
「ギャハハ!!それは剣なのか鈍器なのかどっちだよ!!」
「うるさい!!今の俺は事務員じゃねぇ!!トムラ事務所のスピナーだ!!!それと、コイツはスーパーナイフナイフソードだ!!!」
無数の刃物をベルトや鎖で束ねた、奇妙な剣(?)を振り上げ、どう見ても破落戸にしか見えない連中を引き連れて走る伊口秀一。八斎會の面々もそれに続く。
「お前ら、あんま建物やらを壊すなよ」
「無駄に暴れた奴は、ヴィランごと撃ち抜く」
「「「ういっす!!若頭、姐さん!!」」」
▼▼▼
『オオオオオ!!』
顔の横まで裂けたのっぺらぼうの笑顔、オールマイトを模した様な体色、最早V字ですらない頭部の触覚。アレがオールマイトに憧れた者の末路と思うと情けなくなる。
「ト、トムラさん···」
「大人しくしていろ、デク」
アンナとか言った女の個性の余波で、体が麻痺している緑谷。俺もアレにやられかけたが、変容させようとしてくる因子の解析が間に合って、何とか崩壊させる事が出来た。流石に、鈍重な動きとはいえ、Mt.レディに匹敵する巨大さで迫ってくるダークマイトを前に、緑谷の方もってのは余裕がねぇ。
『コレガショウチョウノチカラ!!!』
「舌噛むなよ」「うわっ!!」
緑谷の首根っこを掴んで、振り下ろされる拳を跳んで避ける。そして、叩きつけられた拳に触れて崩壊させようとしたが、
「なっ!!」
崩壊が発動しなかった。いや、発動はしている。崩れた側から修復してやがるんだ。
『FUHAHAHAHAHA!!!』
「しまっ!ぐおっ!!!」
俺とした事が、個性が効かなかった事で呆気に取られちまった。咄嗟に防御して致命傷は避けられたが、薙ぎ払う様に放たれた裏拳をモロに食らっちまった。
何度か地面をバウンドして、壁に叩きつけられる形で止まった。
「ぐっ!!しゃらくせぇ真似を!!」
叩きつけられた壁が蠢き、緑谷と共に拘束される。御丁寧に、緑谷と手を合わせた形で。抜け出す為に個性使おうにも、緑谷の手を崩壊させねぇといけない。
『シネ!ヒーロー!!』
不味い、このままじゃ、緑谷もろとも。
迫りくる巨体に、流石に死を覚悟したその時、地面が爆ぜた。
「見ぃつぅけぇたぁああ!!!爆ぜろやぁぁあああ!!!!」
強大な爆発がダークマイトを襲い、俺達もその余波を食らう。
「その声、爆豪か!」
「爆心地ヒーロー"ダイナマイト"だ!!!」
特徴的なツンツン頭。少々ボロボロになっているが、まだまだ元気そうだ。ここでコイツが援軍に来てくれたのはありがたい。
「つか何しとんじゃ!!さっさとんな拘束抜け出せや雑魚共が!!」
「相変わらず口が「かっちゃん!!少しだけ時間を稼いで!!!」デク?」
唐突に、緑谷が叫ぶ。そして、決意に満ちた目で俺を見る。
「トムラさん、OFAを使って下さい」
「···はっ?」
「あくまで、アンナさんに適合しなかったのは僕です。OFAは関係ない。だから、トムラさんがOFAを使って、かっちゃんと一緒に戦えれば、アイツに勝てます」
「···お前は良いのか?夢、諦めるのか?」
「···オールマイトも、残り火で活動出来てました。それに、無個性だからってヒーローになれない訳じゃないですから。受け取って下さい」
「···借りるだけだ」
「え?」
「四代目みたいに、体に皹入って早死にしたくねぇ。父さんと約束してんだ、親として死ぬってな。だから、これが終わったら直ぐに返す」
「···OFAの使い方は、七代目に教わってください」
「ハッ、分かったよ。で、どうやって受け取れば良いんだ?」
「僕の髪、食べてください」
「はっ?」
「よくも!俺の女を!狙ってくれたなぁああ!!!」
『コザカシイーー!!!』
再び雪花を拐いにきた傀儡から、雪花を守って逃がすのに結構力使っちまった。手が痛ぇ。体のアチコチも悲鳴をあげてやがる。集中を切らすな。今は、アドレナリンで動けてるだけだ。
大分時間稼いでやってんだろうが、さっさとしろやクソデク。
「ィッ!!しまっ!!」
痛みで一瞬動きが止まっちまった。避けきれねぇ!
迫りくる拳に、一か八かの爆発を放とうと構える。しかし、爆発を放つ前に、黒い筋が後ろから伸びてきて俺を引っ張った。
「···黒鞭、便利だな。大丈夫か?ダイナマイト」
「ぁあ!!誰に向かって言っとんだ!!···それ、ちゃんと使いこなせんのかよ」
「口煩い先代達が、今も喧しくレクチャーしてくれてるよ。俺が道を切り開く、トドメは任せたぞ」
「言われるまでもねぇよ!!」
黒鞭を操るのは、デクじゃねぇ。何となく、アイツが何をしようとしてるのかは察した。折角個性手に入れたってのに、自分から手放すなんて、やっぱアイツは気に入らねぇ!!
「行くぞ、ダイナマイト。ついてこいよ」
「テメェの方こそ、遅れんじゃねぇぞ十代目!!」
出久の様に、緑の光を纏って駆け出すトムラ。その背を追って、俺も駆け出す。
『オオオオ!!!』
「こんな感じだったか?DETROIT SMASH!!」
トムラの拳が、気色悪い怪物の拳を完膚なきまでに打ち砕いた。
「痛ってええええ!!!!んだコリャ!!ぁあ!!先に言えや先代共!!!」
「調子乗るからだクソが!!」
「うっせぇ!!ファンなら一度はやりてぇだろうが!!!」
紫色に変色した右腕をダランとさせて、今度は左手で払う様に迎撃する。払われた怪物の拳が塵と化した。
「俺の個性もOFAで強化されてるのか、こりゃあいい。じゃあ、もう一回化けの皮剥いでやるか」
両腕を失った怪物の頭部に黒鞭を伸ばして引っかけ、左手を翳しながら飛ぶトムラ。その動きに合わせ、俺は兎に角高く飛ぶ。
「テメェが今、笑えてんのか見せてみろや!!」
トムラの手が怪獣の額に触れた瞬間、クソッタレを覆っていたのが全て剥がれ、クソッタレのなんとも情けないクソッタレな面が露になった。漸く、その面ぶっ叩ける。
「行け!!ダイナマイト!!!」
「ハウザーインパクト·SMAAAASH!!!!!」
俺の拳が奴の頬にぶちこまれ、物凄い勢いでぶっ飛び、何故か形を残していた、奴自身が作ったオールマイト像にぶつかる。
「···お前も、やっぱやりたかったんじゃないか」
「違うわ!!俺のオリジナルに決まっとろうが!!」
「いや、SMASH って思いっきり」
「雪花ネーミングじゃボケェ!!!」
力尽きた。エピローグまで行けんかった。
今までで一番、書いては消してを繰り返した気がする。バトルはコリゴリや。
評価と感想をよろしくお願いします。