八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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「進路」

 

 

 

 

「やっぱ、卒業したらインターン先に、そのままサイドキックとして就職なのか?」

「おう、そのつもりで話進めてるぜ」

 

 色々ありはしたが、二学期も無事に終了を迎え、毎年恒例となっているクリスマスパーティーの準備をしてる俺達。

 皆手慣れて、あっという間に飾りつけやら何やらが八割方終わり、逆にわざとゆっくりしながら駄弁っている。内容は勿論、進路の事だ。

 殆どは、今インターンで所属している事務所に内定が決まっているから、どうしようかと悩んでいる奴は殆どいない。

 

「え!!峰田、アメリカ行くの!!!?」

「おうよ!!スターアンドストライプ直々に、ご指名されてのスカウトだからな」

「すっげぇ!!羨ましいぜコンチクショー!!」

「ドンドンパフパフだね!!」

「とか言っときながら、本当はパツキンのダイナマイトボディなチャンネーに、鼻の下伸ばして決めたんじゃねぇの?"貴方の力が必要なのです。来て頂ければ、私を好きにして良いですよ

"なんて言われて」

「ん、んな訳ねぇよ!!つか、相澤先生とか八木先生とかオールマイト同席で、んな事言われる訳ねぇだろ」

「冗談冗談。おめでとう、峰田。あっちでも頑張れよ!!」

「おう!!」

「峰田ーー!!話聞きマシた!!共に、アメリカでヒーローやりましょう!!」

「どわおっ!!つ、角取!!つ、潰れる!!!」

「住む場所は決まってマスか?!まだなら、私のホームをオススメしマス!!ダディーもマミーも歓迎してくれマス!!」

「気が早えぇんだよ!!!」

 

 角取にもみくちゃにされる峰田を眺めながら、俺は進路希望の紙に書いた文字を思い出す。

 

「どうしたの?人使」

「あ、いや、別に。いつ見ても、あの組み合わせは慣れないなと思って」

「···確かにね。あの万年女子人気ワースト一位のどこが、ポニーの琴線に触れたのやら」

「好みは人それぞれ、て事だろ」

「で、人使は進路の何に悩んでるの?」

「え?」

「先生、なりたくなったんでしょ?」

 

 予想外の言葉にドキッとして、思わず恋人の顔を凝視してしまった。

 

「相澤先生から聞いたよ。人使が本気で目指すなら、サポートしてやってくれって」

「···別に、秘密にしてとは頼んでないけど、何でバラすんだよ」

「弟子が可愛いんでしょ。同じ道を歩もうとしてくれるなら特に。ま、"当然な事頼まないで下さい"って返しといたわ」

「···レイ子」

 

 ただガムシャラに、ヒーローになって、この個性を馬鹿にしてきた奴らを見返してやるんだって。こんな個性でも、ヒーローに成れるんだって証明してやるんだって、頑張ってきた。

 ただ、ヒーロー科に入ってから、ちょっとだけ先が見える様になって、漠然とヒーローになって活躍するって事しか考えてなかった自分に気付いた。どんなヒーローになりたいか、それを考えていない自分に気付いた。

 で、思ったんだ。俺を拾い上げてくれた、師匠でもある相澤先生みたいに、自分も誰かを拾い上げられる人間になりたいって。だから、進路希望の第一志望欄に"教師"って、書いた。

 呼び出されて、どういうつもりだって詰問してきた相澤先生の顔、今思い出しても笑えてくる。

 

「···苦労させるぞ。ヒーロー科の教員免許って言っても、結構勉強しなきゃだし、ヒーロー活動の時間も減るから、当然収入も減る」

「何言ってんの。これでも、No.4のサイドキックに内定しているのよ?アンタを支える甲斐性位あるわよ」

「···それ、俺が言いたい台詞」

「フフ、じゃあ早く教師とヒーローの草鞋を履いてみなさい」

「見てろよ、最短でやってやる」

「···無理して怪我だけはしないでよ。バツイチの称号なんて背負いたくないから」

「しないよ、絶対」

 

 コテンと、俺の肩に頭を預けるレイ子。その髪から香る、レイ子のお気に入りなシャンプーの香りを楽しみながら、優しく鋤く様に撫でる。

 

「···ねぇ、二人とも。そういうのは二人っきりの時にしない?」

「ん?ああ、ごめん一佳。そうだ、結婚式のスピーチ、友達代表でお願いするからよろしく」

「はい??!」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「フゥ···」

「何ため息ついてんだよマイフレンド。あれか?教え子達の卒業が近くて寂しいのか?それとも、マリッジブルーって奴か?」

「うるさい、山田。そんなんじゃない」

「じゃあ、そのため息はなんなんだ?」

「心操の事だろ、イレイザー」

「···ああ、ブラド」

「ん?どういう事だ?」

「心操がな、教師を目指すって言い出してな」

「Oh、マジか?」

「イレイザーに憧れて、というのが癪だがな。アイツの担任は俺だと言うのに」

「もしかして、さっきのため息、自分の弟子が後を追ってくれる嬉しさの余りに、感動にうち震えた末のため息だったのかYO!!!」

「······違う」

「DAーHAHAHAHA!!!」

「笑いすぎだ!!」

「いいじゃないの、イレイザー。そういう時は、素直に喜びなさいな。後、もう少ししたら、私も山田になるって事を忘れずにおきなさいよ」

「そうだぜ、マイフレンド!!ほれ、呼んでみ、ひ·ざ·しって」

「······」

「余り、家の人を苛めてあげないでください」

「······亜南」

「消太さん、この前白雲先輩のお店に二人で行った時、酔って嬉しさが顔に出たら、白雲先輩のお子さんや、トムラ事務所の方々のお子さんに大泣きされたショックを引き摺っているんですよ」

「亜南!!?!」

 

 

 

 




実際、あの世界の教員免許ってどうなってるんやろか。オールマイトとかグラントリノのとか見ると、ヒーロー科を担当するなら、プロヒーロー免許持ってれば割りと楽に教師になれそうな気が。

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