八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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「ダイナマイトヒーロー事務所(予定)」

 

 

 

 

「ここだ」

「おお~、立派~」

「悪くねぇな」

 

 私とかっくんは、ベストジーニストの運転する車に乗って、町の中心部から一駅分位離れた場所に建つ、三階建てのコンクリビルの前に来ている。

 何で、ジーニストと一緒にこんな所に来ているのかと言うと、かっくんのヒーロー事務所にどうかと薦められたから。元々、個人事務所設立に必要な書類とか手続きとかの相談をしたり、アドバイスをして貰ったりしてて、後は事務所を構える場所を定めるだけになった時、良い物件に心当たりはないかと聞いてみたら、ここを紹介されたのだ。今日は、その内見の日。

 

「こんな良い所、本当に良いんですか?」

「ああ。ここは元々、サイドキックの出張や応援派遣時の仮事務所として使っていた建物でね。しかし、最近は使用率が余り高くなくてね、そろそろ手放そうかと思っていた所なんだ。さぁ、中もしっかり確認してくれ、爆豪勝己」

「へっ、調べ殺したるわ」

「お邪魔しま~す」

 

 ジーニストが扉の鍵を開け、建物の中に入る。

 流石、使用率は高くないって言ってても、全然埃っぽく無い。外は多少古さを感じるけど、中はもうシミ一つ無いピッカピカだ。

 

「一階は、来客用の受付と、更衣室やシャワールーム、給湯室等が入っている。あっちが裏口だ」

「かっくん一人で使うには、少々広いかな」

「追々、事務員やらサイドキック雇えば、逆に手狭になんだろ」

「八木君は、爆豪の事務所には所属しないのか?」

「この人、私のネームバリューは使いたくないんだそうです」

「たりめぇだ。俺の力だけでトップにならなきゃ意味ねぇんだよ」

 

 私としては、二人三脚でってのにも憧れたりなんだりしちゃうんですけどね。まぁここは、大人しく彼氏を応援してあげますよ。

 

「ふむ、悪くない心掛けだ。しかし、爆豪。何でも一人でやろうとはせず、周りを頼るという事も忘れずにいなさい。私達の手の届く範囲は、自身が思っているよりも狭いのだから」

「んな分かりきった事言ってんじゃねぇよ。だから、こうやって頼ってんだろうが、先達」

「···ハァ、その口調を矯正させられなかったのが、唯一の残念だ」

「···まぁ、コレはもうどうしようも無いですから」

「···メディアに叩かれたり、苦情が入ったりするだろうが、最後まで見捨てないでやってくれ」

「それは勿論。最期まで一緒にいますよ、最期まで」

「フッ、こんなにも君を受け入れてくれる女性は二度と現れないだろう。大切にしなさい、爆豪」

「なんの話だゴラァ!!!」

「さぁ、二階へ行こう」

「はい」

「無視すんなやゴラァ!!!!」

 

 二階はほぼ事務所。デスクが並んでいて、応接室的な小部屋もある。個人事務所なら申し分ない。つか文句のつけようが無い。

 三階は居住区。1DKが三部屋と、三段ベッドが四つ入った仮眠室一部屋に、休憩スペース的なフロア。うん、普通に住める。防音もしっかりしてるし、気兼ねなく泊まれるね。

 

「アレなら、二部屋ぶち抜いて一部屋にしてもいいかもね。増えれば、三部屋目もぶち抜けば」

「アホか。そん時は、もっとちゃんしたの建てたるわ」

「···遅かったら、自分で建てちゃうからね」

 

 実際、モデルとかの色々な副業の収入も加味すれば、普通に一軒家建てようと思えば建てられるんだよね、私。いやはや、親の七光りとこの美貌に感謝ですわ。

 

「設備としてはこんな所だ。事務所のデスクや、部屋の家具等は、そのまま使って貰っても構わない。新しくするというなら、費用もこちら持ちで処分しておくが、どうする?」

「へっ、ありがたく使わせて貰うぜ。無駄な出費は抑えとかねぇとな」

「そもそも、これ以上機能的にしようが無いですよ、ジーニスト」

「そうか。事務員募集の当てはついているのか?」

「経営科の人達に募集掛けて、何人か応募してくれてます。今度、面接予定です。後、お父さんの事務所で事務してくれてた人が、アドバイザーとして一年程見てくれる事になってます」

「そっからは、必要に応じて適当に募集する」

「ふむ、なら安心だ。ヒーローとしての実力はあれど、事務所経営に失敗して落ちぶれてしまう者も少なくないからな。アレなら、ウチから何人か派遣をと考えていたが、要らぬお節介だったようだ」

「へっ、んなおんぶにだっこな真似出来っかよ。んな事よりも、トップ10から引きずり下ろされた時の事を考えとけや、No.3」

「フッ、良い心意気だが、そう易々と渡してやる程、この席は低くはないぞ、ダイナマイト。せいぜい、引退による繰り上がりで座る事が無いようにな」

「上等!!」

 

 こうして、かっくんの事務所が決定した。因みに、かっくんはこの事務所を、なんだかんだ引退するまで使い続けた。町の中心部にあるオフィスビルに、新事務所を設立しても、そっちは私に任せて、自分だけここに居座り続けた。それを知った時のジーニストの顔、本当に面白かったなぁ。

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「フフ、これでかっくんも、一国一城の主だね」

「はっ!いずれはもっともっとデカイ所に事務所を作ったるわ!!」

「···ねぇかっくん」

「あ?」

「お互い、忙しくて今以上に会えなくなると思うからさ」

「···おぅ」

「私、かっくんがHなお店行ったり、Hなお店の出張サービス呼んだりしても気にしないから」

「·········(ピキッ)」

「んきゃっ!!ちょっ!!まだお昼にもなってないんですけどぉおお!!!」

「お前の言う通り、あんま時間が合わなくなるだろうからなぁ。俺がすっからかんになるまで搾り取って、性欲を持て余さなくすりゃ、安心だろ?」

「そ、そ、それは、あ、あんしん、かなぁ?」

「だから、安心させてやるよ」

「にゃぁぁあああ!!!今じゃなーーーーーい!!!!!」

 

 

 取り敢えず、ベッドは一つ買い換えが決定しました。自腹で。

 

 

 

 




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