八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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「お幸せに」

 

 

 

「出久君」

「と、と、渡我さん?!」

「渡我じゃないのです、分倍河原です」

 

 一緒に食事をした時に、連絡先を交換した仁さんから、緊急の呼び出しを受けて、仕事終わりに急いで指定された場所に行った僕を待っていたのは、禍々しいオーラを身に纏った渡我···じゃなかった、分倍河原被身子さんだった。

 危機感知が発動しなかった油断で反応が遅れ、床に押し倒され、髪がうねうねしてる様に見える程の怒髪天な分倍河原さんに見下ろされている。

 

「出久君。いつなのですか?」

「ひ、ひぃっ!!い、いつとは?」

「お茶子ちゃんにプロポーズするのはいつかって聞いてんですよ!!!」

「·········はい?」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「「「ぶあっはっはっはっ!!!」」」

「笑いすぎですよ、仁さん。他の皆さんも」

 

 事の顛末を、白雲さんのBarで仁さんやトムラ事務所の人達に話すと、揃って大笑いされた。

 

「悪い悪い。でもまぁ、そろそろ良いんじゃねぇか?カミさん達の事業も軌道に乗ったし、余裕も出来たみたいだしよ」

「······そうですね」

「指輪なら、良い所を紹介してやるよ」

「書類やら何やらは俺に任せろ」

「プロポーズに最適なお店、ピックアップしておこうかい?」

「二次会は、是非うちでよろしくね」

「子供は、良ければ預からせて欲しいわ」

 

 背中をバシバシ叩かれながら、バックアップは任せろと口々に言ってくれて、とても頼もしい。でも、マグネさん、子供云々は気が早いです。

 

「·········デク、んな事より、もっと大事な事があんじゃねぇのか?」

「大事な事···ですか?」

「何だよ、荼毘。ウラビティなら、プロポーズすりゃ即決でOKしてくれるに決まってんだろ」

「そっちは心配してねぇよ、馬鹿。お前ら、コイツがウラビティに告白した時の事を忘れてんじゃねぇだろうな。たった一日で、年平均越す事件·事故その他諸々が起こったあの日をよぉ」

「「「·········あ~」」」

「その節は、大変お世話になりました。でも、アレは偶然···」

「偶然にしろ何にしろ、また同じ様な状況にならねぇって保証はねぇ。お前の使えるツテ総動員して、兎に角厳戒態勢敷いとけ。それで、何も起こんなかったなら、笑い話にすりゃいいんだよ」

「公安としても、そうしてくれると有難いね」

「遅いぞ、ホークス」

「色々忙しいんすよ、会長職ってのは」

「場所は、やっぱり雄英が良いか。日中に決めてくれるなら、生徒も巻き込める」

「消太なら、元教え子に協力しないって事はないだろうしね」

「そうなると、やっぱ平日かな。授業の一環という事にすれば、生徒を動員する名目も立つ」

「頭数足りねぇなら、俺と被身子で増やす事は可能だぜ」

「ヴィラン連合にも声掛けとく」

「えぇと、あの、皆さん···」

「「「お前は、プロポーズの言葉でも考えてろ!!!」」」

「······はい」

 

 こうして、出茶プロポーズ大作戦(ホークス命名)が始動した。は、恥ずかしい。

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「梅雨ちゃん、被身子ちゃん、今日って、雄英に講演頼まれたんよね?えと、何でお母ちゃんと引子さんがおるん?」

「「まぁまぁ」」

「久しぶりやね、お茶子。元気しとった?」

「さぁ、麗日さん、こっちよ!!」

「え??そっちって、更衣室???」

「さぁさぁ、いいから入るのです」

「お茶子ちゃんは、指示に従っていればいいのよ」

「ほら、時間が無いから」

「えっ??ええ???!?!?」

 

 

 

「聞けーー!!!同志達よ!!!!

 はよくっつけランキング世界一位の、緑谷出久と麗日お茶子がプロポーズするというのなら、我らが立ち上がらなければ、国際嫉妬団日本支部の名折れ!!!」

「「「然り!!然り!!然り!!」」」

「今日、我らが挑むは、万夫不当の日本トップヒーロー達。足が竦む者もいよう!!しかし、全世界の同志が我らを見守っている!!そして、私は常に、初志の先頭にあり!!かの者らに、我らが覇道を刻もうぞーー!!!」

「「「う~らららら~い!!!!!」」」

 

 嫉妬団と書かれた鉢巻きを額に巻き、嫉妬団の名を背に刺繍した特攻服を羽織った集団が、今、鬨の声をあげて、雄英高校へと至る坂道を駆け上がっていく。

 いつもは、バレンタインやハロウィンやクリスマスや夏祭り等といったイベントで、カップルがイチャイチャしている様を、ネットの中で呪詛を撒き散らすしか出来なかった。しかし、今日は違う。全世界の非モテの恨みを全身に纏い、全員が嫉妬という名の一つの獣となっている。

 さぁ、世界よ見よ。これが嫉妬団だ!!!非モテの明日を照らす光だ!!!!

 

「フッ、嫉妬を束ねて覇道を為すか。しかしな、嫉妬団よ。リア充を舐めるなよ」

「何アホな事言っとんだ馬鹿。こんな下らねぇ事、さっさと終わらせんぞ」

「もう、ノリが悪いなぁ、家の旦那様は。じゃあ、雄英高校ヒーロー科の皆~!授業で習った事を思い出しながら、頑張ろうね!!」

「「「はい!!!」」」

「行くぞヒヨッ子共!!俺様に着いて来やがれ!!!」

 

 

 

『こちら、R班!!スマナイ、抜かれた!!』

『W、数が多すぎる!!』

『Nフィールドは、もう持たないぞ!!』

『Eフィールドを死守せよーー!!』

「取り敢えず、目の前に居る奴らを止めろ。抜けた奴らは、後方に居る人員で対処する。上空はどうなっている!!」

『ツクヨミだ、空は問題ない。しかし、日本海側が劣勢を強いられている』

『こちらグレープジュース。太平洋は、スターやオイラ達アメリカ派遣部隊で十分だからよ、人員をそっちに回してやれよな』

「すまない!!G~O班は、至急F班と合流して向かってくれ!!デクは何処だ!!!」

『今、リングの受け取り完了した。飛ばしていくから、空に道を作れって言っとけ』

「分かった、ホークス!!」

『はいはい、聞こえてますよ!!ほら、新郎にバージンロード作った作った!!』

「雄英本部、聞こえるか。目標がもうすぐ到着する。出迎えの準備は出来ているか?」

『ええ、此方はいつでもOKよ』

「よし、もう一息だ!!全員気合いを入れろ!!」

 

 

 

「あ、あの、こ、こ、これって、どう考えてもウェディングドレスだよね!?!?」

「ええ、とっても似合っているわ」

「お茶子ちゃん、カアイイのです!!」

「ふふ、頑張った甲斐があったわ」

「それ、引子さんが結婚式で着たドレスを、私達で手直しした物なんよ」

「え?!?そ、そんな大事な!!」

「良いのよ、お茶子ちゃん。ドレスは着られてなんぼだもの」

「失礼します。WAO、とっても綺麗よ、ウラビティ」

「ミッドナイト先生、という事は」

「ええ、もうすぐ到着予定よ。さぁ、出迎えてあげましょう」

 

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「見えた!!」

「オーライ!!オーライ!!!」

「全員踏ん張れよ!!!」

 

 轟君がサポートしながら、ジュエルショップから雄英高校まで、飯田君に背負われて跳んでいる僕。着地点には、切島君を先頭に、砂藤君や尾白君達が待ち構えている。

 勢いそのままに切島君達に受け止められ、100m位地面を削って止まった。借りていた飯田君の予備ヒーロースーツを脱ぎ、急いで駆け出す。

 

「緑谷君!!幸せになってこい!!!」

「うん!!皆!!ありがとう!!!」

 

 声援を背に受け、懐かしい校舎を走る。そして、初めて出会ったあの場所に辿り着いた。

 

「ハァハァハァ、お、お待たせ、お茶子さん」

「い、出久君···髪ボサボサやね」

「あっ!!そ、その、急いでたから」

 

 そこには、真っ白なウェディングドレスに身を包んだ最愛の人が居た。

 

「え、えと、き、き、き、綺麗、だね」

「あ、あはは···嫁入り前に着ると、婚期が逃げるってホンマかな?」

「ど、どうなんだろうね···」

「······」

「······」

「······」

「······」

「「あの!!······」」

「えと、出久君から、どうぞ」

「う、うん。あの、えと、お茶うわっ!!!」

「あっ!!!」

 

 緊張から、焦って足を引っ掻けてしまった。こける。そう思った瞬間、浮遊感を感じた。

 

「ふふ、転んじゃったら縁起が悪いもんね」

 

 あの日と同じ、また助けられちゃった。

 

「麗日お茶子さん」

「はい」

「僕と、結婚して下さい」

 

 

 

 




感無量過ぎて、筆が進まなかった作者です。
しかし、公式でしっかり明言されたのが、黒キノだけとは思いもしませんでしたな。


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