八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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「雪花の嫁入り·前編」

 

 

 

 

「うん、書類もオールOK。これで、いつでも事務所をスタートさせられるね。···ねぇ、本当に私がサイドキックにならなくてもいいの?」

「いらねぇって言ってんだろうが、何度も言わせんなや」

 

 卒業式を終えて数日。

 かっくんのヒーロー事務所で、開設に向けての最終確認等をしている私とかっくん。と言っても、やる事は書類に不備が無かったか、雇った事務員の勤務表や、それぞれの場面での対応マニュアルの作成程度で、正直私の手はいらなかったのよね。

 現に、ちょちょっと書類確認しただけで、後はマニュアル等の作成をしているかっくんを眺めてただけだもん、私。

 

「さいですか。で、デートするでも無いのに私を呼んだ理由は何?まさか、この美貌に溢れた私の体が目的?準備完了の御褒美的な意味で」

「···んな訳あるかよ」

「目的ではないけどヤるのは決定事項な訳ね。やぁねぇ、私の彼氏の前世はゴブリンかしら」

「っ!!気が変わった、先にその減らず口叩けなくしてから本題に入ってやるよ」

「うげ!!ちょ、お昼から光己さんとエステ行く予定なんだから勘弁して欲しいんですけど」

「んな事知った事か」

「キャーーーー!!!」

 

 

   数時間後

 

 

「ああもう!!時間ギリギリ!!かっくんの馬鹿!!変態!!ドスケベ!!!」

「普通に間に合うだろうが」

「これ見よがしに付けられたキスマークを消す時間が無いって言ってんのよ!!ああ、絶対お店の人の笑われる」

「それより、ここにサインしろや」

「は?時間ギリギリって言ってんじゃん。また今度ね」

「いいから、名前書け」

「あーはいはい、···これで良いでしょ。なんの書類か知らないけど、私もう行くから」

 

 こうして、ろくに確認もせず、言われた欄に名前をささーっと書き、何とか身嗜みを整えて事務所を飛び出る私であった。

 取り敢えず、光己さんにかっくんの所業はチクっておいた。

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「やっほ~レイ子」

「···お久しぶり、雪花」

 

 その日は、一人で適当に街をぶらついていた私。見知った後ろ姿に声を掛けたら、何とも微妙な顔をされてしまった。

 

「もう、そんな"ゲッ!面倒臭い奴に出会った"みたいな顔しないでよ。私とレイ子の仲じゃん」

「日頃の行いを省みなさいよ」

「お!綺麗な指輪してんじゃん。しかも、左手薬指なんて見せつけちゃっても~。御結婚はいつのご予定で?」

「···スルーしやがった、コイツ。そんなの決まって無いに決まってるでしょう。それこそ、アンタの方が先でしょうが」

「なにおう!私がデキ婚するとレイ子は申すか!!」

「何言ってんの。聞いたよ、爆豪、婚姻届入手したって」

「···へ?こんいんとどけ?」

「そう。人使が緑谷から聞いたって。まぁ、その緑谷も親からの又聞きらしいけど。て事は、爆豪はまだ雪花に婚姻届の記入を迫ってないって事か。爆豪らしくないね」

「·········」

「···もしかして、何か心当たりあるの?」

「···実は、この前、何かの書類にサインさせられた。急いでたから、何の書類か確認せずに」

「十中八九それでしょ」

「いやいや、まさか~」

「まぁ、爆豪に聞いてみなよ。じゃあ、私これから人使とご飯だから」

「もしかして、両家のご両親も揃っての会食?」

「·········」

「うっひょひょ~!!早速、一佳と唯に報告しなきゃ」

「すんな馬鹿!!!」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「ただいま~。アレ?何で炎司おじさんが家に居るの?」

「···別に。では、俺はこれで帰るぞ」

「あ、ああ、また今度」

「姉さんにもよろしくお願いしますね、お義兄さん」

「ああ」

「さよなら~」

 

 家に帰ってきたら、珍しく炎司おじさんが家に居た。うん、お父さんとおじさんが揃うと、家じゃ狭っ苦しい。ん?今かっくんの匂いが···気のせいか?

 

「改めて、おかえり、雪花」

「おかえりなさい」

「ただいま。···どしたの?お父さん。何か落ち着かない様子だけど」

「そ、そうかい?」

「うん、見るからに」

「ま、まぁ気にしないで」

「···もう、この人は。雪花、ちょっとそこに座りなさい」

「え?うん」

「貴女、爆豪君とは今後どうするつもり?」

「へ?どうするつもりって?」

「彼との結婚を考えているのかって話よ。貴女ももう社会人になるのだから、一応確認をしておこうと思って」

「ど、ど、ど、どうなんだい?いや、べ、別にお父さんは爆豪少年に対して何か思う所がある訳じゃないよただ雪花の気持ちが知りたいだけで彼は確かにプライドが高くて口が悪い所もあるけど確かなヒーロー性は持っているし向上心もあるし悪い子じゃないのは分かってるし」

「あなた、少し黙って」

「ハイ」

「ホント、何があったの?お父さん。で、何だっけ、かっくんと結婚云々だっけ。そりゃ、結婚するならかっくんしか居ないよ。お父さんを超えて、No.1ヒーローになるって夢が無ければ、今すぐにでもかっくんとの子供を仕込まれてやろうかって思う位には、かっくんと結婚したいかな」

「···そう」

「もしかして、かっくん来てた?お父さんとお母さんに何か宣言していった?おじさんはその証人?」

「まぁ、そういう所ね。内容は秘密だけど」

「ええーー!!教えてよ~」

「いずれ分かるわ。貴女は、取り敢えず自分の事をキチンとやっていなさい」

「ブー、は~い」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「うがああああ!わたしはきーぷちゃんじゃないぞーー!!こんいんとどけだせー!!こんやくゆびわよこせーー!!けっこんしきでがーたーとすやらせんぞごらああああ!!!!!」

「そーだそーだ!!へたれにゃやつにおもいしらせてやれーー!!!」

「みどりやおちゃこ···みどりやおちゃこ···フヘヘ~」

「きょにゅうころすでんきころすきょにゅうころすでんきころすきょにゅうころすでんきころすきょにゅうころすでんきころす」

「うっはっはっはーー!!みんながぶんしんしてるーー!!わたしとうめい~~!!」

「う~ん、しょうとさん~、きょうはとくにひんやりですわ~」

「···これは、明日が大変ね」

 

 

 

「···漸くだ、雪花」

 

 

 

 




最後の場面は、番外編で書いた女子初飲み会の一場面です。

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