八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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「迷い子異余ちゃん」

 

 

 

 

 その日、緑谷出久は麗日お茶子と、彼女が来週雄英高校で行う講演の打ち合わせをしていた。

 話し合う事項は殆ど終わり、お互いの近況や他愛ない事をお喋りして、かつての青春を取り戻すかの様に、男女としての交流を深めている二人。

 そんな時、使用していた個室の窓の外ド直近に、突如大きな雷が降ってきた。予想外の轟音と閃光にたじろぎ、今日は雲一つ無い快晴だと言うのに何事かと、二人は窓を開けて外を見た。

 

「あ!士郎君のお父さんとお母さんなの···です?」

 

 そこには、とても幼い、一人の女の子が立っていた。

 

「······ヒミコ···ちゃん?」

「それはお母さんの名前なのです。異余は異余なのです。分倍河原異余なのです!!」

「「······ええええええ!!!!!!」」

 

 

 これは、本来出会う筈の無い者達の、夢幻の様な出来事のお話。

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「で、これはどういう事なんだ?緑谷」

「えと···その、僕達にも、正直良く分かっていないというか···」

 

 相澤先生に質問されて、困った様に頭を掻きながら、こちらにチラチラと視線を送るデク君。厳密には、私の膝の上に座る女の子を見ているのだけど。

 当の女の子は、相澤先生を見て「···無亜ちゃんのお父さん?」なんて呟いて、首をかしげてる。

 

「ねぇ、相澤先生に、もう一度自己紹介してくれへん?」

「むぅ、だから何度も言ってるのです。異余は異余、分倍河原異余なのです。お父さんは分倍河原仁お父さん、お母さんは被身子お母さんなのです」

「·········どういう事だ」

「彼女が言うには、何かの機械的事故に巻き込まれて、気が付いたら、らしいです」

「なのです。目の前でおっきな機械がバリバリピカッてドゴーンしたのです。そしたら、異余は一人でここに居たのです」

「······麗日はどう思う」

「···多分、嘘は言ってないと思います。外見からも、この子はヒミコちゃんと何かしら血縁関係があるのは間違い無いと思いますし」

「だが、トガヒミコがトゥワイスの子供を産んだ、というのは考えられん」

「本当なのです!!これが証拠なのです!!!」

 

 女の子、異余ちゃんは私の膝から飛び下りて、ポシェットの中から子供用のスマホを取り出して、相澤先生に突き付けた。覗き込んでみると、そこには、この子を抱いた、記憶の中のヒミコちゃんよりも大人に成長したヒミコちゃんが写っていた。その隣には、トゥワイスの姿も。とても幸せそうな、家族の写真だった。

 

「まだまだあるのです」

「「「っ!!!!!」」」

 

 シャッシャッと指をスライドして、何枚も写真を見せてくれる異余ちゃん。それらは、とても衝撃的な内容だった。

 

「死柄木···荼毘···」

「白···雲···なのか······」

「ミッドナイト先生···」

 

 お花見、夏祭り、花火大会、バーベキュー、運動会、お遊戯会、紅葉狩り、クリスマス、お誕生日会、初詣、その他日常の風景。そんな多くの写真には、今は既に居ない筈の人達が、歳を重ねた姿で写っている。しかも、その人達の子供らしき子も一緒に。

 

「多分、異余はパラレルワールドに来てしまったのです。漫画や映画でよくある設定なのです」

「パラレルワールド?」

「並行世界、僕達の生きている世界とは、別の歴史を辿った世界の事だよ、麗日さん」

「······荒唐無稽で非現実的だが、それが一番納得出来る結論か」

「···それやったら、異余ちゃんを元の世界に帰してあげなきゃ」

「でも、どうやって···」

「大丈夫なのです。多分、もうすぐ迎えが来るのです。異余はそれまで、大人しく待ってればいいのです」

 

 そう言って、楽しげに私の膝の上に座り直す異余ちゃん。何も根拠のない子供の言葉だけど、私達は何故かそれを素直に信じた。

 そうして、私達は異余ちゃん言う迎えが来るまで、彼女の面倒を見る事にした。と言っても、

 

 

「し、死柄木とミルコが結婚!?!さ、三児の父親···」

「······白雲」

「リューキュウの隣に居るの、Mr.コンプレスで見間違いないよね?」

「これ壊理ちゃん?アレ?常に洸汰君の隣に···」

「······ピクシーボブとなのか、白雲」

「ちょお待って!!マンダレイ、スピナーと結婚しとんの??!荼毘はバーニンっぽいし、ヴィラン連合どうなっとるんよ!!?」

「あ、真幌ちゃんと活真君だ。あれ?この子は照本君?こっちの子は···ロディの妹さん?」

「······子供が居るのか、白雲」

「ミッドナイト先生が子供抱いとる、見た目からして、旦那はマイク先生?」

「治崎···両手がある···え?!?レディナガン!!?!?」

「······二人も居るのか、白雲」

 

 

 と、フォルダ内にある数々の写真に写る人達に、皆宇宙猫にさせられたんだけどね。極めつけは、

 

「「っ!!!!」」

 

 異余ちゃんを抱くヒミコちゃんとトゥワイスと一緒に写る、子供を抱いた私とデク君の写真。デク君そっくりやけど、どこか私の面影がある顔をしたその子供は、どう見ても私とデク君の子供。

 その写真の私とヒミコちゃんは、とっても幸せそうで、もしかしたら、こんな未来が私達にもあったんだろうか。

 

「!!!来たのです!!!!」

 

 突然、異余ちゃんが窓に駆け寄った。すると、異余ちゃんが立っていた場所に、今度は小さい光の玉が出現した。それは、どんどんと大きくなり、人の形になった。

 そして、光が粒子となって消え去ると、一人の女性が立っていた。

 

「お母さんなのです!!」

 

 窓枠に足を掛け、ピョーンとその女性に向かって跳ぶ異余ちゃん。女性は、異余ちゃんを優しく抱き止めた。

 

「迎えに来たのです、異余。異余の面倒を見てくれて、ありがとうなのです、こっちの世界のお茶子ちゃん」

「······被身···子···ちゃん」

「はい、渡我改め分倍河原被身子なのです」

「被身子ちゃん!!!!」

 

 私は、涙に滲む視界のまま、窓から飛び出して被身子ちゃんに抱きついた。

 

「被身子ちゃん、ごめん、ごめんね。私、私、貴女を助けてあげられなくて」

「······何となく分かっているのです。こっちの世界の私は、ヴィランとして生きて、ヴィランとして死んだのですね。でもきっと、渡我被身子は渡我被身子として生きたのです。そこに、悔いは無かったと思うのです」

「被身子ちゃん」

「私は、お茶子ちゃんの知ってる渡我被身子じゃないですし、どんな最期だったのかも分からないです。でも、多分同じ言葉を送ると思うのです。

 私は好きに生きたのです。だから、お茶子ちゃんも好きに生きていいのです」

「···被身っ!!!」

 

 被身子ちゃと異余ちゃんの体から、光の粒子が溢れだした。

 

「もう時間みたいです。多分、もう会う事は無いと思うですけど、会えて良かったです。さよなら、こっちの世界のお茶子ちゃん。出久君と幸せに、です」

「被身子ちゃん!!!」

「バイバイ、お茶子ちゃん」

「さよならなのです、お茶子おばちゃん、出久おじちゃん」

 

 そうして、二人は光になって消え去った。

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「あ!!異余ちゃんの携帯!!!」

「スマン、返し忘れていた」

「どないしよ···ん?この写真、皆のやね」

「あ、本当だ···あれ?これ、峰田君だよ···ね?」

「その隣に居るんは、角取さん?」

「目が疲れてるのか、その二人の間に、二人に良く似た子供が見えるんだが、峰田がタブって見えてるのか?」

「いえ、僕にも見えます」

「私にも」

「「「そっちの世界、マジでどうなってんの!!?!?」」」

 

 

 

 





本作トガちゃんと原作お茶子の遭遇。夢で見たので衝動突貫書き。
本当は、皆の子供も出したかったけど、原作でカップリング成立している訳じゃ無いのに、なんか出会わせるのはダメな気がしたので、異余ちゃんのみ。最後の峰ポニネタはやってみたかっただけ。


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