八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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第十九話「八木雪花と騎馬戦と晴れ時々氷」

 

 

 

 お母さんに言われてお父さんが超特急で家から取ってきたブラを付けて、様子を見に来てくれた百やお茶子と一緒に会場に戻ると、丁度最後の一人がゴールした所だった。お父さんに何故か居たおじさんに連れてかれたかっくんも、ちゃんと戻ってきてる。冬姉と萌さんと一緒に買ったお揃いのお気に入りだったのに、絶対弁償させてやる。

 そうこうしてる内に、ミッドナイト先生が宣誓台に立った。いけないいけない、頭を切り替えないと。こっからは、見に徹してたB組も本気で来るだろうしね。

 

『さぁ!第一回戦を突破した42名に次の種目を発表するわよ!!第二種目、私はもう知ってるけど~~~何かしら!?言ってるそばから、コレよ!!!!』

 

 第一回戦の時同様、飾り気のない文字で映し出されたのは騎馬戦の三文字。いや、最大で四人一組なら、一回戦通過者はせめて4で割り切れる人数にすべきだと思うんだけど、まぁいいか。

 ルールは単純。一回戦の着順でそれぞれポイントが振り分けられて、チームの合計ポイントがその騎馬のポイントになって、それらを奪い合う。また上位何チームが通過なのか発表されてないけど、例年の事を思えば16人位。大体4チームか5チーム辺りかな。

 

『一位の子には1000万ポイント付与する予定だったんだけど、写真判定の結果、爆豪君と八木さんの同着と判定されたから、二人には半分の500万ポイントずつ付与されるわ』

 

 は!?何でそんなインフレさせた!!?というか、守りきれば私かかっくんの居るチームは確実に通過出来るって事よね。誰と組むよ、ホント。

 

『それじゃ、これより15分!チーム決めの交渉タイムスタートよ!』

 

 ん~、折角ならあの子行っちゃうか。

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

『さぁ、起きろイレイザー!15分のチーム決め兼作戦タイムを経て、フィールドに12組の騎馬が並び立った!!』

『······中々、面白ぇ組が揃ったな』

 

 

雪花チーム:雪花500万、心操75、発目5、鉄哲160(500万240pt)

爆豪チーム:爆豪500万、切島165、瀬呂170、芦戸115(500万450pt)

轟チーム:轟195、八百万125、上鳴90、飯田180(590pt)

緑谷チーム:緑谷200、常闇175、麗日130、塩崎190(695pt)

峰田チーム:峰田120、障子140、蛙吹145、尾白155(560pt)

葉隠チーム:葉隠20、耳郎105、砂藤135、口田110(370pt)

拳藤チーム:拳藤70、柳80、取蔭15、小森40(205pt)

鱗チーム:鱗50、宍田65(115pt)

物間チーム:物間30、円場95、回原100、黒色60(285pt)

泡瀬チーム:泡瀬150、骨抜185、庄田45(380pt)

小大チーム:小大55、凡戸85、吹出10(150pt)

鎌切チーム:鎌切35、角取25(60pt)

 

 

『さぁ、上げてけ鬨の声!!血で血を洗う雄英の合戦が今!!狼煙を上げる!!』

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

「いや~、人に股がって見る景色も乙なもんですな~」

「何呑気な事言ってんだ、八木!お前の話に乗ってやったがな、奪われて敗退なんてなったら承知しねぇぞ!!」

「俺らを決勝に連れていくなんて大口叩く位なんだし、自信があるって事なんでしょ、流石はヒーロー科」

「私は、かわいいベイビーの宣伝が出来ればそれでいいです」

「心配性だな~鉄哲君は。心操君みたいにどっしり構えてなさいな。発目ちゃん、スタートしたらすぐ出番だから、いつでも使えるように準備しといてね」

「了解です!!」

 

 前騎馬にB組の鉄哲君、左後ろにサポート科の発目ちゃん、右後ろに普通科の心操君という一番バラエティに富んだ組み合わせの我がチーム。

 正直、この競技でこのルールなら、誰と組んでもあんま変わんないんだよね。

 

『よォーし、組み終わったな!!??準備はいいかなんて聞かねぇぞ!!いくぜ!!残虐バトルロイヤルカウントダウン!3···2···1』

 

 何故って?

 

『START!!!』

 

 私が、一歩も動く事無くハチマキを奪えるからに決まってるでしょ。

 

『な、なにーーー!!!!スタートと同時に殆どの騎馬のハチマキが勝手に宙を浮いて、八木の首に収まったーーー!!!!』

『人の動きを止めたり自身を浮かしたりしてるんだ、ハチマキを動かすなんて訳ないだろ』

『ハチマキを死守したのは、爆豪、轟、緑谷!!また、お前らかよ!!!』

 

「やっば、ハチマキ九本とか邪魔過ぎるんですけど。発目ちゃん、準備はOK?」

「私のどっ可愛いベイビーの力、解くとご覧あれ!!」

「お日様向かってフライハーーーイ!!!!」

 

『やっぱ跳んだーー!!10本のハチマキを携えた八木チーム、天高く舞い上がって空中で何かに着地したーー!!』

『八木が作った雪の板にでも乗ってんだろ、ありゃ』

『最早高みの見物か!!どうする、他チーム!!!』

 

「で、俺達はこのまま終了まで観戦か?」

「あっはっはっはっ!!甘い、甘いよ心操君。私達にのんびり下界を見下ろす暇なんてない!ほら、敵が来るよ」

「雪花!!」

「八木さん!!」

 

『おおっと!!負けじと轟チーム緑谷チームが同じ高さまで昇って行ったーー!!地上に残るポイント持ちは、もう一人の500万、爆豪率いる爆豪チームのみ!!どうなってしまうのだ、この騎馬戦はーー!!!!』

 

 氷壁で騎馬ごと持ち上げた焦凍チーム、ダークシャドウに塩崎ちゃんだっけ?彼女の蔦で乗り場作って上がって来た緑谷チーム。空中機動の出来る緑谷チームの方が脅威かな?

 

「こうすれば、二人は来てくれると信じていたよ。ふ、ふふ、ふははははは!!公衆の面前、全国生放送で痴態を晒されたこの怨み、その身で味わうがいい爆豪勝己ぃいいい!!!!」

「···するのは強いけど、されるのには弱いよね、雪花ちゃんて」

「雪花さんが、魔王みたいになってしまわれましたわ」

「おいたわしや」

 

 あっちの女性陣から、可哀想なものを見るような視線を向けられている気がする。

 

「雪花さんには同情するけど、500万ポイントは頂いていくよ!!」

「ここで緑谷君に朗報です。500万ポイントを諦めて、この560ポイントハチマキで手を打つというのなら、お茶子のうららか~なお膝で膝枕して貰える権利を進呈しよう!!」

「はいっ?!?雪花ちゃん何言うとるん??!??」

「麗日さんの···膝枕······」

「デク君!!!!」

「それとも、大食い大会で摂取したカロリーを頑張って燃焼中なうららか~なお腹が良かった?それともそれとも、最近0.2cm大きくなったうららか~なお胸の方が良かったかにゃ~」

「·········(ゴクリ)」

「ゴクリやないよ!!!」

「雪花さん、恥ずかしさを誤魔化す為にお茶子さんを巻き込むのはどうかと思いますわ」

「あ~、焦凍に壁ドンされて顔真っ赤にしてた八百万百さんじゃないですか」

「し、しておりませんわ!!というか、雪花さんはあの場に居なかったじゃありませんか!!」

「お母さんがスマホでネット配信見せてくれてたからね。バッチリ映っておりましたのことよ」

「デ、デ、デタラメですわ!!!!」

「おっほっほっほっ、初心よの~」

「なぁ、茶番はもういいか?」

 

 チッ、焦凍は乗ってくれないか。少しでも時間稼ぎしたかったんだけどなぁ。ついでに、ちょっとでも隙見せてくれたら良かったんだけど。

 

「来るよ。しっかり耐えてよ鉄哲君。心操君と発目さんは手を離さないでね」

「けっ!誰に言ってやがる!!」

「頼むぜ、本当に」

「ベイビー達が注目されるチャンスですよこれは!!」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「うざってぇんだよ雑魚共!!」

「ちっ、流石に手が足んねぇぞ」

「うわっ!ちょ、タンマ!!」

「大丈夫か?!芦戸!!」

 

 自身のハチマキは手の届かない上空、手が届く場所にあるのは爆豪の額に巻かれた500万だけ。手に入れば通過確定となれば、そりゃ皆取りに来るしかねぇよなぁ。

 爆豪のとんでもスタミナと敵が連携してねぇから凌げているけど、女子の芦戸や前騎馬で耐えている切島に疲労が滲み出してきている。俺も、射出口の肘が痛くなってきた。このままじゃ、時間制限の前に潰れちまう。

 

『7分経過した現在のランクを見てみよう!つっても、全然変動してねぇんだけどな!上空で轟、緑谷を相手にドッグファイトかまして一本も奪われていない八木。たった一組、地上に残されたポイント持ちの爆豪も、豊富なスタミナに巧みな動きと指示で守り切っていやがる!!こっから後半戦、ハチマキを持って終えるチームはいったいどのチームだ!!!』

 

 無理だ。爆豪一人なら何とかなるかもしれねぇが、俺達は後八分も持たねぇ。何か、この状況を好転させる何かはないのか。

 焦燥と絶望で普通じゃない汗が垂れる頬に、一瞬ひんやりした物が触れた気がした。

 

「下の皆ー!!避けてーー!!!!」

 

 上で戦ってる八木の声が響いてくる。全員が視線を上に上げると、そこには太陽の光を反射してキラキラ光る氷の塊が、大量に俺達目掛けて降ってこようとしている所だった。

 

「「「「「「「はあああ???!??」」」」」」」

 

 




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