「ふぅ、雪かき終わったよ、真綿さん···真綿さん?」
昨晩から降り始めた雪。
今季最強寒波の名の通り、結構な積雪となったので、一足先に社会人となった恋人の家に泊まりに来ていた回原旋は、朝から近隣住民の人達と雪かきをしていた。除雪車の通れない細い道等を、三時間掛けて除雪し家に帰ってみれば、家主からの返事が無かった。
リビングに行ってみれば、真綿がどうしてもこれが良いと言って買った、ファミリーサイズな炬燵で、座布団を枕にぐっすりスヤスヤと寝息を立てている真綿の姿があった。
「もう、人が頑張って来たのに、呑気だなぁ」
その無防備な寝顔に苦笑しつつ、自身も炬燵に入る。位置は、寝ている真綿の真横。二人で炬燵に入る時は、絶対に隣り合っていないと、真綿が拗ねてしまうから。
付けっぱだったテレビを見つつ、真綿が食べていたであろう、炬燵の上に半分残されて放置されているミカンを食べる。
「···ん?」
ちょっと熱いかなぁと、炬燵の温度を下げようと中に手を入れると、真綿の肌に手が当たった。何かおかしいと思い、チラッと布団を剥ぐって中を覗いてみると、まぁ物の見事にズボンを脱ぎさってパンツのみな、真綿のプリッとしたお尻と生足がそこにあった。
バッと布団を戻し、炬燵の温度を下げて、誰に対してか分からないが、平然を装ってテレビに目を向ける回原。
「···んぅ······」
「っ!!」
真綿が寝返りを打って、回原の方を向いた。彼女の艶々した唇と、胸元の防御力が少々低めなシャツから覗く、ご立派な谷間に目が行ってしまう回原。ダークマイト事件解決の後に、真綿相手に童貞卒業してから、二回位肌を重ねた程度では、まだ真綿の魅惑の体を前にドギマギしてしまう回原。
テレビを消し、おもむろに上着を脱いで、同様に座布団を枕にして、真綿と向かい合って炬燵に潜る回原。
自身の胸と真綿の胸が当たりそうな位にズイッと寄って、真綿を起こさない様に、慎重に真綿の頭の下に自身の腕を入れ、腰に腕を回す。手が、お尻に触れているのはご愛敬。
そして、真綿の寝顔を見つめる事数分。真綿同様に寝息を立て始めたのであった。
▼▼▼
「どう思うっちゃ。結局手ば出してこんかったとよ」
「まぁ、回原君だし」
「円場や峰田とつるんでる割りに、割りと純情よね、回原って」
膨れっ面で、ミカンをパクつく不和先輩。
不和先輩の家に連れ込まれて、こうして愚痴を聞かされる私こと柳レイ子と雪花。
「仕事で疲れてる筈の年上の彼女に、無理させたくなかったって所かな」
「後は、寒い所から暖かい所に来て、炬燵にまで入ったもんだから、普通に寝てしまった、とか?」
「大体合ってる。問い詰めたらそう言い訳したっちゃ」
「でも、その後したんですよね?」
「当然ったい。据え膳食わせぬは女の恥ったい」
「そ、そうですか」
それでもプリプリしてるのは、やっぱり男の方から手を出して欲しいっていう、複雑な女心云々だからでしょうね。
「二人の彼氏は、据え膳されればお構いなしに食うっちゃろ?羨ましいったい」
「···私としては、不和先輩が羨ましく思いますけどね。人使と回原足して2で割ってくれたら、丁度良い案配になるかしら」
「心操君なら、真っ先にちょっかい掛けそうだもんね、こんな風に」
「ちょっ!!止めなさいよ!!!」
雪花が、私の股に足を伸ばしてツンツンしてきた。この動き、手慣れてやがる。
「どうせ、そうやって爆豪に悪戯して、ピキらせて襲わせてるんでしょうが、アンタは」
「違います~~!!これは、ヤろって合図です~~!!悪戯するなら、潜り込んで寝てるかっくんのかっくんを、口でピーしたりピーしたり下でピーとかだってば!!!」
「胸張って言うことか馬鹿!!!!」
「だって、私が寝てたらかっくんは何もしてこないんだもん!!!!」
「知るか!!!万年ドM発情期!!!!!」
「そっちこそ!!!嫌よ嫌よも好きの内をかっ飛ぶ、心操君に開発され切ったド淫乱な癖に!!!!!」
「開発されてもなければド淫乱でもない!!!!!」
「私だって万年発情期なんかじゃない!!!!!」
「嫌よ嫌よも好きの内ではあるし、ドMでもあるったいね」
「「うるさい!!!欲求不満!!!!!」」
「ああん!!!毎日学校で一緒に居られるアンタらと違って、こちとら仕事と恋愛を両立させる為に毎日ヒィコラ言っとるっちゃよ!!!!久しぶりに会えた彼氏とイチャコラズッコンバッコンしたいって思って悪いっちゃ!!!!!!!」
「私だって!!!最近は事務所設立に奔走しててご無沙汰だってぇの!!!!!」
「ヒーロー本免と教員免許取得の為に、毎日勉強漬けなんですけど!!!!!私よりも、相澤先生とかと一緒に居る時間の方が長いんですけど!!!!!!!!」
グヌヌヌヌと、卓上で火花が散る。
キンコーンと、唐突に呼び鈴が鳴った。不和先輩が、玄関に向かう。「大家さん?」という不和先輩の声が聞こえたので、恐らくこのマンションの大家さんなのだろう。
『あのね、もうちょっと声を抑えた方が良いわよ、真綿ちゃん』
「え?」
『その、ね、聞こえちゃってるから』
「ま、まさか」
『あんまり、発情期とか淫乱とかズッコンバッコンとか、若い子が言っちゃダメよ』
その後、真綿先輩の家から帰る時、すれ違う奥様方から、私も若い頃、ああいう時があったわぁとか、うちの旦那はこうだったわぁなどの呟きと生暖かい視線に、雪花も私も顔を真っ赤にして俯くのであった。真綿先輩?布団にくるまって身悶えされています。
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「な、なぁ、鉄哲、黒色」
「ん?どうした、回原」
「何?」
「その、ちょっと相談なんだけどさ」
「おう」
「うん」
「彼女が下半身下着だけで炬燵に寝てたら、ヤっちゃう?」
「「······」」
「······」
「······寝てる荊に手ぇ出せるかよ」
「······む、無理」
「だよなぁ!!!!」
「嫌、ヤるだろ」
「「「心操、お前には聞いてねぇ!!!」」」
なんか出来たので投稿。
恋人と炬燵に居る時のヒーロー科男子達の行動を、ザックリ表にすると、
手を出す:轟、緑谷、常闇、砂藤、上鳴、心操、骨抜
出さない:爆豪、飯田、尾白、切島、鉄哲、黒色、物間、回原
余談ではあるが、お茶子を足の間に座らせて、一緒にお餅を食べながら、炬燵に当たる出久のイラストを見てみたい作者である。どっかにねぇかなぁ。
評価と感想を、よろしくお願いします。