八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

246 / 246
「蛙とハブとマングース」

 

 

 

 いつの頃からだろう、あの人の事を目で追う様になったのは。

 初めて会ったのは、姉上がまだ高校生の時。友人らしき眼鏡の女性と家に遊びに来ていて、軽く挨拶を交わしただけ。

 ちゃんと会話をしたのは、姉上があの人を晩御飯に誘った時。姉上が調理をしている間、宿題を見てもらった。難しい問題が解けた時、"良く出来ました"と頭を撫でてくれた。

 クリスマス、色違いの手編みマフラーを貰った。姉上もさつきも貰っていた。破れたりほつれたりしないよう、丁寧に大事に使っている。

 バレンタインで、あの人がチョコをくれた。姉上へのついでだけど、初めて家族じゃない人から貰ったチョコは、食べるのが勿体なかった。

 夏休み、海に行った。姉上と兄上の邪魔をしないよう、あの人が僕とさつきの面倒を見てくれた。水着姿に、とってもドキドキしてしまった。

 僕から頼んで、勉強を教えもらった。忙しいのに、快く了承してくれた。時折、ひんやりとした素肌が当たったり、クラクラする様な甘い香りが漂ってきて、勉強は捗った様で捗らなかった。(テストの点数は上がった)

 あの人が泊まりに来ていた時、たまたま恐い映画を見てしまい、さつきと僕は一人で寝れなくなってしまった。さつきは姉上と一緒に寝た。僕は、あの人が一緒に寝てくれた。

 学校から帰ってきて、シャワーを浴びようとお風呂場に行ったら、脱衣場で服を脱いでいるあの人と遭遇してしまった。不覚にも、その光景に目を奪われ、許容範囲を超えて気絶してしまった。目が覚めた時には、僕はあの人に膝枕をしてもらっていた。

 

 

「そして、気付いたんです。僕は、あの人が、萬遇数羽生子さんが好きなんだと」

「そ、そうか」

「しかし、羽生子さんは僕の事を、姉上の弟としか見ていません。どうすれば、羽生子さんに意識してもらえる様になりますか?」

「···ふむ、自分なりに何かした事はあるのか?」

「中学からバイトが出来る様になったので、誕生日やクリスマス等で、プレゼントを買って贈ったりはしています。何回か、一緒に買い物に行ったりしました。まぁ、姉上への贈り物を選ぶのに協力をして欲しいといった、誰かを出汁にしての形なので、デートという雰囲気にはなっていません」

「···なるほど。うぅむ、この事は梅雨には」

「···まだです、その、姉上に知られるのは、少々恥ずかしくて。恐らく姉上の事ですから、何かしら勘づいてるとは思いますが」

「例えば?」

「この前、僕の前で羽生子さんに、お付き合いしている人は居ないのか、どういった男性が好みなのか等、恋愛関係の話を振っていましたので」

「それは、確実にバレているだろうな。なら、この事は梅雨も交えて話し合おう。不甲斐ないが、俺もそんなに恋愛経験が多いという訳ではないからな」

「はい、ありがとうございます、兄上」

「しかし、お前もそういう年頃になったんだな、五月雨」

「僕ももう、兄上の後輩ですから」

 

 

   ▼▼▼

 

 

「ねぇ、梅雨ちゃん」

「何?可視子ちゃん」

「最近、羽生子に何かありました?」

 

 可視子ちゃんから連絡があり、二人でカフェに来た私。

 

「羽生子、どこかソワソワしてたり、ボーッと惚けてる時があったりして、仕事中以外は上の空な感じなんです」

「ウフフ。なら、脈はあるみたいね」

「脈?」

 

 可視子ちゃんの、知ってる事があるなら教えて下さいという視線を、ストローに口を着けながら受け止める。

 

「別に大した事じゃないのよ。ただ、私の弟が羽生子ちゃんに告白しただけよ」

「···へっ?!?」

「と言っても、自分を私の弟としてじゃなく、一人の男として見てほしいって、宣言した感じなのだけど」

「···は、はぁ······」

「高校を卒業して、就職出来たら、改めて交際を申し込むつもりらしいわ」

「弟君って、今幾つなんでしたっけ」

「六つ下よ。雄英高校サポート科の一年生になったわ」

「···」

「まさか、弟が年上趣味とは思わなかったわ」

 

 隠してるつもりだったのだろうけど、あからさまに羽生子ちゃんについて聞いてこられれば、丸分かりというものよ。

 

「じゃあ、梅雨ちゃんと羽生子は姉妹になるのね」

「気が早いわ、可視子ちゃん。弟の卒業までに、羽生子ちゃんに好い人が現れない保証はないもの。それに、弟が羽生子ちゃんに相応しい男になれるかも、まだ分からないわ」

「手厳しいのですね」

「私は羽生子ちゃんの親友だもの。例え身内と言えど、甘くするつもりはないわ。まぁ、最後に決めるのは羽生子ちゃんだけど」

「その頃には、私も梅雨ちゃんも、結婚して子供が産まれているかしら」

「さあ?そこはお互い、パートナーの甲斐性次第かしら」

「フフ、そうですね」

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

 

「萬遇数羽生子さん!!!

 僕と、結婚を前提にお付き合いして下さい!!!」

 

 

 

 




なんか、フッと降りてきた。
悪い円場、君のお相手候補がまた一人減ってしまった。


評価と感想をよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

半分少女のヒーローアカデミア(作者:Akafuku2000)(原作:僕のヒーローアカデミア)

某巨悪さんの暗躍によって個性を改造された上に、天涯孤独になった少女。これは、彼女が人と出会い、過去を乗り越え、最高のヒーローになるまでの物語。▼加山水穂っていいます。水流と火炎のハイブリッド個性です。え、こちらのナンバー2の息子で、髪が紅白なヒーローの卵と個性が似ている?私との血縁はありません。本当ですよ?▼え、髪も似てるって?これは諸事情が……▼※本当にあ…


総合評価:2047/評価:7.65/連載:108話/更新日時:2026年04月12日(日) 00:00 小説情報

抹消ヴォイスのヒーローアカデミア(作者:M.T.)(原作:僕のヒーローアカデミア)

事の始まりは中国、軽慶市。『発光する赤児が産まれた』というニュース。▼以降各地で「超常」は発見され、原因も判然としないまま、時は流れる。▼世界総人口の八割が何らかの特異体質である超人社会となった現在。▼世界では一つの職業が脚光を浴びていた。▼生まれ持った超常的な力“個性”を悪用する犯罪者・敵(ヴィラン)が増加の一途をたどる中、同じく“個性”を持つ者たちが“ヒ…


総合評価:4267/評価:8.15/完結:153話/更新日時:2024年05月29日(水) 02:18 小説情報

個性「メ化」(作者:カフェイン中毒)(原作:僕のヒーローアカデミア)

 身体の半分が機械で出来た異形型個性を持つ、ヒーロー志望生のお話。▼ ※ただし主人公はクソデカロマンウェポンを振り回す身長240㎝のメカクレロングヘアなむちむちメカ少女とする▼【最近Fate読み始めt(以下略】様より支援絵をいただきました。▼ ▼ ▼【挿絵表示】▼


総合評価:12411/評価:8.55/連載:138話/更新日時:2025年03月02日(日) 21:17 小説情報

雷速少女のヒーローアカデミア(作者:K鶏)(原作:僕のヒーローアカデミア)

本編完結しました。▼アニメ版をもとにしたオリ主物になります。▼上鳴電気に双子の妹を投入しています。▼タグも一応付けますが、砂藤B組、吹出不在で人数調整しています。▼用語やセリフに関しては他作品との多重クロスがあります。▼一部キャラに対するアンチやオリキャラと原作キャラの恋愛要素もありますので、苦手な方はブラウザバックをお勧めします。▼※タグは下書きの状況踏ま…


総合評価:3509/評価:7.88/完結:115話/更新日時:2023年09月05日(火) 00:00 小説情報

便利屋チェイテと愉快な仲間たち(作者:鮪薙)(原作:僕のヒーローアカデミア)

 どんな依頼もそれが犯罪行為ではなければ報酬さえ払えば遂行し達成する『便利屋』と呼ばれる集団が巻き起こすドタバタストーリー。少女は、そしてその愉快な仲間たちはこの世界で何を成すのだろうか……▼なんて書いたけど、早い話が本来の世界線とはなんかこう緩い感じに違うヒロアカのお話。▼


総合評価:1871/評価:7.75/連載:194話/更新日時:2026年06月13日(土) 21:23 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>