八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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第二十話「八木雪花とブレイク·アイスと父の背中」

 

 

 

 

「ああもう、しつこい!!塩崎さんホント厄介だね!鉄哲君」

「当たり前だ!!B組舐めてんじゃねぇぞ!!」

 

 お茶子の無重力と塩崎さんの蔓、まさしく命綱着けて船外作業する宇宙飛行士状態な緑谷君。しかも、塩崎さんが的確に足場を作るから、マジで縦横無尽に飛び回ってる。そっちに注視してると、常闇が遠慮なしにラムアタックしてくるし。

 焦凍は焦凍で、氷の道作っての移動だからまだ対処しやすい様に見えて、こちらの動きをしっかり先読みしてやがるから、気付けば目の前なんて事も。

 私や鉄哲君はまだ行けるけど、心操君と発目さんがバテてきてる。発目さん何て、ほぼ私が動かしてる様なもんだし。

 

「別の科いるんだから、一息位つかせなさいな!!」

「えっ?!うわああーーーー!!!」

 

 突っ込んで来た緑谷君を躱して掴んで、思いっきしぶん投げる。ちゃんと、命綱代わりの蔦ぶった切って。これで、少しは時間が···って、マズ!!

 

「ぶ、ぶ、ぶつかるーー!!DETROIT SMASH!!!」

 

 緑谷君が飛んでいく先には、聳え立つ氷壁。焦凍が足場に延ばしてる氷の起点となっている大事な奴。それを、緑谷君が思いっきりぶん殴って破壊した。

 

「デク君!!常闇君、デク君助けに行かな!!」

「私が皆さんを固定します。ですから、全速力で!」

「空を切り裂くぞ!ダークシャドウ」

「ガッテンダ!!」

 

「焦凍さん、足場が!」

「下まで延ばす!飯田、任せたぞ!!」

「ああ、任された!!」

「ジェットコースターかよーーーー!!」

 

「おい、アレやばくないか?」

「俺ならともかく、あの氷の塊が当たったらただじゃすまねぇぞ」

「私のベイビーでも、どうしようもないですね」

「ああもう!!降りるよ!!」

 

 

   ▼▼▼

 

 

「ちょっと、これは洒落になってないんじゃないかなぁ!A組?!!円場!!」

「あの質量じゃ、気休めにしかなんないぞ!!」

「それでも、やらないよりマシだろ!俺の鱗で少しでも削る!!」

「吹出!!···って、逆に危ないか」

「(T-T)」

「どうするノコ?!柳の個性で止めれないノコ?!」

「私の個性じゃ、砕かないと無理」

「Never give up!!少しでもbreakします!!」

「凡戸!個性出して!板状に出来るだけ広く厚く速乾で!!宍田!!」

「切奈の言う通りに!」

「砂藤氏!障子氏!お手伝いをお願いしますぞ!!」

「なるほど!俺達でそれを持ち上げて傘にするんだな!」

「そう言う事なら任せろって!!」

「オイラのモギモギくっ付ければ、少しは衝撃吸収出来るぜ!」

「私達も、やれそうな塊を破壊しましょう、尾白ちゃん」

「ああ!!少しでも逃げ場を作るんだ!!」

「ウチらは障子達の所に!」

「皆の守る範囲が狭くなるもんね!」

「爆豪!俺達も!!」

「放っとけ!!んなの、やらかした奴にやらせりゃいいんだよ!!お前らは少しでも息整えとけや、ザコが!!」

「でもよぉ!」

「あっ!八木達降りてきた!!」

 

「私と緑谷君組で、兎に角氷を小さく!後は焦凍に全部蒸発させる!」

「分かった。行こう、皆」

「あんま散らすなよ」

 

 

 

「義兄さん」

「ああ、もしもの時は出るぞ」

 

 眼前を落ちていく氷塊。体育祭でなければ、今すぐにでも出て行っただろう。だが、ここは生徒達が実力を示す場所。大人がおいそれと手を出す訳にはいかん。プロヒーローとして、何時でも動ける様にはするが、真に危なくなった時まで手は出さん。まぁ、奴(オールマイト)も居るのだから、滅多な事は起こらんだろうがな。

 

「しかし、自身の身を守るだけとはいえ、全員中々に良い動きをするじゃないか」

「今年は粒揃いですから。義兄さんも、安心して引退出来ますよ」

「ふん、まだまだ青二才共だ。それに、俺はまだまだ現役だ」

「貴方ったら。No.2が子供と張り合ってどうするの」

「うるさい」

 

 妻と義妹が呆れた笑みを交わしあっているが、俺はまだ奴の様に衰えてはおらん、断じてな!!

 

「お前がどの程度か、この父に見せてみろ、焦凍!!」

 

 

「緑谷君待避!!焦凍がやらかした時のフォローの準備!!」

「うん!轟君、お願い!!」

「全員離れてろ。嚇灼熱拳プロミネンスバーン!!」

 

 極限まで高められた炎が、天に向かって立ち上る。離れていても、すぐ側に火がある様に感じる程の熱波。大音量でジュオオオと水分が蒸発する音が、その威力を物語っている。

 

「うおおおおおあああああ!!!!!」

「腰が入ってないぞ、焦凍!!」

「頑張れ、轟君!!」

「テメェの力はそんなもんか、半分野郎!!」

「焦凍さん、貴方ならいけますわ!!」

「「「「轟·君·さん·ちゃん!!!」」」」

 

 皆も、見ているしか出来ないからこそ声援を送る。幼い頃、ヴィランと雄々しく戦うヒーロー達に声援を送って居た様に。

 

「火力を上げろ!もっと!もっと!!」

 

 蒸発音すら搔き消す程に、その炎は一際大きくなる。テレビ越しに見ていた、あのエンデヴァーの炎だ。

 

「すげぇ···」

 

 そう呟いたの一体誰だったのか。その光景に、ただただ圧倒される。その炎が消え去った後には、何もない青空が広がっていた。

 

 

「はぁ···はぁ···はぁ···」

「お疲れ~、焦凍。冷やしたげるからじっとしてて」

「···ハチマキ、取んなよ」

「騎馬崩してんのに、んな事しないっての。軽口叩ける位余裕なら、手伝ったげないよ?」

「スマン、頼む」

 

 熱の籠る左半身に雪を当てながら、心外なと頬を膨らませる雪花。流石に、あの火力を放った後だと、自分で冷やすのにも時間がかかる。まだ、二回戦は終わってねぇからな。

 

「···まずい!!倒れるぞ!!!」

 

 誰かの叫び声が響く。視線の先には、俺が最初に立てた氷壁が根本から折れて倒れそうになっている所だった。くっ、炎の余波で溶けちまったのか。タメが間に合わねぇ。

 

「よくやった···と言いたい所だが、まだまだツメが甘いな、焦凍よ」

「最後まで油断は禁物だよ、雪花」

「···親父」

「···お父さん」

「もう大丈夫、何故って?私達が来た!!」

「見ていろ、焦凍。これが、お前が越えなければならない父の力だ。嚇灼熱拳ジェットバーン!!」

 

 オールマイトが、倒れる氷壁を軽々と上空へ投げ、親父の右手から放たれた炎が包み込み消し去る。俺が、皆に砕いて貰わなければならなかった大きさの物を、プロミネンスを使わずに。

 

「···やっぱ、すげぇな」

「だからこそ、挑む価値があるんでしょ」

 

 少しは近づいたと思った親父の背中は、まだまだ遠くだった。

 

 

『ハプニングはあったけど、ここでタイムアップ!二回戦終了よ!』

 

 

 悔しさと誇らしさを胸に、俺は終了のブザーを聞くのだった。

 

 




タイトルは、OOのブレイク·ピラーより
因みに、塩崎さんが緑谷チームに入ったのは、緑谷君だけ妨害等の行為をせずに首位争いをしていたからです。

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