八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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第二十六話「轟VS八木リターンズ」

 

 

 

『ステージの修復が終わるまで少し待っててくれよな!しっかし、すげぇ試合だったな!イレイザー』

『勝負の明暗を分けたのは、最初から限界を越えた力を使っていた緑谷と、あくまで自身の全力で戦っていた爆豪の差だろうな』

 

 土台までボロボロになったステージが、二人の攻撃の威力を物語っている。あれ程の衝撃を受け止め、個性使用の反動もあっちゃ流石にな。

 負けた癖に、拳を振り上げ気絶している様は、オールマイトのスタディングの様だった。

 

『しっかし、準決勝一戦目でこれなら、次もどうなることやら。セメントスも大忙しだぜ』

『ある程度は予想してたが、ここまでとはな』

 

 セメントの在庫、足りるかどうか。

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「いやはや、あんな試合見せられたら、決勝に向けて温存なんて言ってられませんな~」

「俺相手に、端からそんな余裕はねぇよ。それに、」

「「お前に次はねぇよ」でしょ?そっくりそのまま返してあげる」

 

『待たせたな!準決勝第二試合轟対八木!START!!』

 

「燃えろ!」

「温い!」

 

 左から放たれる炎を、巨大右雪拳で受け止める。あんま固める時間無いけど、嚇灼じゃないならこれで十分。

 

「つーわけで、跳んでけロケットパンチ!!」

「相変わらず、手癖が悪ぃな!」

 

 左の雪拳を焦凍に向かって放つ。こっちはしっかり固めといたから、今の火力じゃ足りないよ~って煽ってやろうと思ったら、普通に氷壁で防いだ。つまらん。

 威勢のいい事言ったけど、このままやっても10分でケリ付けれるか分からんねぇ。時間制限で腕相撲勝負にでもなったら負け確定だし、あんま悠長にやってられんか。

 

「じゃあ、無理してみましょうかねっ!!」

「ちっ!火傷しても知らねぇし責任取らねぇぞ!」

「あんたに取って貰いたくはないっての!!」

 

 全身を雪で覆って、焦凍の炎を真正面から突っ切る。雪拳を固め直す暇は無いから、己の拳を焦凍のムカつくイケメン面に向けて振るう。ち、避けやがった。

 焦凍の個性は強力だけど、ぶっぱには溜めがいる。対処するのは容易いし、溜め無しで威力が落ちたのなら、多少食らった所で支障はない。清く正しくタイマンと洒落混もうじゃないの。ただし、こっちはどんどん手数が増えてくけどね。

 

「オラ、肋骨逝っとけ!!」

「お前、爆豪の影響受けすぎだろ!」

「元からこんなだったでしょうが!」

「それもそうだな!」

「肯定すんな、否定しろ!!」

「どっちなんだよ」

 

『おおっと!!!互いに遠距離からの個性合戦になるかと思いきや、超近距離ガチンコファイトクラブ!!拳だけじゃねえ!炎が舞い、雪が舞い、氷が舞う!まるで演舞を見てるようだぜ!!』

『距離開けてやり合っても、勝ちは薄いと思ったんだろ。あそこまで近付かれたら、轟も個性を発揮し辛いからな。その分、八木も個性の使用が雑にはなるが』

 

 有り難くない解説どうも、愛しの担任様。その通りだけどもハッキリ雑と言われると、温厚な雪花ちゃんでもカチンときますですよ。

 

「ちょっ!今顔狙ったでしょ!流石に炎は配慮しろや!!」

「火傷しても知らねぇって言っただろ」

「それとこれとは別じゃろがい!!」

「っ!!テメェこそ、そんなとこ狙うな!!」

「一番の弱点狙わずしてどうするっての。流石に潰しまでしないから、安心してよね」

 

 顔目掛けて走る炎をギリギリで避け、髪の毛がチリチリする音を聞きながら焦凍の股の間目掛けて脚を蹴り上げる。素直に当たれよ、ちゃんと百の為に使用不可にはしないからさ。

 

「こなくそ、雪拳阿修羅!挟み潰せ!!」

「隙ありだ!!しっかり防げよ」

 

 三対の雪拳で左右から挟み撃ちしようとするが、いつもの氷ジャンプで避けられた。技選択しくった。頭上から放たれる炎を雪拳で何とか受ける。炎が治まる頃には、焦凍は遠く離れた位置まで移動していた。

 そして、両手を前に突き出す独特の構え。

 

「行くぞ、膨冷熱波!!」

 

 対処する間もなく、膨張した空気の壁に吹き飛ばされ壁まで吹き飛ばされる。壁が人型に凹むって威力過多過ぎないか、幼馴染みよ。

 衝撃と痛みで霞む視線の先で、左手に炎を集めながら拳を構える焦凍がいる。容赦ないね~、全く。

 

「降参するなら早くしろよ、雪花」

「誰がするか、ばーか」

「そうか、嚇灼熱拳ジェットバーン!!」

 

 炎が迫る。数多のヴィランを蹴散らしてきたNo.2の炎。流石に、おじさんの域には到達してないけど、それでも十分な威力を誇っている。

 飛んで逃げる?間に合わない。雪で耐える?持たない。退いても留まってもダメなら、前に進むしか無いじゃない!

 

「女は度胸!ヒーローは根性!!」

 

 

 

「お、おい、大丈夫なのかよ」

「ここでもこんなに熱いんだぜ?諸に食らってタダすむかよ」

「何で誰も止めようとしないの?!」

「おい審判!!早くしねぇと死人が出るぞ!!」

 

 目の前で、焦凍君の炎に飲み込まれた雪花。その光景に、観客席から悲鳴混じりのざわめきが広がっている。中には、此方をチラチラと見てくる人も。その目は、助けなくていいのかと問いかけてきている。

 

「やっぱり、冬花の娘ね。考える事が一緒だわ」

「私とあの人の自慢の娘だもの」

「ふん、焦凍め、中途半端に手加減するからだ」

「帰ったら、可愛がってやらねぇとな」

「うわ~お、怖い怖い」

 

 私達の見つめる先には、炎の中を突き進む青白い光が微かに見える。自分ならばと、歯を食いしばって炎を放つ焦凍君を睨む義兄さんに苦笑しつつ、炎の中を懸命に進んでいるであろう愛娘を、祈る様な思いで見守る。

 

「頑張りなさい、雪花。貴女なら行けるわ」

 

  

 

「辛い時こそ怖い時こそ笑うんだよね、お父さん。私はまだ笑えてるよ!お母さん、お母さんもこうやって炎司おじさんのジェットバーンを突破したんだってね。お母さんに出来て私に出来ないなんてないよ!!だから、だから、さっさと抜けろよこんちくしょーーーー!!!」

 

 熱い、息苦しい。耐火性能の高いジャージが、もうただのボロ布になっちゃった。雪の壁も大分小さくなって、炎が直で体を撫でていく。まだ焦凍に届かないの?100mも無かった筈でしょ!もう1k位進んだでしょ!!

 もしかしたら、進んでるつもりで1mmも進んで無いのかもしれない。そう思うと、心が折れそうになる。幾ら自分を鼓舞する言葉を吐いた所で、そこにある現実は容易く絶望へと誘ってくる。

 

『諦めるのかい?雪花』

「諦めちゃ、ダメかな?お父さん」

『雪花が後悔しないならね』

「そっか・・・ねぇ、お父さん・・・ちょっと位、背中押してくれない?」

『ああ、お安い御用だ。もうちょっとだ、頑張ろう、雪花』

 

 あはは、幻覚に相手に何言ってんだろ私。でも、何か体に力が戻った。これなら、行けそうな気がする。いや、絶対に行ける!!体の奥底から湧き出てくる何かに乗って、私は力一杯駆けだす。

 

 

「せっ・・・か・・・・・・」

「たどりついたよ・・・しょうと」

 

 気付けば、焦凍を押し倒してる私がいた。

 

「こんかいは・・・わたしのかち・・・だね」

「くそ・・・・・・つぎは・・・まけねぇ」

 

 そう言って、ゆっくり頭が床に落ちていく焦凍を見下ろす。ミッドナイト先生が近付いてきて焦凍の様子を確認している。早くしてほしい、もうこっちも限界なのよさ。

 

『轟君、戦闘不能!勝者八木さん!!』

 

 会場を震わすほどの歓声聞く間もなく、私の体は崩れ落ちるのでした。

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

「失礼します。焦凍さん、御加減は···」

「···寝とるね」

「軽い脱水とキャパオーバーだけって、リカバリーガール言ってたっけ」

「ええ、結果は残念でしたが、お疲れさまでした、焦凍さキャアッ!!しょっ!しょうとさん!!!は、はなしてください!!お茶子さん、響香さん、助けてください!!」

 

 医務室に運び込まれた雪花と轟の様子を、女子だけで見に来たんだけど、雪花は治療中という事でウチとヤオモモとお茶子で、隣の部屋にいる轟を尋ねた訳なんだけど。

 ヤオモモが、轟の寝てるベッドに近付いて髪を撫でたら、いきなり轟がヤオモモをベッドの中に引きずり込んだ。思いっきり抱き締めて、ヤオモモの発育の暴力に顔を埋めたまま寝息をたてている。多分、足もしっかり絡んでる。

 

「響香ちゃん···雪花ちゃんの方、行こっか」

「ひっ!サーイエッサー!!」

「お茶子さん!!響香さん!!!」

「大丈夫や、ちゃんと皆に写真送って事情説明しとくから」

「全然大丈夫ではありませんわ!!!」

 

 ごめん、ヤオモモ。今のウチに、とてつもない威圧感を放つお茶子に逆らう勇気はない。ヤオモモの悲痛な叫びを残して、ウチらは部屋を後にした。

 しかし、よく轟も目を覚まさないな。

 

 




出茶に衝動使いすぎて燃え尽き症候群、ついでに轟君がマップ兵器過ぎて戦闘ムズい。最後のは、轟君の寝相悪いを参考にしました。ヤオモモだけ、壁ドンだけだったからね。
何とか、年内に体育祭おわらせたいなぁ。

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