「皆、期末テストご苦労。残念な事に、期末テストで赤点を取った者がいる。したがって、林間合宿は全員で行きます!!」
「「「「「どんでん返しだぁ!!」」」」」
期末テスト全日程を終えた翌日。演習を突破し出来なかった五人、三奈、上鳴君、切島君、砂藤君、瀬呂君が失意のどん底に沈む中、相澤先生の口から出た言葉に、クラス中が沸き立った。
「ただし、赤点取った奴には合宿中の訓練とは別に、補習を受けてもらう。学校で補習受けてた方がマシな位キツいから覚悟しておくように」
五人の顔が絶望に逆戻りするけど、まぁ皆一緒に行けるならそれでヨシ。楽しみだなぁ。
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「やって参りました木椰区ショッピングモール!!さぁて、お目当ての物はどこかなぁ?」
「ガキみてぇに、はしゃいでんじゃねぇよ」
「おいおいテンション上げてこうぜ~、かっくん」
「絡んでくんな、暑苦しい!!」
「あの二人、相変わらずやね」
「うん、そうだね」
私達A組は、透の発案で、クラス総出で合宿に持っていく物を買いに来ている。唯一不参加を表明していたかっくんも、かっくん係を襲名した私が責任を持って家まで迎えにいって、体育祭優勝賞品のi·アイランドエキスポ招待ペアチケットと引き換えに、引っ張り出して来ましたとも。
迷ってた焦凍は、ボソッと「百がモールに行ったら、ナンパでもされるんじゃないかなぁ。百ってお嬢様だから、コロッと口車に乗せられて~」って呟いてやったら、即決で参加を表明した。ふっ、チョロい奴よのぅ。
「全員で行動すんのも邪魔になるし、集合場所と時間決めて、それぞれ目的別に別れて買い物しようぜ」
「では、11時半にこの噴水前に集合する事。全員、雄英生である事を自覚し、公共のマナーを守って買い物するように、解散!」
「委員長、遠足じゃねぇんだから···」
切島君の提案で、それぞれ買いたい物が一緒の者同士に別れる事に。お茶子を除く女子陣で素早く目配せし、誰が誰を担当するかをアイコンタクトで決めていく。途中、障子君と目が会うと、一瞬峰田君に視線をやって頷いてくれた。小さくサムズアップで返事とする。
「百、ウチ旅行カバン見たいからアドバイスしてよ」
「ええ、任せてくださいまし。あ、焦凍さん、一緒に付き添って頂けますか?男の人がいてくだされば安心出来ますから、色々と」
「そうだ、上鳴。あんた、ヘッドホン壊れたって言ってたよね。オススメ紹介したげるから付き合いなよ」
「尾白君、砂藤君。私、最近筋トレしてるんだけど、オススメのプロテインとか筋トレグッズとか教えて欲しいんだけどいいかな?」
「あ、アタシもお願い。ほら、切島も行くよ!」
「弟の誕生日が近いの。弟は、最近こういうのに興味を示しているのだけど、私は良く分からないからアドバイス貰えるかしら?常闇ちゃん」
「飯田、俺は余り旅行等に行った事がない。どういう物を選べばいいか分からないから、教えてくれるとありがたいんだが」
「任せてくれたまえ、障子君!」
「すまない。峰田、お前もこっちだ。口田も来るか?」
「(コクコク)」
「ちょっ、オイラはーーー!!」
「ほら行くよ、かっくん。かっくんがパーティーに着ていける服、調達しないと」
「ちっ、変に口出しすんじゃねぇぞ」
「···皆、行っちゃったね、デク君」
「そ、そうだね···じゃ、じゃあ、僕達も行こうか」
お茶子と緑谷君が二人で動き出したのをチラ見して、作戦第一段階成功を"出茶見守り弄くり隊"のグループLINEに報告する。さて、第二段階の前に自分の用事を済ませなきゃ。やっぱ、かっくんのに合わせたドレスがいいもんね。
「轟焦凍さんですよね!体育祭、テレビで見ました!あの、よければどこかでお茶でも···」「何抜け駆けしようとしてんのよ!轟さん、こんな女よりも私と」「アンタこそ、何言ってんのよ!」「ふざけんじゃないわよ!」
「······」
ちょっとトイレに行っている間に、轟がファンの女の子達に囲まれて凄い事になっていた。女の子にキャーキャー言われるのは羨ましいけども、アレはちょっと勘弁だよなぁ。ガン無視してる轟も轟だけど。道中轟見つけた女の子達がゾロゾロ着いてきてんの気付いて、店の中入ったら迷惑かけるかもと外で待機させたのは裏目だったのかどうか。
取り敢えずは大丈夫そうだから、旅行カバン買ってる耳朗達と合流してから、轟回収すりゃいいやと店の中に入って二人を探す。
「だから、しつこいっての!」
「そんな事言わないでさぁ、ちょ~っとお茶しよって言ってるだけじゃん」
「友達がやっててさ、結構お洒落なカフェなんだよ」
「申し訳ありませんが、待っている方がおりますので、またの機会に」
「いいじゃんいいじゃん、俺らといる方が絶対楽しいって」
こっちもこっちで厄介な事になってるよ。いかにも~なチャラチャラした大学生位の男三人組囲まれてる二人。ヴィランなら二人も対処しようがあるけど、一般人が相手じゃねぇ。
下手に怪我させて問題になってもアレだし、ここは上鳴電気、男を見せますか!···一応、保険はかけとこ。
「おーい、何やってんのお二人さん。オススメのヘッドホン選んでくれる約束っしょ響香。ヤオモモも、轟が貧乏揺すりして待ってるぜ」
「上鳴さん?!」「っ!···ごめんごめん、電気。そういう訳だから他当たってくれる?」
男達を押し退けて、内心ビックビクしながら自然な風を装って耳朗の肩に手を回す。一瞬、ハッ?何こいつみたいな目で見てくるけど、こいつらから逃げるのが先とアドリブで合わせてくれて助かった。
「いきなり現れてそれはないんじゃない?君」
「君にその子らは勿体ないよ」
「大人しく、女の子置いて消えろや」
そのままグッバイしようとしたけど、流石に立ち塞がってきた。威圧感出してるつもりだろうけど、その程度でビビる様な鍛え方してねぇって。
「お宅ら、あんだけ拒否られといて、往生際が悪すぎないっすか?響香が魅力的なのは同意するけど、だからこそ渡せねぇよ」
「っ!」「まぁ!」
ポーズでグイッと耳朗を抱き寄せる。お願い抵抗しないでね、耳朗さん。それと、ヤオモモさん、プリプリしてる場合じゃないって。
「悪い、待たせたな」
「たく、遅いってマジで」
漸く轟が来やがった。メールに気付いても、流石にあの女性達を押し退けるのは手間取った?
「行こう、八百万」
「は、はひ!しょうとさん」
コイツ、ナチュラルにヤオモモの腰に手を回しやがった。こちとら、手汗ダラダラの心臓バックバクだってのに。
「おい、俺ら無視してんじゃねぇよ」
「···八百万に触んな、失せろ」
「「「ヒッ!すんませんでしたーー!!!」」」
伊達に、ヴィランっぽいヒーローランキング不動の一位を親父に持つだけはあるな。ヤオモモに向かって伸ばした手を掴んで、睨み一発で退散させやがったよ。俺には一生無理な芸当だわ。
「はあ~、サンキューな轟」
「やっぱり、一緒に入れば良かったな」
「つっても、あの女性陣が店の中で騒ぐのもアレだったと思うぞ?」
「···それもそうだな」
「あ~緊張で喉からっからだ。どっかに自販機あったっけ?」
「確か、あっちにあったぞ」
「あの···焦凍さん······そろそろ···」
「いい加減放せ!!バ上鳴!!!」
「ちょっ!耳朗さんぎゃあああ!!」
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「···どしたの?百も響香も、顔真っ赤だよ?熱?」
「放っといて」
「そっとしといて下さいまし」
「···マジで何があったのさ」
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