八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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第三十五話「出爆と転孤と雪花の事情」

 

 

 

「たく···事前に準備しとけって言ったろうが、アイツらめ」

「何着いてきてんだ、出久!!」

「あ、いや、お母さんに頼まれた物がそっちにあるだけで···」

 

「「「あ?」」」

 

 

   ▼▼▼

 

 

「うわ~、百エロすぎ!!どこのリゾートに行くつもり?!」

「だ、ダメでしょうか?」

「自然の川を泳ぐのにはオススメしないわね」

「そういう梅雨ちゃんは、ヒーローコスの時と変わらなくない?実用的過ぎる」

「そんな梅雨ちゃんにこれなんてどう!?」

「流石に、それは恥ずかしいわ」

「······くっ!」

「顔が怖いよ!響香ちゃん!!」

 

「うおおおお、女子の水着姿が俺を呼んでんだよぉぉおおおお!!!」

「お前、いい加減にしとけよ」

 

 

   ▼▼▼

 

 

「ほれ、俺の奢りだ」

「あ、ありがとうございます」

「···あざっす」

 

 トムラさんから缶コーヒーを受けとる僕とかっちゃん。

 

「あれから少しは成長したか?緑谷出久」

「え、あ、はい、トムラさん」

「志村転孤だ。今はプライベートだからな、こっちで呼べ」

「んで、アンタはこんな所で何してんだ」

「か、かっちゃん!」

「爆豪、お前はまだ精進が必要だな。プライベートでこんな所に居るんだ、買い物以外に何があるんだ?」

「ああん!!んなもん分かっとるわ!!」

「くっくっくっ」

「あの、志村さん。志村さんは、八木さんとどういう関係なんですか?訓練の時、とても親しそうでしたから気になってて」

 

 僕の質問に、笑っていた志村さんがきょとんとした表情を浮かべた。あれ?知らないの?みたいな。

 

「聞いてないのか?まぁ、知らなくてもあんま関係無い話か。簡単に言うとだな、七代目OFA継承者志村奈々は、オールマイトの師匠で俺の祖母だ、それ繋がりで付き合いがあるだけだ」

「えっ?!」「なっ!」

「つっても、親父は祖母がOFA継承した時に孤児院に捨てられてるから、面識なんてねぇけどな。だから、別にOFA渡せって訳じゃねぇからな。そこら辺の詳しい話が知りたけりゃ、オールマイトに直接聞けよ。正直もう終わった話で、お前に直接関係がある訳じゃねぇし話すの面倒くせぇし時間も足りねぇ」

 

 そう言って缶コーヒーを呷る志村さん。そうだよね、代々受け継がれてきたって言ってたから、オールマイトも誰かからOFAを継承したって事だもんね。うん、今度聞いてみよう。

 

「で、爆豪の勝己君、雪花の胸は柔らかかったか?」

「ブッ!!!ゲホッゲホッ!突然んな所で何言ってやがるテメェ!!ヒーローだろうが!!」

「今はプライベートだ。アイツが産まれた時から見てたけど、良い女に育ったろ?顔良し胸良し腰良し尻良し性格···は人それぞれか、お兄ちゃん一号としては色々と心配なお年頃になった訳で、体育祭でそれなりにやらかしてくれたお前に思わねぇ所が無い訳ではない」

「はぁ!知るかんなもん!!」

「ふっ、まぁ冗談はさておき、こっからが本題だ。アイツが自身の親を発表してから、世間はどうなったと思う?表も裏も、水面下でアイツの争奪戦だ。幾ら体育祭で優勝したって言っても、まだまだ青臭いガキだからな。表の連中からは、オールマイトとアイスメイカー処かエンデヴァーまで着いてくる金の胎扱い。裏の連中にとっても、対オールマイト用の切り札に成り得るし、犯して嬲り物にでもすればオールマイトへの積年の怨みも晴らせる逸材だ」

 

 さっきまでのお茶らけた感じとは一変した志村さんの雰囲気に、僕もかっちゃんも体を硬直させる。そして、語られた言葉にズンッと空気が重たくなる。

 

「流石に、直接どうこうしよう何て命知らずは今の所いないが、目先の欲に駆られた奴や後先考えない馬鹿が出てこないとも限らない。俺達大人だけでどうにか出来たならそれに越した事は無いが、手が届かない事も必ずある」

「んで、アンタらの代わりに俺らが守れってか?」

「逆だ馬鹿、お前らはアイツの弱点なんだよ。お前らが人質にでもなれば、アイツは悩む事なく自分の身を差し出すさ。だから、アイツの足引っ張らねぇ様にしっかり鍛えろって話だ。じゃあな、またどっかで会ったら、もっと成長した姿を見せてくれよな、後輩」

「あ、おい、待てやゴラァあ!!」

 

 志村さんは、手をヒラヒラさせて人混みの中へ消えていった。もしかして、志村さんは八木さんの護衛の為に来てたんだろうか?

 

「ちっ、テメェに言われんでも俺がNo.1になるんだ。八木位、俺が守ってやるわ」

「かっちゃん···うん、僕も八木さんを守れる様に鍛えなきゃ」

「テメェは、自分と自分の女だけ守ってりゃいいんだよ!ザコデク!!」

「なっあっうっえと、お、お茶子さんは僕のって訳じゃまだ···あ、でもお茶子さんは僕が守ってあげたいし、お茶子さんが安心して見送ってくれる位強くならなきゃだけど、いやでも一緒に戦おうって約束したしああでもお母さんからしっかり守れって言われてるしブツブツブツブツ」

「往来ですんなや、鬱陶しい!!」

 

 こうして、予想外の出会いがあった皆とのお出掛けは、多少のドタバタもありつつ無事終わりを迎えた。

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

「帰ったか、焦凍」

「珍しいな、親父がこの時間に家に居るなんて。母さんまで、何かあったのか?」

「少々な。焦凍、俺と冷に同行してi·アイランドに行って貰う、準備をしておけ」

「はっ?それは燈矢兄と萌義姉が行く予定だった筈だ。というか、何で母さんも?」

「荼毘とバーニンとは別口だ。お前に会いたいと言ってきた人が居てな、内容としても俺と冷が同席した方がいい案件だっただけだ」

「···その内容ってのは」

「それはね、焦凍」

 

「お帰りなさい、百。皆とのお買い物は楽しかった?」

「ただいま帰りました、お母様。ええ、とても有意義でしたわ。あら、お父様もお帰りになられているんですか?」

「ええ、今度のi·アイランド訪問、私達も行く事にしましたから。お父様は、その準備をしてるの、色々と」

「え?確かその日は重要な会議があるからと言っておられませんでしたか?」

「ええ、でもこっちの方が重要だもの。貴女にとってもね」

「私にとっても?それは一体···」

「それはね、百」

 

 

「「お見合いよ」」

 

 

  ▼▼▼

 

 

「え?兄さんは行かれないのですか?!」

「ちょっと、急なチームアップの依頼が来てね。まぁ、代わりは頼んであるから」

「そうなのですか···、それで代わりとは一体誰が?サイドキックの何方かですか?」

「いや、これ彼女に渡しといて」

「これは···チケット?彼女とは···」

「職場体験に来てくれた、発目明ちゃんのチケット。俺の代わりにどうって聞いてみたら、凄い勢いで行くって返事が帰ってきてさ。彼女にもいい経験になるだろうしね」

「分かりました、学校で渡しておきます」

「それと、彼女が暴走し過ぎないように、見張っておいてね」

「······鋭意努力します」

 

 

 




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