「かっくん、何か申し開きはある?」
「·········」
「かっくん、ホテル選んだのかっくんだよね」
「···テメェが好きな所選べって言ったんだろうが。自分も同じ所でいいって」
「······同じホテルでいいとは言ったけど、同じ部屋とは言ってない」
「···俺は、ちゃんと二部屋予約した」
「かっくんのエッチ、ムッツリ、乳揉み魔!!!」
「ぐほぅっ!!!」
▼▼▼
「マイトおじさまーー!!」
「メリッサ!!大きくなったね、もう立派なレディだ」
「もう17歳ですもの。あれ?雪花は一緒じゃないの?」
「ああ、雪花は別口で来てるんだ。遅くとも、パーティーで会えると思うよ」
僕達は今、学術人口移動都市"I·アイランド"に来ている。オールマイト宛に、明日から行われる個性技術博覧会I·エキスポの招待状が家族分届いたそうなのだけど、八木さんは体育祭の優勝賞品でチケットがあり、八木先生は林間合宿の準備で忙しいとパス。という訳で、チケットが余ったからと誘われてここにいます。
親友の方と待ち合わせてるって言ってたけど、まさか僕らと同年代っぽいこの女性が、オールマイトの言ってた親友?まさか、そういう個性?
「あの、その方は?」
「ああ、この子は私の親友の娘で」
「初めまして、メリッサ·シールドです」
「あ、そういう事か······あ、いえ、は、初めまして、雄英高校ヒーロー科一年緑谷出久と言います」
「雄英高校···という事はマイトおじさまの!」
「はい、生徒です!」
「未来のヒーロー候補さ」
「へー!マイトおじさまの教え子なんて将来有望なのね!個性は?」
「えっ、えっと、パワー系の個性です!!」
「ふ~ん···カッコいいけどオーソドックスね、補助的なアイテムも見当たらないし······コスチューム、改良した方がいいんじゃ···」
「デク君?」
「ひっ!!」
メリッサさんに丹念にヒーローコスを観察されていると、期末テストで対峙したオールマイトに劣らない威圧感を放つ、お手洗い帰りのお茶子さんがそこに居た。
「ウチがちょっと外しとる間に何しとるん?手なんか握って楽しそうやね」
「お、お茶子さん、これはその・・・」
「楽しそうやね」
(二回言った!!)
「あら、ごめんなさい。私、集中しちゃうと周りが見えなくなっちゃうの。私はメリッサ・シールド、よろしくね。貴女も、マイトおじさまの教え子さん?」
「雄英高校1年の麗日お茶子です、よろしくお願いします」
笑ってる様で笑ってないお茶子さんと、どこか八木さんや芦戸さんとかがやる、怪しい光の浮かぶ目をしたメリッサさんが握手している。何故か、足が震える。
「うおっほん。あ~メリッサ?そろそろデイヴの所に案内して貰えるかな?」
「あ、はい、マイトおじさま。早くパパを喜ばせてあげなきゃよね、こっちですマイトおじさま!」
僕達は、走り出していくメリッサさんを追って行くのでした。ぴったり後ろにいるお茶子さんのプレッシャーが怖いです、オールマイト。
「私が!再会の感動に打ち震えながら来た!!」
「ト···いや、オールマイト!?何でここに」
「メリッサが招待してくれたんだよ」
「パパを驚かせようと思って」
「あはは···ああ、驚いたよ。久しぶりだな、オールマイト」
「ああ、デイヴ。こうして会うのは何年ぶりだ?」
「止めてくれ、お互いしたくないだろ、歳の話は」
「全くだ、HAHAHA!!」
死んだ妻に似て、サプライズの好きな娘が近年仕掛けて来た中では一番嬉しいサプライズだ。最後に会ったのは、妻の葬式の時だったか。
「ああ、紹介するよ。私の教え子で雄英高校ヒーロー科の」
「緑谷出久です!!デヴィット·シールド博士ですよね!!個性研究の第一人者にして、数々の賞を受賞し、多くのヒーローのサポートアイテムの礎を築いた天才博士!!そして、オールマイトのコスチューム、ヤングエイジ·ブロンズエイジ·シルバーエイジ·ゴールデンエイジ、その全てを手掛けたパートナー!!」
「デク君、ハウス」
「あ、はい!」
「私は、麗日お茶子と言います。どうぞ、よろしくお願いします」
オールマイトのファンは今まで何人も出会ってきたが、緑谷君はその中でもピカ一の様だね。麗日君は彼のパートナーなのかな?まるで、トシと冬花君を見ているようだ。
「メリッサ、オールマイトと積もる話もあるから、二人にエキスポを案内してあげなさい」
「あ、は~い、パパ。じゃあ、二人共行こっか」
「はい、お願いします」
「お願いします」
「サム、君も休んでくれ。二人っきりで話したい事も多々あるからね」
「あ、はい分かりました。では、博士、お疲れさまでした」
メリッサ達が出ていき、サムも部屋を後にして扉が閉まる。施錠中のランプが電灯するのを確認して、オールマイトの首に腕を回してヘッドロックをかける。
「心配かけさせやがって、トシ!お前が、ヒーロー活動自粛して教師をやるって聞いて、何かあったんじゃないかと気が気じゃなかったんだぞこっちは!」
「イタタタタタ!!すまない、悪かった、謝る、本当にゴメンてデイヴ」
「しかも、連絡寄越したと思ったら、娘との生活で気を付けるべき事だと、この野郎!!」
「し、仕方ないじゃないか!あんな事聞けるの、君かエンデヴァー位だったんだから」
タップタップと腕を叩くトシを、最後にキュッと首を閉めて解放する。大して力を込めてないのに、苦しかった~なんて大袈裟に言うもんだから、脇腹を軽く小突いてやる。
そして、二人目を合わせて、
「HA~HAHAHAHA!!」
「アッハッハッハッハッ!!」
「改めて、会いたかったぞ、デイヴ!!」
「ああ、私もだ、トシ。元気そうで安心した」
昔のように、拳を軽くぶつけ合うのだった。
▼▼▼
「何をどうミスったら、一人一部屋が二人一部屋になるのよ。しかも、大ベッドひとつのカップル&夫婦向けにさぁ」
「え?マジでここにいる間は爆豪と一緒の部屋泊まんの?ウチらの部屋来る?」
かっくんへの折檻を一区切りさせて、一緒に回ろうと約束していた響香と合流した私。本当は百も一緒にって話だったんだけど、家の用事で無理となったらしい、お見合いがどうたらと?焦凍もお見合いがうんたらと溢してたから、何やら良い意味でキナ臭いよね~。
「部屋の変更は無理だし、部屋自体は超良いところだから勿体ないもん。胸揉まれて裸まで見られて恥ずかしがるのもねぇ~。あの内申とか結構気にするかっくんが、襲ってくるなんて考えられんし」
「いや、それとこれとは話が別だと思うけど。ほら、スキャンダルとかになったら···」
「機密漏洩の関係上、特定のエリア以外で撮影とか録音出来る機材は使用禁止だし、使ったら怖~いお兄さんに即行連れてかれるからその心配は無いよ」
「ねぇ、雪花?アンタ、爆豪と一緒の部屋なの、もしかして内心喜んでない?」
「はっ?!??!」
いきなり何を言い出すかね、この絶壁は。上鳴君に抱き締められて色ボケちゃいましたか、この無乳三白眼。
「うおっ!危なっ!!何すんのよ!!」
「ごめん、何か不快な思念を感じ取ったからつい」
「···上鳴君、大きいのと小さいの、どっちが好みなぁ?」ボソッ
「何の話!!べ、べ、べ、別に、あ、あ、あ、アイツの好みなんて、か、か、か、関係無くない!!」
え?何その反応。おいおいおい、お茶子百に続いて響香もですかそうですか。もう、三奈と透を緊急参集して臨時の作戦会議を開かなきゃいけないじゃないの全く。あ~腕が鳴るわ~。
どっかから、「雪花もだよ!!」ってピンク娘と透明娘の幻聴が聞こえてきた気がしたけど気のせい気のせい。
「響香、ちょ~っとお姉さんとお茶しよっか?」
「うっ、い、いやだ、ウチ、行きたくない!うえっ!か、体が···こ、個性使うなんて卑怯だ!!」
「大丈夫大丈夫、怖い事なんてないから~、ちょ~っとお話聞かせて貰うだけだから~」
「いーやーだーーー!!!ヤオモモー!お茶子ー!助けてーーー!!!」
「何をやっているのかね、二人とも。周りの人に迷惑だから今すぐ止めたまえ」
「あ、八木さんじゃないですか、奇遇ですね」
「飯田君と···発目ちゃん?」
「え?二人ってそういう関係?」
ヘルメットだけ外したコス姿の飯田君と、その飯田君に左手をがっちり握られている、フォーマルな格好をした発目ちゃんがそこに立っていた。
私と響香の視線が、繋がれた手に注がれているのに気付いた飯田君。あの真面目一徹な委員長が、どんな反応を示してくれるのか、いざ!
「ああ、これか。はぁ···こうしていないと、発目君が好き勝手どこかへ行ってしまうからな。入ってはいけない所に、平然と突撃しないで貰いたい」
「いや~!こんなに素晴らしい発明品ばかりでテンション上がっちゃいまして」
それにしては、指を一本一本しっかりと絡ませて、殆ど寄り添うように、何なら発目ちゃんのご立派な物が飯田君の腕に当たってやしないかい?
「もしかして、雪花?」
「···メリ姉?」
名前を呼ばれ、振り返った先には、記憶の中にいる姿よりも大分大人の女性になった、お姉ちゃんの姿がそこにはあった。
「その呼ばれ方も懐かしいわ。また会えて嬉しい、雪花」
「私も、会いたかったよ、メリ姉」
「きゃっ!大きくなっても、甘えん坊なのは相変わらずなのね」
メリ姉の胸に顔を埋めながら、ぎゅぅっと思いっきり抱き締める。髪を撫でてくれる手は、昔と変わってない優しい手つきでした。
▼▼▼
「···なっ!個性数値がこんなにも下がっているなんて、いったい何が···」
検査カプセルに入っているトシの診断結果を見て、数値の急激な減少に驚愕してしまった。ここまで減少するなんて、加齢による衰えだけでは考えられない。まさか、
「お前、もしかして渡したのか、OFAを」
「···ああ、今私の中に残っているのはOFAの残滓だけだ」
「いったい誰に···あの緑谷という少年か」
「分かるか、彼が九代目OFA継承者だ。私も、そろそろ平和の象徴を引退する時が来たという事さ」
「···ふっ、お互い世代交代という訳か。お前と駆け回った日々が懐かしいよ」
「私もだ、デイブ」
肩に置かれた手に自分の手を重ねる。私と同じ様に皺の寄った手に、かつて共にヒーロー活動を行った日々を思い出して寂しく思う。
「おっと、そろそろパーティーの打ち合わせの時間だ。では、またパーティーで」
「···トシ!!」
「ん?何だい?」
「······いや、何でもない。パーティーでまた」
「ああ!!」
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