「ううう、恥ずかしい」
「いい加減腹を括りなさいな、響香。いい、自分を信じない、太鼓判を押す私達を信じなさい!」
「初めて着ますが、落ち着きませんね!」
「発目さん!そんな雑に動くと、皺になるし色々零れるから!」
「私みたいなんが、本当に行っていいんやろか」
「お茶子!アンタの仕事は、会場でこの人は私のですって緑谷君を宣伝する事、分かった!!返事!!」
「い、イエス、マム!!」
「皆さん、準備は出来ましたか?表に車を待たせてありますので」
「よし、太鼓を鳴らせ!皆の者、出陣じゃーーー!!」
着付けや化粧をして貰った、八百万家が誇るスタイリスト陣にお礼を言って、男子の待つレセプションパーティーの会場へと向かうのであった。
▼▼▼
「え?て事は、轟君と八百万さんの関係は、恋人じゃなくて親公認の婚約者って事?!」
「まぁ、そうなるな。ただ、今はまだ公表する訳にはいかないから、雄英を卒業するまでは家の意向とは無関係で、俺達が勝手に付き合ってるって扱いになる」
「どうでもいいがよ、それで腑抜けでもしやがったら許さねぇからな、半分野郎」
「それと、我々はまだ学生の身だ、委員長として風紀を乱すような行いは断固注意させてもらう」
「いや~、でもあのヤオモモの体を前にして、何もしねぇってのも健全な男子として無理じゃね?」
「それを自制するのも、ヒーローを目指す者としての務めだ」
正装に身を包んだ僕らは、パーティー会場のホテルロビーでお茶子さん達女性陣を待ちながら、轟君が八百万さんと交際を始めた報告を聞いていた。
正直、昨日の轟君の独白を聞いた身からすると、おめでとうというより良かった~っていう安堵の気持ちが強い。八百万さん、平和の為に轟君と末長く一緒に居てね。
「お、来たんじゃね?」
上鳴君の視線の先には、色鮮やかなドレスに身を包んで、髪型を整えられ化粧を施された艶やかな姿のお茶子さん達が、車から降りてくる所だった。
「お待たせ~、男子諸君。さぁ、心の赴くままに褒め称えたまえ!」
八木さんが率いる様な形で、僕らの前にやってきたお茶子さん達の姿に、僕らは見とれてすぐに言葉が出てこなかった。いつも可愛いけど、プロの手で整えられたお茶子さんは、もう天使の様な愛らしさがあった。
「綺麗だ、百」
「焦凍さんも、お似合いですわ」
「うむ、見違えたぞ、発目君」
「飯田さん、この格好落ち着きません!」
「耳朗っぽいけど、何か雰囲気違うな。可愛いぜ!」
「う、うるさい!あんまジロジロ見んな!!」
「···まぁ、悪くねぇな」
「もう、相変わらず素直じゃないなぁ。この魅惑の谷間に見とれてたって言いなよ」
「お、お茶子さん!と、とっても素敵です、うん」
「ありがと、デク君。デク君もビシッと決まっててカッコいいよ」
皆、思い思いの言葉で相手の方を褒めている。かっちゃんは、あれが褒め言葉だからね。八木さんも分かってるから、普通に嬉しそう。
「もうすぐ開始の時間だ。さぁ、中に入ろう」
「ああ、百」
「はい、焦凍さん」
ナチュラルに轟君の左肘に右手を添える八百万さん。やっぱり、こういう場に慣れているだけあって凄い様になってる。
「かっくんも、あれ位出来るよね」
「あ゛あ゛!出来るに決まってんだろうが!」
「発目君、八百万君のように。後、中に入っても、決して離さないように」
「研究者の皆さんとお話するのが楽しみです!!」
「ネットでしっかり調べたからよ、バッチリエスコートしちゃうぜ、俺」
「逆に不安なんだけど、それ」
他の皆も、轟君達の様に腕を組んで会場の中に入っていく。
「じゃ、じゃあ、僕達も行こっか」
「う、うん、デク君」
お茶子さんが、恐る恐る僕の肘に手を絡めてくる。お茶子さんの歩調に合わせながら、しっかりと背筋を伸ばして扉を潜る。
そう言えば、お母さんに写真お願いされてたっけ、後で皆と一緒に撮ろう。
▼▼▼
「君、爆豪勝己君だよね」
粗方スピーチだ何だが終わった頃を見計らって、八木を他の奴らに預けて用を足しに行って戻る途中、同年代位の野郎が声をかけてきやがった。見た目からして、良いとこのお坊ちゃんだ。キラキラした星のエフェクトが見える気がしてうぜぇ。
「あっ?そうだが、誰だテメェは」
「ああ、そんな威嚇しないでくれたまえ。僕は青山優雅、アイスメイカーの関係者だよ。と言っても、あの人やルミナイネンのヒーローコスチュームを手掛けた会社が、ウチの系列ってだけだけどね」
「そんな奴が、俺に何の用だ」
「僕が、八木雪花の婿候補って言えば、君はどうする?」
気障ったらしい仕草をしながら、奴は俺の目をしっかり見て言い放った。言葉の意味を理解した瞬間、体に力が入った。
「おおっと、こんな所で暴力はよしてくれよ。これでも、僕は無個性のか弱い一般市民なのだから、ね」
「ぐっ、だから何だってんだ。アイツに近付くなとでも言いてぇんかよ」
「そうだと言ったら、どうする?」
「どうする?どうする?って、言いたい事があるならハッキリ言いやがれや、クソ気障野郎」
「ハァ」
大袈裟に肩竦めやがって、一々癇に触りやがる。
「察しが悪いね、君。言っただろ?ヒーローコスチュームを手掛けてるって。あのアイスメイカーが愛用して、その娘も使ってくれている。そのブランドで、ウチは大いに発展した。なのに、そのブランドを君みたいな野蛮な人間に汚して欲しくないんだ」
「はっ!結局、自分の家目的かよ」
「当然だよね。ヒーローが僕らをヴィランから守ってくれている様に、僕らは会社やそこで働く従業員を守っていかなくちゃいけないんだから。それで、君はどうするんだい?八木雪花の婿に立候補する人は沢山いる。いろんな思惑でね。君は、身を引くのかい?それとも、己こそが彼女に相応しいと主張するのかい?」
「···」
「おっと、そろそろお腹が我慢の限界でね。次は、ちゃんと答えてくれる事を願ってるよ、爆豪勝己君」
そう言って、クソ気障野郎は俺の前から去っていった。どいつもこいつも好き勝手言いやがって。会場に戻って、八木を探す。壁際に寄って、他の奴らと楽しげに話をしてる姿を見つけた。
「あ、おかえり、かっちゃん。···かっちゃん?」
「何か雰囲気こえぇぞ、爆豪」
俺が受け入れるかどうか?俺がアイツに相応しいかどうか?
「かっくんおかえ(バンッ)うひっ?!」
「「ひっ!!」
ふざけんじゃねぇ、ふざけんじゃねぇ!!
「いいか、俺がテメェに相応しいんじゃねぇ。テメェが俺に相応しいんだ。よく覚えとけ、雪花」
「は、はい」
オールマイトを超えて、No.1になって、お前の全部を貰ってやる。
「娘に何をしているのかな?爆豪少年」
「どうやら、また可愛がられたい様だな」
両肩がミシリと鳴る音に、部屋に戻ってからすれば良かったと、爆豪勝己が思ったかどうかは、彼にしか分からない。
予想以上に長くかかってしまったI·アイランド編。これにて、完。
飯発をもちっと進めたかった。合宿は、どのCPに注目しようかな。B組のCPも進めたいし。書きたい事多すぎるけど、技量が追い付いてないのがもどかしい。
評価と感想を、よろしくお願いします。