「トシ、またな。今度は、冬花君も一緒に」
「ああ、そうさせて貰うよ、デイヴ。元気でな」
「お互いに、な。例の件、よろしく頼む」
「みんな~、元気でね~~。また会いましょ~~!!」
「メリ姉も元気で~~~!!!またね~~~!!!」
色々盛り沢山だったI·アイランドも、今日でお別れである。
クラス全員でエキスポ回ったり、お父さん主催でBBQしたり、焦凍と百の事を報告して盛り上がったり(峰田君血涙)、かっくんの発言でからかわれそうなのを、響香や飯田君を生け贄にして躱したりと楽しく過ごしました。
「帰ったらすぐ林間合宿だね、かっくん」
「はっ!鍛えに鍛えまくって、テメェを完膚なきまでに追い越してやるよ、雪花」
「やれるもんならやってみなって」
本人の中で何があったか分かんないけど、唐突に名前呼びしだしたかっくん。ヌイたげたからか?いやでも、パーティーまでは、普通に八木呼びだったしなぁ。
燈矢さんと萌さんにバレてからは、流石に同室はマズイという事で、私は萌さんと、かっくんは燈矢さんとで別れさせられたので、余り詳しい話を聞けてない。まぁ、問い質しても、「別にいいだろうが」って言ってはぐらかすんですけどね。
なので、もう気にしない事にした。別に嫌な訳じゃないしね。
「さらばI·アイランド!また会う日まで!!」
飛行機の窓から、遠ざかっていく島に手を振るのだった。
▼▼▼
「ごめん、デク君。やってしもうた」
「あはは···まぁ、いずれバレてただろうし、気にしないでよ」
「さぁ皆!!お茶子の荷物を、二人の愛の巣へ運ぶぞーー!!!」
「「「「おーー!!!」」」」
「ちゃうかんね!!!」
事の発端は、メールアプリの女子グループチャットに、一通のメッセージが投稿された事。その内容が、
『デク君家への引っ越し作業、明日の九時からやったよね?』
文字通り、大激震であった。女子皆で問い詰めに問い詰め、事の真相を明らかにし、茶化しに、もといお手伝いに参った次第にござる。業者代ケチる為に、お茶子の個性で軽くして、二人で手分けして運ぶって計画聞いたら、行かずにはおれんて。まぁ、私達も車持ってる訳じゃないから、リアカーを交代で引っ張ってく予定だけども。
後、口固そうで力ありそうな尾白君·障子君·砂藤君にも協力を依頼した。ついでに、三奈が切島君引っ張ってきた。かっくんとか焦凍にも声かけたけど、炎司叔父さんが可愛がる予定との事で断られた。それなら、仕方なし。
「緑のテープが緑谷家、白がリサイクル、赤が廃品ね。くれぐれも、タンスの中開けて下着とか見ない様に、緑谷君の特権だから」
「峰田じゃねぇんだから見ねぇよ」
「僕も見ないよ!!」
家具とか家電の重い物は男子に、小物とか男子に見られたくない物を私達が、時折お茶子と緑谷君をからかいながら、どんどん運び出していく。
「雪花?何してんの、アンタ」
「およ?一佳に唯?二人こそどしたの?」
声を掛けられて振り向くと、B組の拳藤一佳と小大唯が、怪訝な目をしながら立っていた。一応言っとくと、時々B組の女子とは、一緒にお昼ご飯食べたりとか勉強や訓練の内容教えあったりと交流してんだからね。
「ちょっと図書館にね、合宿までに宿題終わらせときたいからさ」
「ん」
唯が、課題集の入った鞄を見せてくる。て事は、急ぎの用事ではないと。もう、とてもお誂え向きな個性持ちが来たじゃないの、これも日頃の行いが良いから?
「あのさ、カクカクシカジカものものまねまねでさ、ちょっと力貸してくんない?今なら、A組が誇るパティシエ砂藤君のスイーツが食べられます!半分こしてもらうけど」
「スイーツって言っても、余ってたトマトでゼリー作ってみただけなんだけどな」
「んん!!」
砂藤君が、苦笑しながら保冷バックの中身を見せてくれた。その中身を知った唯が、凄い勢いで近寄って、無表情だけどめっちゃキラキラした目で覗き込んでいる。
「···何でそんなクリティカルなもん用意してんのよ」
「ん」
「そんな目で見なくても、手伝うわよ。というか、頑張るのは唯なんだからね」
「ん!」
「やった!じゃあ、唯は家電とか家具とか小さくしちゃって。んで、皆はそれを引き出しとか箱とかに入れてって。あ、ちゃんとどこに何を入れたか、私にメッセージ送る事」
こうして、物の大きさを変えられる個性を持った唯の参戦で、作業はあっという間に終わった。
そして、休憩がてら砂藤君のスイーツを味わう事に。私の分は二人にだけど。唯のテンションが振り切れ過ぎて、ブンブン振られる尻尾が見える。そんなにトマトが好きか。
「全部食べていいよ、唯。私はそんな働いてないからさ。それに、この後解除する仕事も唯には残ってるし」
「ん!」
「はいはい、冷たい内に食べちゃいな」
「何か、イメージ変わるね」
「ああ、小大ってもっとクールなイメージだったぜ。高嶺の花だったけど、一気に親近感湧くな」
「尾白君も、ああいう子がタイプなの?」
「へ~、そうなんだ切島~」
「えっ、えっと~葉隠さん?」「あ、芦戸?!」
「ん···」
ゼリー食べ終わった唯が、スプーン咥えながら空のカップをじっと見てる。何この可愛い生物、持ち帰りたい。
「お、俺の食うか?自分で作って自分で食うより、誰かに美味そうに食って貰った方が嬉しいからな」
「んん!!!」
「おおっととと!嬉しいのは分かったから少し落ち着けって。ほら、ゼリーは逃げねぇから」
ガバッと砂藤君の手を握った拍子に、ちょっと落としそうになってたけど、砂藤君からゼリーを受け取って、一口毎にパァアアと光を放つ唯を皆でほっこり見守る。
「よし、唯も食べ終わったみたいだし、荷物を運んでしまおう」
「ん」
「ん?ああ、そんな難しいもんじゃねぇから、後でレシピ教えてやるよ。色々アレンジの余地がありそうだから、自分の好きな味付け見つけるのも面白いかもな」
「ん」
「気にすんなって、美味そうに食ってる姿だけで俺は充分嬉しいんだ」
「ん」
▼▼▼
「これ、どういう状況なんです?」
「個性の暴走···にしては不自然よね」
最近、複数箇所でごろつき共が集って、何かをやっていると通報があり、その一つである山中の廃屋で、所々炭化していたり、氷付けになっていたり、異形部位が異常発達していたりする仏を前にする俺·トガ·マグネ。
「···こいつ、元異脳解放軍の増電ね。あっちの氷付けも、リ·デストロに感化されて捕まってたアイスメイカーの血筋の子よ。こっちの異形は、見た事ないわね」
「更なる力を求めて、トリガーの様な個性増服薬に手を出して失敗した、そう見るしかないな」
部屋の片隅で、ギリギリ原型を留めている銃型の注射器を回収し、取り敢えずの見解を話す。まぁ、全く府に落ちないがな。
「こいつを治崎の所に持っていってくる。後は俺がやっとくから、お前らはアイスメイカーの依頼をこなしてこい」
「分かったわ、何かあったらすぐに連絡頂戴」
「また、お茶子ちゃんや出久君に会えるんですね!私ワクワクします」
「もう、遊びに行くんじゃないのよ」
これも、オールマイトが一線を退いた影響なのか。何か大きな事が動き出している。手遅れになる前に、何とかしなきゃな。
「お盆に、祖母さんが安心して帰ってこられる様にしねぇとな」
次から林間合宿編に入ります。
因みに、砂藤力道と小大唯が何でフラグ建ててんのか、今でも謎です。
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