八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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第四十四話「八木雪花と林間合宿と魔獣」

 

 

 

 

「え?A組補習いるの?つまり赤点取った人がいるってこと!?ええ!?おかしくない!?おかしくない!?A組はB組よりずっと優秀なハズなのにぃ!?あれれれれぇ!?」「(トッ)ごめんな」

「お疲れ、一佳。しかし、自分も赤点取ってるのに煽るとか、本当にメンタル最強だよね」

「悪い奴じゃないんだけどね、じゃ」

「うん、合宿所でね~」

 

 夏の日差しに照らされながら集合一番、A組に並々ならぬ対抗心を持つB組のリーダー格物間寧人の煽りと、一佳の首トンで始まった林間合宿当日。宿泊先へと向かうバスに揺られながら、お菓子食べたりしりとりしたり音楽聞いたり隣で寝てるかっくんにちょっかいかけたりと、大はしゃぎする私達。

 何度かのトイレ休憩を挟んで、バスがとある展望台に停まると、相澤先生から全員降りる様指示があった。トイレ休憩には早いし、B組のバスが見当たらない。代わりに、近くに停まっていた普通車から、見慣れた二人の女性が降りてくる。何か嫌~な予感がしますですよ。

 

「よ~う、イレイザー!!」

「ご無沙汰してます。今年もよろしくお願いします」

「え、あの人達は!!」

 

「煌めく眼でロックオン!」

「キュートにキャットにスティンガー!」

「「ワイルド·ワイルド·プッシーキャッツ!!」」

 

 緑谷君の興奮した声を聞きながら、女児向けアニメのヒーローショーみたいなポーズを決めるマンダレイとピクシーボブを見る。

 

「毎年合宿でお世話になっている、プッシーキャッツの皆さんだ」

「よろしくねー、キティ達」

「凄い!連名事務所を構える四名一チームのヒーロー集団!山岳救助等を得意とするベテランチームだよ!キャリアは今年で12年にもなるベアッ「心は18!!心は?」じゅっ、18」

「この前、婚活でマッチングした人との初デートで、緊急出動かかってそのままフラれオゴッ!「うるさいよ!雪花!!」

 

 肉球グローブで緑谷君にアイアンクローかます、とっても大人気ない流子さんにボソッとかますと、私もアイアンクローの餌食となった。この肉球の感触がまた良いんだなぁ。痛いけども。

 

「ここら一帯は私らの所有地なんだけどね、あんたらの宿泊施設は、あの山のふもとね」

 

 そんなのを他所に、平然と説明を始めるマンダレイ。流石、プッシーキャッツのリーダー、慣れてらっしゃる。マンダレイの指し示す先は、ざっと見積もっても直線距離で10k少々かね。あんな木々の生い茂った山道を三時間で踏破しなきゃ昼飯抜きとか、鬼ですか。いや、猫か。

 皆も嫌な予感というか確信を得たのか、我先にとバスに向かって走り出す。それを許す訳もなく、ピクシーボブの個性"土流"で操られた地面が、皆を崖下へと押し流していく。飛ぼうとした常闇君が、相澤先生に個性消されて落ちてった。

 

「私有地だから、個性は自由に使ってヨシ。キティ達に伝えてね!!」

「うわぁあ!!」「後で覚えてろよーー!!」

 

 私と緑谷君も、崖下にぺいっとされた。A組の恋愛事情語って歯軋りさせてやるんだからね、絶対!!

 

 

 

「A組はそろそろかしらね、合宿恒例"魔獣の森ハイキング"開始は」

「彼らは、お昼までに間に合うかな」

「どうでしょうね。さぁ、こっちもお仕事よ」

「さて、肩慣らしといこうかね」

「あちきらも、負けてられないよ」

「うむ、いつも以上に気合いを入れねば」

 

 

 

    ▼▼▼

 

 

 

「おら、死ねやぁあ!!」

「かっくん前出すぎ!囲まれるよ!!前衛交代、B班!!」

「ああ!俺はまだ行けるわ!!」「いいから、下がる!!」

 

 前方から来る土魔獣を吹っ飛ばして突き抜けるかっくんを、木に隠れてた奴が襲おうとしてたのを殴り砕く。無駄に暴れるかっくんを羽交い締めにして、緑谷君·常闇君と入れ替わる形で後ろに下がる。

 そろそろ一時間だけど、まだ2kをちょっと越えた位かな。先は長そうだ。

 

 

 流子さんに落とされて始まった強制ハイキング。生い茂る木々や枯れ葉に倒木、細い獣道がある程度の整備されていない山道が容赦なく体力を削って行くのに加えて、流子さんが生み出す土で作られた怪物が常に襲ってくる。耐久力は低いけど、数と量が半端ない。

 

「皆、作戦会議!目標は、全員揃って宿泊先に辿り着くこと。道中は、歩きづらい山道に加えて、さっきの魔獣が四方八方から襲ってくる。こっちには、食料も水もない。なので、三グループ四班に分けるよ。

 まずは前衛、かっくん·切島君·砂藤君·尾白君·瀬呂君。かっくんが中心となって、突破口を開いて。それと、かっくんは登山の経験生かして、最適なルートへ誘導してほしい。

 んで後衛、百·焦凍·透·口田君·上鳴君。後ろを任せるってのもあるけど、百に容器作ってもらって、焦凍の氷解かして皆の飲み水確保してほしい。脱水で倒れる可能性大だから。

 他は中衛、私·飯田君·峰田君·三奈·障子君でA班、緑谷君·常闇君·お茶子·梅雨ちゃん·響香でB班。遊撃や、前衛が疲れた時に入れ替わったり、後衛のフォローが仕事だよ。でも、無理しないように。

 前衛交代は私が指示するからちゃんと従う事、かっくん分かった?」

「何で俺だけに言うんだよ!!」

「かっくんのスタミナに、皆が着いていけないからに決まってんでしょうが!この絶倫!!」

「「「「「え?」」」」」

「あ、コホン、下品すぎたね、このスタミナお化け!」

「わざわざ言い直さなくても···」

「皆、頑張って辿り着くよ!!」

 

 こうして、私達はゴール目指して動き出したのでした。

 

 

 

「くっ!急げ!後ろが詰まってきたぞ!!」

「分かってる!葉隠さん、しっかり掴まってて!」

「うん、尾白君!」

「耳朗、肩貸すから頑張るんだウェイ」

「アンタだって、そろそろ限界じゃんか、バカ」

「芦戸!もうすぐだから頑張れ」

「ご、ごめん、切島、うん、頑張る」

「ダークシャドウ!!」

「助かったわ、常闇ちゃん」

 

 時刻は13時半、残り1kという所まで迫った私達。限界を迎えた人も多く、戦う体力がギリ残ってるのは私含めたいつもの四人だけ。かっくんが前で活路を開いて、焦凍が後ろで氷壁で足止めし、私と緑谷君で前後行ったり来たりのフォロー。

 足を痛めた透を尾白君が背負ったり、スタミナ切れの響香に半分アホ面化してる上鳴君が肩貸したり、遅れ気味の三奈を切島君が手を引いたり、常闇君が梅雨ちゃん助けたりと、こんな状況じゃなきゃ嬉々として弄くってあげるシチュばっかなのに、んな余裕無いのが口惜しい。

 

「建物見えたぞ!気張れやテメェら!!」

「よし、皆!最後のラストスパートだよ!!」

「「「「おおーー!!」」」」

 

 

 

 その頃、B組はというと、

 

「左虎!右前方氷!後ろ1!!来ますですぞ!!」

「後ろは俺が受け止める!!他は任せたぜ!!」

「徹鐵さん!私がフォローを!!」

「いらねえ!!!」

「しかし!」

「俺を信じろ!茨ぁあ!!!」

 

 オールマイト、アイスメイカー、虎の三人に襲撃されながら、宿泊施設を目指していたのでした。

 

 




ピクシーボブの無限土魔獣10km少々コース
     vs
虎·オールマイト·アイスメイカー襲撃4kmコース
貴方ならどちらを選ぶ?

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