八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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第四十五話「八木雪花と到着と露天風呂」

 

 

 

  PM15:00

 

「お~、思ったより早かったね~」

「さ、最後のラッシュはヤバすぎですって」

 

 相澤先生やピクシーボブ、マンダレイに出迎えられた、全員満身創痍な私達。

 ゴールが見えて、スパートかけた私達に立ちはだかったのは、隙間無く押し寄せる魔獣の波。もう、雪の一片すら生み出せないよ。

 

「かっくん、ありがとね」

「テメェ一人位どうって事ねぇわ、クソが」

 

 お姫様抱っこして貰ってたかっくんに、地面に下ろしてもらう。

 最後の最後、追ってくる奴らの動きを止めるのに全集中したから、かっくんに運んで貰った。手が痛い癖に、障子君が変わると言っても拒否ってたのは、ちょっと笑えたし、まぁ嬉しかった。

 

「なーにが三時間ですか!!」

「腹減った・・・死ぬ」

「悪いね、私達ならって意味、アレ」

「実力差自慢の為か・・・・・・」

 

 いや、最後のアレは絶対予定外。流子さんが、テンション振り切ってやらかしたんだって。それか、フラれた八つ当たり。

 

「ねこねこねこ···見所ある子ばっかでいいよ、君ら。特にそこの三人、もう下手なプロより良い動きだったよ。三年後が楽しみ!ツバ付けとこ!!!」

「流子さん」「いったい」「何をされていますの?」

 

 かっくん·焦凍·緑谷君に、文字通りツバかけてる流子さんの左肩(お茶子)·頭(私)·右肩(百)を、握り潰す勢いで手を掛ける。

 

「イタタタタタ!!ちょっ!洒落になってない!!助けて、マンダレイ!!」

「知らないわよ。年齢差考えなさい、ピクシーボブ」

「お前ら、茶番はいいから、バスから荷物降ろして部屋に運べ。夕食は5時から、その後入浴で就寝だ。本番は明日からだ、今日は明日に備えて体を休めろ」

 

 相澤先生の指示があったので、渋々流子さんを解放してバスに向かう。それぞれ己のが相方を、背中押したり手を引いたり腕組んで引っ張ったりして一緒に。

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「美味しい!米美味しい!」

「五臓六腑に染み渡る!!ランチラッシュに匹敵する粒立ち!!いつまででも噛んでいたい!」

「えっ?!B組の相手ってお父さん達だったの??!」

「そうなのよ、もう大変だったんだから」

 

 夕食の時間まで、部屋でぐったりしてた私達。時間になったので向かった食堂には、私達同様ボロボロになったB組の姿が。一佳とかから話を聞くと、森の中をゲリラ的に襲ってくる両親+虎&ラグドールから対処しつつここを目指していたらしい。

 あの物間君が、私達見ても一言も煽り言葉を発さない位だから、相当だったんだろう。もう欠食児童の如く、プッシーキャッツお手製のご飯をかっこんでるし。

 

「明日からが本番だと思うと、どんな地獄が待ってるか恐怖しかないんだけど」

「まぁ、しっかり食べて、温泉で少しでも疲れを癒して、早めに寝て体力回復に努めよ」

「うん、そうするよ」

 

 そう言って、一佳も料理に箸を伸ばしていく。さぁ、私もペコペコなお腹を満たしますか。

 

 

 

「くはぁ~~、良いお湯~~」

「本当ですわねぇ」

「ごくらくごくらく~」

 

 腹も膨れ、食器等の後片付けも終わって、待望のお風呂の時間。汗やら土やらでドロドロだったからね、お年頃の女の子としては早く洗い流したかった訳よ。しかも、B組が一緒に入っても大丈夫な位広い露天風呂なんて、もうたまんないじゃない。

 

「······」

「どしたの響香」

「皆、何食べたらそんなスタイルになるの?」

 

 一人、ジトーっとした目をしている響香。クラスの中で一番ボリューム小さいの気にしてるけど、響香は今のままで良いんだよ。

 

「別に、特別な事はしていないわ。しっかり食べて、しっかり運動していたらよ」

「そうそう、見えないから分かんなかったけど、いつの間にか育ってたんだよね~」

「私は、腹筋多めにやってるかなぁ。油断すると、すぐお腹周りがねぇ」

「私の場合、体に脂質を溜め込んでおかないといけない事が、関係していると思われますわ」

「かと言って、個性使っても萎む訳じゃないんやろ?」

「そ、それは、そうですが」

「揉まれれば大きくなるってよく言うよね。試してみる?」

「ひっ!?」

「取り敢えず、合宿中に実験してレポートに纏めてみようか」

「え、遠慮する!ちょっ、離してよ!!いや!いやぁぁああ!!!」

 

 指をワキワキさせながら、三奈と透にアイコンタクトして、二人に羽交い締めされる涙目な響香ににじり寄る。ふむふむ、百とかの掌からこぼれ落ちそうなデカメロンも魅力的だけど、こう掌ですっぽり覆える慎ましやかなのもまた。

 

「雪花ちゃん、やり過ぎよ」

「(パチンッ)うやん!!」

「うう、もうお嫁に行けない」

「よしよし、もう大丈夫やからね」

 

 梅雨ちゃんの舌ビンタを食らったお尻を撫でながら、三奈·

透と共ににへへ~と苦笑いを浮かべる。三人共、百の優しい拳骨を頂戴しました。

 

「雪花ぁぁああああ!!!!」

「うひゃう!!」

 

 

 

『ちょっ!響香お尻揉むのは許すけど、そこはダメだって』

『響香さん!落ち着いて!きゃっ、摘ままないで下さい!』

『うゆ~、角弄くるな~』

『あっ!んっ!んあっ!きょ響香ちゃんんっ!そこにっ!振動はっ!ダメぇっ!!』

 

「···クソ女共が」

 

 壁の向こうから聞こえる、女子達の嬌声。最初は、露天風呂にテンション上がっていたが、最早誰も言葉を発することなく湯船に身を沈めている。悪態をついている爆豪も、普通に顔が赤い。

 

「オイラは···オイラは······オイラはぁぁぁああああ!!!!」

「うわっ!峰田君!!」「ちっ!峰田!!」「クソブドウがぁあ!!」

 

 緑谷·轟·爆豪の三人に脅されて、ガクガク震えながら大人しく風呂に入っていた峰田が、充血した目で男湯と女湯を隔てる壁に向かって一直線に駆けていく。三人が止めようと動こうとしたが、いつの間にかもぎもぎによって湯船とくっつけられており、峰田を通してしまっている。

 

「壁とは!越える為にある!!Plus UltraaaAAAA!!!」

 

 もぎもぎを壁に張り付け、物凄い勢いで登坂していく。そして、後一手で壁の頂上という所で、

 

「残念ですが、ここを越える事は許しませんよ、峰田君」

「クッソーー!!!すみませんでしたぁぁあああああ!!」

 

 目隠しなのだろうか、黒い布で目を覆っている八木先生が、壁の向こうから現れて峰田の額にデコピンを食らわせ、一足遅く駆け付けた飯田に向かって落とした。

 

「貴方達も、はしゃぐなとは言いませんが、隣に異性が居る事を忘れないように」

『『はーい』』

「では、男女共に、時間を守ってお行儀よく入浴するように。ああそうです峰田君、次同じ事をしようとするなら、男性教諭と入浴して頂くので覚えておくように」

 

 そう言い残して、先生は姿を壁の向こうに消した。

 

「取り敢えず、これ外してくれる?峰田君」

 

 

 

 こうして、林間合宿初日の夜は明けていくのだった。

 

 




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