「おはよう、諸君」
朝五時半。
欠伸したり、目を擦ったり、半目だったり、首がかくんてなったりと、眠そうな人だらけの二日目早朝。おしゃべりする気力もなく、最低限のケアだけして夢の中へ旅立ったのに、回復し切った感はないです。
「本日から、本格的に強化合宿を始める。今合宿の目的は、全員の強化及び、それによる"仮免"の取得。本来であれば、二年で初挑戦なんだが、お前達なら出来ると我々は判断した。故に、皆心して臨むように」
多分、外部から圧力もあったんだろうね。お父さんの引退は、ある程度の地位の人達は知ってるから、平和の象徴を継ぐ次代は育って来ている事を示すのに、実の娘である私がヒーロー仮免許を取得したっていう事実は打ってつけだもんね。
まぁ、私一人でも受けさせてって直談判するつもりだったから、余計な手間掛けなくていいからラッキーなんだけどね。
「というわけで、爆豪。こいつを投げてみろ」
「これ···体力テストの···」
相澤先生が、ボール投げの測定用ボールをかっくんに投げ渡した。さて、この3ヶ月でどんだけ伸びてるかねぇ。
「いったれ、バクゴー!」
「んじゃ、よっこら···ぶっ飛べ!!」
テストの時と同様に、爆風に乗って彼方へと飛んでいくボール。相澤先生の手元にある機械がピピッという音を鳴らし、ちょっと驚いた顔をして私達に記録を見せてくれる。
「751.3m」
「あれ···思ったより?」
「いや、50m位伸びてるからすげぇんだけど、なんつうか···」
「約3ヶ月、様々な経験を経て、確かに君らは成長している。だが、それはあくまでも精神面や技術面、後は多少の体力的な成長がメインで、個性そのものはそこまで成長していない。
だから、今日から君らの"個性"を伸ばす。死ぬ程キツイがくれぐれも···死なないように」
実に良い笑顔で言い放つ相澤先生。さぁ、地獄の何丁目まで行かされるのか、楽しみですわ。
▼▼▼
「何、これ···」
「地獄···絵図···」
ブラド先生の説明を受けながら、訓練場所に着いた私達の目には、多種多様な方法で訓練?をしているA組の姿があった。
「B組どいてーー!!!」
「「「うわあああ!!何事!!!」」」
「雪花?!?」
どこからともなく誰かが吹っ飛んできて、地面にクレーターを作って落着した。よく見ると、既にボロッボロな雪花と、雪花が作ったと思われる原型を留めてない雪像だった。
「HA~HAHA!!飛ばされて休憩のつもりかい?」
「休憩にはまだ10分ありますよ。まぁ、今ので5分伸びましたが」
「こなくそー!!!」
目の前に着地した八木先生夫妻に、雪像複数体と雪拳を作って、雪像はオールマイト先生に、自身は八木先生に向かって行く雪花。
「ふっ···ふふっ、じ、実の娘だからって、オールマイトを独占とは、ひ、贔屓が過ぎるんじゃないか?八木雪花」
「ちょ、物間」
「オールマイト及び八木主任による特別訓練だ。全員、この合宿期間中に一度は受けて貰う。現時点で、自身の課題と伸ばし方を分かっているのが八木雪花位だから、アイツが最初だっただけだ」
「······マジ?」
イレイザー先生の説明に、切奈かボソッと溢したけど、皆同じ気持ちだったと思う。オールマイトに鍛えて貰えるのは嬉しいけど、雪花の訓練模様を見てると言葉が出てこない。
「それで、私達はどんな訓練を?」
「各々の訓練内容については、プッシーキャッツの皆さんから説明がある。皆心して聞き、より一層のPlus Ultraを期待する!!」
「「「「はい!!」」」」
「さぁ、昨日言ったね!「世話焼くのは今日だけ」って!!」
「己で食う飯くらい己でつくれ!!カレー!!」
「「「イエッサ···」」」
一日の訓練を終え、野外調理場で大量の食材を前に、ピクシーボブとラグドールから言われ、力無く返事をする私達。因みに、お父さん達との特訓が終わった後の私は、虎の我ーズブートキャンプに参加して、合図があったら雪像作ってブートキャンプメンバーに殴りかかる(外すor壊されるとノルマ加算)という訓練内容だった。緑谷君が容赦なく破壊するから、緑谷君がお父さん達に呼ばれた時は、心の底からありがとうお父さんお母さんと思った事か。
「確かに······災害時など、避難先で消耗した人々の腹と心を満たすのも救助の一環!さすが雄英、無駄がない!!世界一美味いカレーを作ろう、みんな!!」
ラグドールの言葉を拡大解釈して、一人テンションの上がる飯田委員長の号令の元、私達はのろのろと動き出した。
「取り敢えず、包丁使った事ある人集合。使った事ない人は、野菜や米洗ったり、火を起こすのよろしく。あ、焦凍はB組の所も火付け手伝ったげて」
「分かった」
疲労で集中力落ちてるのに、フォロー無しで包丁初挑戦なんかさせられませんからな。安心して任せられるのが私含めて、かっくん、砂藤君、梅雨ちゃんの四人。ギリ何とかが百とお茶子か。B組の方は······皆自身無さげ?一佳も不安そうだ。
「砂藤君、B組のフォローお願いできる?慣れない包丁で、指切って明日に支障が出てもあれだからさ」
「いいけどよ、何で俺なんだ?」
「こん中で、一番コミュ力高いから。私、B組と話つけてくるから、皆はピーラーで皮剥きよろしく。んじゃ、ちょっくら行ってきます」
「ええ、行ってらっしゃい」
お願いね~っと、砂藤君を引き連れてB組の方へ向かう。
「あれ、雪花?何か用?」
「なんだいなんだい?!僕らより優秀なA組が、僕達にB組に助けを求めにでも来たの(トッ)かっ!!!」
「物間は黙ってて」
「やっぱ、物間怖い」
「いや、B組見てたら包丁使うの不安そうだったから、ウチで一番扱いになれてて、コミ力高い砂藤君を助っ人に差し出しに来ただけ」
「本当!ありがとう!私ら、ちゃんとやるのは初めてなのばっかだったから助かるよ。後、火の件もありがとね」
「ん」
「じゃあ、後よろしくね、砂藤君」
「おう、ある程度大丈夫だと思ったらそっち戻るわ。まずは、包丁の使い方をレクチャーすっから、取り敢えず野菜切る班は見ててくれ。小大、ちょっと近い」
「ん」
ぴったり横について、覗き込む様に見てくる唯に苦笑しながら、実演していく砂藤君を残して、私はA組の所に戻った。三奈達の、サムズアップの歓迎を受けながら。夜の女子会が今から楽しみである。
「ただいま~。じゃあ、こっちも切って行きますか。私は百のフォロー入るから、梅雨ちゃんはお茶子のフォローよろしく。かっくんは、兎に角切って切って切りまくっといて」
「全部俺が切り殺したるわ」
そうして、火力強くしすぎてワーキャーしたり、玉ねぎ切って涙流す百に血相変えて焦凍が駆け寄ってきたり、梅雨ちゃんの意外とスパルタな指導を受けるお茶子が「これも、デク君の為」と頑張ってたり「言っとらんからね!!」、皆でワイワイしながら楽しくカレー作りに勤しんだ。
皆で作って皆で食べたカレーは、とても美味しゅうございました。食べ終わった後、小大筆頭にB組女子からお礼を言われる砂藤君を見て、料理挑戦してみるかなぁと思った男子が居たとか居なかったとか。あ、峰田君は血涙流しながら砂藤君に突っかかってた。
主人公以外の訓練内容は、原作とだいたい一緒です。
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