「お邪魔しま~す」
「お、来た来た、いらっしゃ~い」
お風呂の時間も終わり、後は寝るだけとなった夜。昨日出来なかったから今日こそはと、B組も呼んで、漸く開催されたヒーロー科一年女子会。私·三奈·透のコイバナ大好き三人衆は、もうテンションおかしくなりそうだったよ。
「あれ?何か少ない?」
「切奈、希之子、ポニーの三人は、ブラド先生に話があるんだって。終わって間に合うようだったら来るってさ」
「残念。ま、それならさっさと始めちゃいますか」
持ち寄ったお菓子やらジュースやらを広げ、職場体験やら期末やら訓練やらの他愛のない話をすること十数分、三奈·透とアイコンタクトして、本命の話題に移る。
「さて、そろそろ場も温まってきた事だし」
「女子会恒例」
「コイバナだーー!!」
A組の面々は、遂に来たかと苦笑いしてるけど、一佳達B組の面々は、えっ?という顔をして私達を見る。おいおい、女子会開いてコイバナさないとか、それは女子会じゃないって。
「まずは、軽くジャブからね。今、付き合ってる彼氏がいる人挙手!」
三奈の言葉に、おずおすと手を上げる百。そして、手を上げてないお茶子の方を見て、裏切り者!という顔をする。私達も、ニッコリ笑顔でお茶子を見る。お茶子も、それに気付いて顔を真っ赤にしながら手をバタバタ振りだす。
「だ、だから、ウチとデク君はそんなんじゃないって言っとるやろ!!」
「まだ、でしょ。端から見たら、もう付き合ってる様にしか見えないんだから、諦めて認めちまいなよ。同棲まで始めたくせに」
「「ど、どうせい?!?!!」」
「同棲と違うし!下宿しとるだけやし!」
「何も変わらないと思うわよ、お茶子ちゃん」
「はいはい、緑谷君のお母さんの下で花嫁修行中なんだよね」
「ちゃうし、ちゃうし、ちゃうし、ちゃうし···」
「あ、浮いた」
手で顔を覆った事で、個性が発動して「ちゃうし」と連呼しながら空中を漂い始めるお茶子。電気とかにぶつからないよう、レイ子が個性で操作してる。その様子を微笑ましく見送り、今度は、唯一の彼氏持ちにロックオンする。
「で、百はどこまで進んだの?焦凍と観覧車の中で、濃厚なキスをしたらしいじゃないのさ」
「な、何も進んでおりませんわ!私と焦凍さんは、け、健全なお付き合いをしているだけですわ!!」
「その反応、ヤオモモ怪しい」
「これは、何かあったね」
「後で焦凍にカマかけてみるか」
「しないで下さいませ!!」
「体育祭でもしかしてって思ってたけど、二人ってそういう関係だったんだ」
「貴女にも、祝福があらんことを」
「この間の、I·アイランドエキスポからですわ。八百万家と轟家のお見合いが開かれ、そのまま、」
「え?てことは、将来的に結婚まで決まってる?!」
「···ええ、まぁ、そうなりますわね」
流石お嬢様なんて、一佳が感嘆の溜め息をついてる。
「こんな感じで、A組は進んじゃってる子は進んじゃってるんだけど、B組の恋愛事情はどんな感じ?」
「いえ、B組は別に恋愛云々に関しては···」
「塩崎位だよね。後は、今日のを見る感じ、小大も?」
「なっ!!?!」
「ん?」
「ほう、詳しく聞かせて貰おうじゃないか、柳君」
「どんなキャラよ。体育祭以降、よく鉄哲とペア組んだり、自主連したり、勉強したりしてるから。それに、名前呼びしてるし。まあ、鉄哲は漢字違うだけだから分かり辛いけど」
「ほほ~ん」
目をピッカーンと光らせて、塩崎さんににじり寄る。無意識に後退りしようとしてるけど、一佳がその巨大な手でその場に押し留めてる。こう見えて、一佳もコイバナとか嫌いじゃないからねぇ。
「実際、鉄哲君の事をどう思ってるの?」
「その···鐵徹さんは、体育祭の時、共に正々堂々と立ち向かった方ですし、騎馬戦も、怯むこと無くその身で氷を砕いておられました。その真っ直ぐなお姿を、人として尊敬しております。決して、緑谷さん麗日さんの様な崇高な物では···」
「崇高って何?!茨ちゃん!!」「あ、帰ってきた、降ろすよ」
「訓練で、茨の鞭に打ち据えられるのを耐える表情や、巻き付く茨から脱しようともがかれる姿に、愉悦の様な感情を抱く様な罪深き私が、あの方に恋慕の情を抱こうなどと、それこそ天罰が下ります」
そう言って、胸の前で手を握って祈りを捧げる格好を取る塩崎さん。
「···一佳、私お母さんにミッドナイト先生に来て貰うよう頼むよ」
「···うん、本当にお願い」
「よし、気を取り直して、次は小大さん!」
「ん」
「まさか、唯があんなすぐに男子と打ち解けるなんてね」
「恋に落ちたというより、お菓子貰って懐いた子犬って感じだけどね」
「A組と拳藤はその場に居たんだっけ」
「偶然、砂藤さんの家にトマトが余っていて、それをなんとなくゼリーにして持ってきたら、トマト大好きな小大さんが偶然通りかかった」
「言葉にしてみれば、凄い確率ね」
「そういえば、この前ゼリーの作り方を教わりに行ったんだっけ?」
「ん」
「え?そうなの?!もしかして、二人っきり!!」
「残念ながら、私も居たよ。どうしても、砂藤君の作ったゼリーの味にならないから、直接教えてほしいってね」
「砂藤君から、どうすりゃいいかって相談されてね、私が一佳に言って、一緒に行って貰ったのよ。甘い雰囲気なんぞ微塵もなく、穏やかにゼリー作って終わったそうな」
「身長差もあって、兄に教わる妹って感じだったよ」
「まぁ、お茶子みたいに弄らないで、そっと見守っていくのがベストだね」
「···ん?」
そう皆と目線を合わせて、プリッツ(トマト)をポリポリ齧っている唯を、親の気持ちで優しく見守る私達でした。何か、「ウチも弄らなんとって!!」と囀りが聞こえる気がしたけど、空耳空耳。
「因みに、一佳とレイ子は?」
「あの二人の後に聞かないでよ。無い無い、気になる男子も居ないしさ」
「勉強とか訓練とかで手一杯。逆に、半年も経ってないのに、何でA組はそんなに進んでるのかが謎なんだけど」
「まぁ、主に私の所為?そっち方面で焚き付けたりアシストしたりちょっかい掛けたりしたから?あ、緑谷君に関してはノータッチでございます」
「嘘や!!!」
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