「ねぇ、切島」
「ん?何だ?歩くの早すぎたか?」
「乗り越えられそ?」
「···ん~、まだまだだわ」
「そ、ちゃんと進めてる?」
「おう、大分おっそいけどな」
そう言って、尖った歯を見せながらニッと笑う切島。半歩斜め前を歩く背中は、気持ち大きくなったっぽい?
「頑張れ、列怒頼雄斗」
「おう!」
▼▼▼
「うう~、脅かしてくるのB組やって分かっとるのに」
「夜の森ってだけでも、大分雰囲気あるからね」
僕の右腕を、抱え込むようにギュッとしているお茶子さんの体温や鼓動や感触にドキドキしながら、僕らはコースを進んでいる。
I·アイランドで、メリッサさんの知り合いが協力してるっていうお化け屋敷もこんな感じで進んだけど、役得というか男としてカッコ悪い所は見せられないなと、やっぱり思う訳で。
というか、僕も健康的な男子なので、お茶子さんの匂いとか感触に反応する股間の生理現象を悟られないようにと願うばかりです。三日間溜まりっぱなしだから。頼むから、もうちょっと静かにしてて、僕の僕。
「そ、そうだ、来週、家の近くの神社で縁日があるんだけど、何か予定ある?良ければ、一緒に···どうですか?」
「え、あ、うん、是非。何も予定ないから」
「良かった。お母さんが、お茶子さんに浴衣用意しとかないとって、凄い張り切っちゃってて。絶対に誘いなさいって念を押されてたから」
「そ、そんな、下宿させて貰ってるのに浴衣やなんて···」
「いつも家事手伝ってくれてるお礼だって。それに、娘を着飾るのやってみたかったって。お母さん、ああ見えて頑固な所あるから、付き合ってあげてくれると嬉しい。ぼ、僕も、お茶子さんの浴衣姿、見てみたいし」
な、何て事を言ってるんだ僕は!と蹲りたくなるけど、何とか耐えてお茶子さんの方を見る。お茶子さんは、うつむき加減で、小さくコクリと頷いてくれた。今、僕の耳はお茶子さん以上に真っ赤なんだろうなぁ。暗闇で良かった。
「甘酸っぱ~」
「え?」
「···どしたん?デク君」
「いや、今後ろからお茶子さんの声が···」
後ろを振り返り、懐中電灯で照らしても誰も居ない。空耳?でも、確かにお茶子さんの声だったような···。
「デ、デク君、怖い事言わんとって···」
「ご、こめん。ぼ、僕の勘違いだったみたい」
首を傾げながら、再び前へ足を進める。
「で~く~」
「うわっ!お茶子さん、急に不気味な声出してビックリしたよ!」
「···私とちゃう」
「え?でも今のは「で~く~」ほら、お茶子さんの···」
「···私と違うよ、デク君」
「じゃ、じゃあこの声は···」
「うらめしや~、うらめしや~」
「きゃあああ!!!!!」
恐る恐る懐中電灯を向けた先には、真っ白な死に装束に身を包んだ女性が、お決まりのポーズを取って空中をゆらゆらとしていた。
お茶子さんが悲鳴を上げながら、僕の胸に顔を埋めるように抱きついてくる。多分、心の中で女性に向かってサムズアップする僕が居たと思う。
「お疲れ様、柳さん。柳さんの個性って、生物には効かなかったよね?どうやって浮いてるの?その服とかは?」
右手でお茶子さんの頭を撫で、左手でお茶子さんの背中をトントンしながら、ちょっと不完全燃焼みたいな顔をする女性幽霊、B組の柳さんに声をかける。
「もうちょっと、何かリアクションない?まぁ、先にやらかしたのは私だけど。タネはこれ、角取の個性で持ち上げて貰ってるだけ。服は自前、肝試しあるって聞いてたから用意しといた」
「そうなんだ。さっきは、お茶子さんの声そっくりでビックリしたよ」
「そんな似てる?自分じゃよく分かんないけど。ほら、さっさとゴールして、私達を驚かす準備してよ。これに関しては、私煩いから」
「うん、お茶子さん、もう大丈夫だから行こ」
「···(コクッ)」
ヒラヒラと手を振る柳さんに一礼してから、俯いたままのお茶子さんを促してゴール目指して歩を進める。ずっと無言だけど、そんなにビックリしたのかな?
「お茶子さん、大丈夫?···お茶子さん?」
ちょっと心配で覗き込んだお茶子さんの顔は、逆上せた位真っ赤になってて、目もぐるんぐるんしていた。いったい、おちゃこさんに何が??!
「あの···お茶「···当たっとった」···え?」
「···抱きついた時、当たっとった」
当たってた?一体何に。あの体勢で当たってる物なん···て······まさか!!お茶子さんの、ぐるんぐるんした目が見つめている箇所を辿ると、そこには、大変な主張をしてらっしゃる僕の僕が。
「あ、え、あの、あと、えと、こ、これはですね、あの、せ、生理現象と言いますか、ええ、と、年頃の男子としては正常な反応と言いますか、あ、あははは」
思い出されるの母の言葉、
『いい、出久。お茶子ちゃんに、もし不埒な真似したら、出久の集めてるオールマイトグッズ、全部廃棄するからね』
お茶子さんに気持ち悪がられて嫌われる、オールマイトグッズが捨てられる、と思い、しどろもどろに、言い訳にもならない言い訳を口から垂れ流す僕。緑谷出久最大のピンチ。
「···私の体でも、反応してくれるんやね」
「うえっ?」
「雪花ちゃんや百ちゃんみたいに、美人でスタイル良い訳ちゃうし、ちんちくりんやし、あんまそういう魅力は無いって思っとった」
人差し指同士をツンツンさせながら、恥ずかしそうに語るお茶子さん。
「知っとる?爆豪君、I·アイランドで雪花ちゃんにして貰ったんやって」
「して···もらった···」
「上半身使って、五回も」
「五回···」
「···デク君も、してほしい?」
もじもじとしながら、上目遣いでそんな事を言うお茶子さん。下半身に熱が集まる。生唾が口の中に溜まり、ゴクリと大きく喉が鳴る。お茶子さんが、僕のを···、
「·········フンッ!」
「デ、デク君?!」
近くの木に思いっきり頭をぶつけた。
「あの···デク君?大丈夫?」
「そういう事は!きちんと!お付き合いして!から!だから!閉まってる物!取り出して!僕にくれるまで!待つんだ!」
ふぅ、漸く落ち着いてきた。
「デク君···」
「さっ、早く皆の所に戻ろう」
「···うん」
「でも、その時が来たら、多分、我慢出来ないと思うから」
「·········はい」
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