「彼女、欲しいな」
肝試しを終え、宿舎に帰る道中、女子とペアを組んだ奴らが、その子らと良い雰囲気で話している姿を見せつけられれば、そう思うのも仕方ない事かもしれない。俺もその一人だから。
『林間合宿に際して、俺からお前達に渡す物がある』
初日の夜、そうブラド先生に言われて、一人一人に配られたのは、驚愕の物だった。それは、正真正銘の男性用避妊具"コンドーム"であった。
『お前達は、男女共に思春期真っ盛りの健康優良児だ。そういう事に興味を持つ年頃なのは分かっている。俺もそうだったからな。
毎年、学年関係無く何組かの生徒が合宿中に、隠れてそういう行為をしているのも事実だ。決して、推奨している訳ではないが、学校としては基本的に黙認している。女性ヒーローが、男のヴィラン相手に敗れ性的暴行を受ける事案も0ではない。せめて、初めては好きな者と、と女性教員を中心にかつて話し合いが行われ、そういう方針になっている。
しかし、君らはまだ未成年だ。そういう行為の末、万が一妊娠となれば、あらゆる方面に多大な迷惑をかける事になる事も理解出来ているだろう。
故に、我々はそれを君達に配る。その万が一のリスクを、少しでも減らす為に。もう一度言う、我々は推奨している訳ではない。今配ったそれが、君達が責任を取れる年齢になるまで使用されない事を願っている、以上だ。では、明日に備えてしっかり寝るように』
この合宿中に、多分使う事は無いと思うけど、それを使って異性と事に及ぶ事を夢に見ない野郎も居ないだろう。もしかしたら、この後アイツらは宿舎抜け出して···なんて。
「なぁ、回原。お前、一年女子だったら誰がいい?」
「誰がいいって、何だよ」
「A組もB組も、女子皆可愛いじゃんか。付き合うなら誰がいい?つか、ぶっちゃけ誰とヤリたい?」
「ヤ、ヤリたいって、お前···ど直球過ぎるだろ」
補習に行った物間を見送り、暇潰しに円場·宍田·泡瀬·俺の四人で大富豪してたら、急に円場がそんな事を尋ねてきた。
「そういうのは、まず自分から言えよ」
「えっ?!あ~、俺は······八木さん」
「前から、円場氏はそう言っていましたからな。八木氏と付き合いたいと」
「限りなく望み薄だけどな」
「うるせぇんだよ。ほら、俺は言ったんだからお前も言えよ」
「つってもなぁ、一番可愛いって思うのは小大だけど、そういう対象として見た事ねぇし。まぁ、でも付き合いたいなって思ったのは八木になるな。勝ち目無いけどさ」
「だよな、じゃあ次宍田は?って、お前許嫁がいたんだっけか。じゃあ、泡瀬」
「見た目でタイプなのは、八百万だな。あの胸はロマンだろ」
「否定はしないけど、あれは轟のもんだろ。もしかしたら、もう一線を越えてるかもだぜ?」
「分かってるよ。妄想する位良いだろ別に」
「しかし、今さらですが、良い感じの相手が居る女性陣ばかりですな」
「A組は言わずもがな、B組も鉄哲と塩崎位かと思いきや、小大が砂藤と良い雰囲気出してるし、取陰も今日の見る限りじゃ、骨抜に矢印向けてるだろうしな」
「そうなると、残ってるのは拳藤·小森·角取·柳か。14人中10人売約予定とか早すぎんだろ」
中学の友人も、何人か彼女出来た報告あったし、早すぎるって事もないんだろうけど、女子に焦がれて貰えるって羨ましいよな、やっぱ。
「そんな肩を落とさず、いずれ、皆にも良い出会いがあるですぞ。B組全員、良い男ばかりですからな」
そう言って、宍田がその毛むくじゃらの大きな手で、肩をポンっと叩いてくれる。ま、そうだよな。焦ってもしょうがないし、今は立派なヒーローになる為に頑張らねぇとな。
「それはさておき、良い思いしやがった骨抜と鉄哲は、明日ボコす」
「「乗った!!」」
「···やれやれですぞ」
▼▼▼
「良いんだな、百」
「ええ、私に貴方という存在を刻みこんで下さい、焦凍さん」
ふおおおお!
携帯見て轟が部屋出てったのを怪しんで、こっそり後をつけてみれば、オイラの勘は正しかったじゃねぇか。宿舎を抜け出して、轟の向かった先には八百万が居た。ちょっと会話したら、徐に唇を合わせて、轟の手が八百万の服の中に入っていく。今すぐ飛び出して邪魔してやりてぇが、今度こそガチで殺されそうだからな、今回はオイラにネタを提供して貰うだけですましてやるぜ、お二人さん。
服に隠されていた八百万のヤオヨロッパイが、木々の間から漏れる月明かりに照らされて眩しく輝いてやがる!!おい、抱き合ってねぇで離れろや轟!!肝心な所が見えねぇだろうが!!!
貪る様にキスをしながら、互いのズボンを下ろしていく。野郎の尻なんかどうでも良い!180度回転して八百万の尻をこっちに見せろや!!!
くそ、もう我慢できねぇ、オイラのリトルミネタは限界だ。オイラは、自分のズボンをパンツごと下ろしてマイサンを解放してやろうとした、その瞬間、
「やれやれ、悪い予感て当たるもんだねぇ、峰田君」
オイラの全身は、冷たい雪に閉ざされていた。身動きできねぇし、声も出せねぇ。ただ、下手人の声だけは聞こえる。
「今見た事は誰にも言わない事。二度とデバガメしない事。もし破ったら、その股ぐらにある粗末な物、一生使えなくしてあげるから」
その言葉を最後に、オイラの意識は天へと上っていった。気が付いたら、オイラは自分の布団の中で朝日を迎えていた。何があったのか聞いても、瀬呂に優しく肩をポンっとされるだけだった。
因みに、朝練の時に、滅茶晴れやかな轟と少し内股気味な八百万を見て、全員が
『あ、コイツら昨日ヤったな』
と確信していた。
男子は、憧憬と妬みの入り交じった目で轟を見た。
女子は、根掘り葉掘り聞いてやろうと獲物を狙う目で八百万を見た。
オイラは、意味深な八木の視線を受けて、リトルミネタがマイクロミネタになった。
▼▼▼
「準備は出来た?」
「うん、バッチリ」
「お手紙、ちゃんと渡せるといいわね」
「そろそろ出発するよ」
「今行くよ、お父さん。お母さん、行ってきます!」
「行ってらっしゃい、洸汰」
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