八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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第五十四話「八木雪花と再会と手紙」

 

 

 

 

「林間合宿も半分を過ぎました。これからは、個性伸ばしのギアを数段階上げる事になります」

「その為に、新たに外部協力者を数名お呼びしている。では、自己紹介をお願いします」

 

 林間合宿四日目。朝練を終えた朝食の席で、いつもの朝礼かと思いきや、先生達の横には、とても見知った顔が並んでいた。

 

「エンデヴァー事務所、蒼炎ヒーロー"荼毘"だ。まぁ、よろしく頼む」

「トムラ事務所のサイドキック、マグネットヒーロー"マグネ"よ。気軽にマグ姐って呼んでちょうだい」

「同じく、圧縮ヒーロー"Mr.コンプレス"だ。よろしく」

「渡我はトガです!トガヒミコです!!カァイイ人が一杯いますねぇ、楽しみです!!」

「ヴィラン連合の今筋強斗だ。殴って良いのはどいつだ」

「同じく乱波肩動。さぁ、早く喧嘩しようぜ!」

「天蓋壁慈だ。まぁ、俺はこの二人のお目付け役だから、余り気にしないでくれ」

「······俺も?!あ~、俺は伊口秀一。トムラ事務所の事務員でただの付き添い。あ、事務の事で何か聞きたい事ある人いつでも答えるから」

「ウォーターホースのスプリンクラーです。少しでも、君達の力になれるようお手伝いさせてもらいます」

 

 成る程、昨日まで単純な個性の強化だったけど、今日からより実戦的な個性伸ばしをするって事だね。お父さん達の特別訓練もバンバン入ってくるだろうし、地獄の底はこれからだって訳か。

 

「では、後片付けと小休止の後、改めて特訓メニューの説明を受けた者から午前中の訓練に入れ。残り半分、気持ちを切らさず最後までPlus Ultraを期待する、以上だ」

「「「「はい!!」」」」

「ああそうだ、塩崎は職員部屋に来てくれ。ミッドナイト先生から話があるそうだ」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「どうしたどうした!!まだ殴り足んねぇぞ、ガキ共ぉ!!」

「おいおい、この程度で倒れてくれるなよ。まだ肩も暖まってねぇんだぞ!!」

「そこそこ強い。だが、その程度では破れんよ」

 

「いい?どんな個性を持っていても、最後に物を言うのは自分の肉体よ。さぁ、個性と共に肉体も育てるわよ」

「どれをどのタイミングでどの様に、常にあらゆる事態を想定して、何が起こっても対処出来るよう思考を止めない事。さぁ、体も動かし頭も動かしてみよう」

「自分の個性を、もっと柔軟に考えるのです。あんなことが出来るかも、こんなことが出来るかも。それを、一緒に考えましょう」

「人が歩き方を上手く説明出来ないように、何となく出来てしまっている所をきちんと理解する。それは、強くなる近道とは言えないけど、とても大切な事です。しっかり、勉強していきましょう」

 

 こうして始まった、追加講師達による訓練。

 ボロクソのボロ雑巾にされて死屍累々なヴィラン連合組と、見た目はそんなだけど頭から湯気出してる知恵熱出してるトムラ事務所+ウォーターホース組。スパルタなのは変わりないけど、とても対照的な様相を呈している。

 

「自分の出来る範囲で抑えてんじゃねぇよ!そんなんじゃ、いつまで経っても成長しねぇだろうが!!」

「くっ!!うおおおおお!!!」

 

 焦凍は焦凍で、荼毘、燈矢さんと炎の撃ち合いをしてる。職場体験の時に教わった、燈矢さんがお母さんと一緒に開発した嚇灼熱拳·冷を越える真の嚇灼を会得する為に。

 因みに私はというと、

 

「ほらほら!数が少なくなってきてるよ!!」

「うっさい!!こっちは量より質なんだっての!!」

 

 無限沸きするピクシーボブの土魔獣相手に、雪像でタワーディフェンスしてる。一時間、私が立ってる石柱を倒されないよう雪像のみで守りきれとか焦れったい。今すぐ降りて自分でぶん殴りたい。まぁ、私が降りた瞬間、虎とマンダレイも参戦してくるので堪えるけどもさ。

 あ~、私も今筋さんや乱波さんと殴りあいたい、天蓋さんのバリア抜きチャレンジやってみたい。後方でうんたらやってるよりも、前線でバチバチしてる方が性に合ってるよ、私は。

 

「こらー!集中切らすなーー!!」

「っ!分かってるっての!!」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「緑谷君、ちょっといい?」

「え、あ、はい。えと、その子は···」

 

 午前の訓練を終えて、お昼ご飯に向かう途中、ちっちゃい角の付いた赤い帽子を被った幼い少年を連れたマンダレイとスプリンクラーに、緑谷君が声をかけられた。

 

「僕の息子です。どうしても、渡したい物があると。ほら、洸汰」

「は、初めまして!俺、出水洸汰って言います。あの、これを···心操君に渡して貰えませんか?!」

 

 そう言って、少年、洸汰君が一通の封筒を緑谷君に差し出した。"しんそうくんへ"、確かにそう書かれた封筒は、緊張で握り締めていたのか、ちょっと皺が寄っていた。

 

「俺、いつか、お父さんやお母さんみたいなヒーローになりたい。でも、皆に比べて個性弱くて。お前なんかがなれっこないって言われる事もあって。そんな時、あの体育祭を見ました。誰に何を言われても、それでもヒーローを目指す心操君に勇気を貰ったんです。俺、ちゃんと勉強して、体を鍛えて、個性も鍛えて、雄英に入って、絶対ヒーローになります。だから、心操君も頑張ってって···お願いします!!!」

「そっか。うん、ちゃんと心操君に届けるよ、君の気持ち」

 

 そう言って、顔を真っ赤にした洸汰君から封筒を受けとる緑谷君。

 

「いや~、まさか普通科の心操君に先を越されるとは。体育祭一位になっても、ファンレター何て一通も貰ってないよ。負けてらんないね」

「···っち!次は俺に憧れさせたるわ」

「憧れる前に怖がられるに一票」

「あ、俺もそれに一票!」

「私もそっちに乗るわ、ケロケロ」「ウチも」「私も」「私も!」「というか全員そっち!!」

「んだとゴラァあ!!!ぶっ殺すぞテメェら!!!」

「よーっし、私達も応援して貰えるように、午後からも気合いいれてこーー!!!」

「「「「おおーーー!!!」」」」

「無視すんなー!!!!」

 

 

 こうして、訓練により一層身が入る私達なのであった。

 

 

「あ、居たのです出久君、一緒にご飯食べましょう」

「うえ??ト、トガヒミコさん??!」

「ちょっ!トガさん、デク君どこに連れてくん!!」

「お茶子ちゃん!!いいですねぇいいですねぇ、前よりカアイクなってますねぇ、恋してますねぇ。お茶子ちゃんも一緒にご飯食べるです!!」

「うあっ、ちょっ!」

「出久君にお茶子ちゃんも居るなら···居たのです!梅雨ちゃ~ん!!梅雨ちゃんも一緒にご飯食べるのです!!」

「···ええ、ご一緒させてもらうわ」

「お友達とのご飯、楽しみなのです!!」

 

 

 




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