八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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第五十八話「八木雪花と仮免試験·Ⅰ」

 

 

 

「次だ!今の倍寄越せや、雪花!!」

「八木さん、僕も追加をお願い」

「雪花、もっと骨のある奴にしてくれ」

「「「「八木·雪花(さん、ちゃん、君)」」」」

「だああああ!!!私の雪像はサンドバッグじゃなあーーい!!」

「ちょ、タンマ、八木ぃいいい!!!」

「切島ぁあああ!!!」

 

 仮免試験を三日後に控え、合宿で編み出した必殺技等の最終調整の為に、セメントス先生監修の"トレーニングの台所ランド"通称TDLで、流子さんがやったように各々に合った地形を作って貰って訓練している私達。

 訓練の相手役に、何しても大丈夫な私の雪像をかっくんが所望してから、焦凍や緑谷君も便乗してきて、そしたら僕も俺も私もと。切島君に頼まれて、最大硬度の雪拳でぶん殴ってあげながら、30体近くの雪像を、それぞれのニーズに合わせて戦闘行動させるのは骨が折れるんだっての。八つ当たり連打でめり込ませたけど、三奈の介抱でチャラにしてくれい、切島君。

 つか、彼女の形したもん平然とぶっ壊すんじゃない、愛する人よ。

 

「ごめん、でも人の体と同じ位の硬さにしてくれてるから、威力の調整とかしやすくて」

「動く的じゃねぇと、訓練にならねぇだろ」

「うむ、委員長としては申し訳ないが、八木君も個々人のレベルに合わせて雪像を動かしてくれてとても助かっている」

「ええ、とても良い訓練が出来ているわ」

「雪花!!さっさと出せやぁあ!!!」

「かっくん、少しは恋人労れ!!皆、10分程かっくんに集中するのでよろしく!!」

 

 エンデヴァーに鍛えられた成果、存分に発揮して貰おうじゃないか。

 

「夫婦喧嘩も程々にしとけよ」

「喧嘩じゃありません躾です、相澤先生。スノウアーミー展開!雪拳阿修羅!行くよ、かっくん!!」

「来いやぁああ!!」

 

 こうして、仮免まで有意義な訓練をした私達であった。え?結果?相澤先生に止められて、10分じゃ決着着きませんでした。

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「試験内容どんなのかな、ドキドキするね」

「へっ、何がこようと関係ねぇよ。全部ぶっ飛ばして、一発合格してやるわ」

「···ぶっ飛ばすだけの試験だったらいいね」

 

 試験当日、会場行きのバスに揺られる私達。B組は別会場らしく、ちょっと不安そうに砂藤君を見ていた唯の下に、女子皆で砂藤君を押して行く一幕を挟み、互いの健闘を願ってそれぞれのバスに乗り込んだ。

 

「うう~、オイラ合格出来っかなぁ···」

「峰田、出来るか出来ないかじゃない、するんだ。お前達も、仮免合格すりゃ漸く受精卵から卒業だ。これまでの努力を思い出して、より一層のPlus Ultraだ、いいな!!」

「「「はい!!!」」」

「よーし、皆!景気付けに円陣組もうぜ!!」

 

 相澤先生の発破に、切島君が燃え上がって提案してくる。ぶつくさ文句言ってるかっくんを引っ張って、皆で円陣を組む。

 

「八木、音頭頼む!!」

「え?言い出しっぺの切島君か、委員長の飯田君がやるんじゃないの?」

「飯田は堅いし、俺じゃテメェが一番頑張れってなるから、八木が最適なんだって」

「仕方ないなぁ。皆、ここが本当のスタートラインだよ。仮免取れば、私達はそっから"ヒーロー"と胸張って名乗れる。だから、誰一人欠ける事無く合格するんだ!行くよ!雄英高校一年A組!!Plus!!」

「「「「Ultra!!!!」」」」

「ULTRA!!!!」

「···あん?」

 

 勢い良く決めたと思ったら、聞きなれない声が混じった。円陣の外に、別の高校の学生服に身を包んだ坊主頭の男子がそこに居た。確か、士傑高校の制服だっけか。

 

「···誰?」

「あ、どうも!大変!!失礼しました!!!一度言ってみたかったんす!!Plus Ultra!!自分、雄英大好きっす!!雄英の皆さんと競えるなんて光栄の極みっす!!よろしくお願いします!!!」

「いや、だから誰?」

「もしかして、夜嵐イサナ···だったか」

「イナサっす!夜嵐イナサ!!」

「知ってるの?焦凍!!」

 

 謝罪のつもりなのか、地面に頭を打ち付ける男子生徒。その高過ぎるテンションに若干引き気味な私達の中で、焦凍がポツリと呟いた。焦凍の知り合いでこんな人居たっけ?

 

「推薦入試の時、俺の次にゴールした奴だ。荒削りな部分もあったが、凄ぇもん持ってたから覚えてた」

「その節は、大変お世話になったっす!!アンタのお陰で、自分が本当に目指すべきモノが分かったっす!!だから、今度は自分が勝つっす!!!!では、会場でまた会おうっす!!!」

 

 そう言って、こちらに向かって来ていた士傑高校の方々の方に駆け出していく夜嵐君。名前の通り、嵐みたいな人だね~。

 

「おお、イレイザーじゃないか!こうして直に会うのは久しぶりだなぁ、結婚しようぜ!!」

「しない」

「え?!そういう関係!!!」

 

 今度は、オレンジのバンダナをした女性が、相澤先生に求婚してきた。私含めた女子陣がざわっ!となる。次から次へと忙しない!

 

「しないのかよ、ウケるー!!」

「たく、お前の所と同じ会場か、面倒だな」

 

 デクペディアによると、あの女性はミスジョークというヒーローらしい。そういえば、近くのヒーロー事務所に、人を笑わせる個性の面倒な女性ヒーローが居るって、昔白雲さんのbarで愚痴ってたっけ。

 そんなこんなありつつ漸く会場内に入り、更衣室でヒーローコスチュームに着替えて、試験内容が説明される予定の巨大フロアに集まった。

 

「あれが、オールマイトの娘」

「テレビで見るより、実物で見る方がカワイイな。···ツンツン頭がすんげぇ睨んでくんだけど、めっちゃ怖え」

「焦凍様、今日も変わらずお美しい!!」

「隣の女は何よ!あんなハレンチな格好で焦凍様にピッタリと!!キー!!!」

「緑谷君と麗日ちゃん、二人並んでるの見るとほっこりするな~。後で、写真撮らせて貰えないかな?」

「いや、心のフィルムで我慢すべき。あの尊き姿を目に焼き付けるのだ」

 

 注目されてる注目されてる。パッと見た感じ、脅威になりそうな人達は殆ど居ないかなぁ。警戒するのは士傑の人達位?まぁ、連携とかされたら分かんないけど、タイマンで負ける事は無さそう。

 おや、アレは···.、

 

「居たのです!トガはラッキーなのです!!」

「そっか、トガさん仮免受験資格貰えてたんですね」

「はい!トムラ君に行ってこいって言われて来ました。あ、出久君!お茶子ちゃん!梅雨ちゃん!会えて嬉しいです!一緒に頑張りましょう!!」

「ト、ト、トガさん?!」「「ヒミコちゃん!!」」

 

 特別ヒーロー活動許可証、通称"特免"。一定期間の間、所属ヒーロー事務所の監視下においてのみ、ヒーロー活動を行える許可証。ヴィジランテや元ヴィランの更正事業の一つとしてスタートした物で、ヒーローの推薦と公安による面接や講義等を経て、無事合格すれば発行される。期間は大体一年、その間に一定の基準を満たしたと判断されれば、仮免試験の受験資格を得る事が出来る。現在では、ヴィラン連合に入社して、そこでヒーローに見出だされた人達がよく利用している制度である。

 因みに、トガさんとの仲は悪くないとは思うんだけど、トガさん曰く、雪花ちゃんはあまりそそられないとの事らしい。

 

『全員、静粛に。これより、ヒーロー仮免許取得試験の内容を説明する。私は、本会場の監督責任者を担当する公安委員会の筒美火伊那だ、レディナガンと名乗った方が分かりやすいか。よろしく頼む』

 

 壇上に、スーツ姿がビシッと決まった女性が立ち、試験内容の発表と説明が始まった。ホークスの先輩で教官だった人だっけ。

 

『一次試験の内容は、勝ち抜け演習。こちらが用意するターゲットを、体の見える部分に装着し、専用のボールを三つ目のターゲットに当てた先着500人が二次試験に挑む事が出来る。ターゲットを三つとも当てられた者は当然失格だ。通過者が500人に到達していなくとも、繰り上げはない。いいか、最後のターゲットに当てる事が出来なければ、幾つ当てようとも通過出来ない事を肝に命じておけ』

 

 2000人弱いる受験者の内、突破出来るのは1/4 の500人。合格率5割はどこ行ったのやら。ヒーロー飽和社会とか言ってるから、無駄に増やして失業されて、ヴィラン落ちされるのも面倒だから、ちょっと数絞りますって感じ?知らんけど。

 

『では、前にいる係員から、ターゲットとボールを受け取ってくれ。全員に行き渡ってから1分後に展開し、その4分後にスタートとする。スタートまでに準備出来ていない者や、ルールに反した場所に装着した者はその場で失格だ。では、君達の健闘を祈る』

 

 さて、いっちょやったりますか。

 

 

 

 




必殺技考案から仮免試験、二学期に入ってから行われたと勘違いしておりました。丸々書き直すのに疲れ申した何で勘違いしてたかなぁ。

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