「言わなくて良かったのか?イレイザー」
「···何がだ」
「しらばっくれんなよ、ウケるだろ。例のアレ、仮免試験恒例"雄英潰し"。幾らアンタが除籍しない位優秀な生徒達だとしても、一年生には厳しいんじゃないの?」
「教える必要がない」
「何だ?自分達の力量を分からせて、来年への弾みにしようってか?笑わせんじゃないのさ」
「···本当に、必要がないんだよ、アイツらには」
▼▼▼
「おうおう、私って人気者~」
商店街エリア、建物に囲まれた中央公園的な場所の中心にポツンと一人、周りをずらっと他参加者に囲まれている私。何で、私がボッチしてるのかというと、配布が終わった頃まで戻る。
説明会場が物理的に展開され、試験会場が姿を現すと、予想通りかっくんがタッタカターと単独行動、続いて焦凍もスッタカター。かっくんの方には、切島君と上鳴君が追いかけていった。
「八木さん、僕らはひとかたまりで···」
「緑谷君、私も抜けるよ」
「え?」
「雪花さん、どうして···」
「だって、一緒に行動して通過したら、絶対皆言われるよ、オールマイトの娘が居たから通過出来たんだって」
困惑気味だった皆の顔が、私の言葉に強ばる。
皆が強いのは分かってる。でも、それは皆を知っているから。知らない人からすれば、一年生で突破しました、その中にオールマイトの娘が居ました何て情報があれば、オールマイトの娘が居れば当然でしょ、みたいな印象持っても不思議じゃない。それだけ、お父さんの名前はでかすぎる。
「それに、私にもオールマイトの娘っていう見栄があるからさ。じゃあ、後で会おうね」
そうして、かっくんや焦凍が向かわなかった方向に足を向けて冒頭である。いやぁ、オールマイトの娘を倒して名を上げようって人ばっかだねぇ。300人位?漁夫の利狙いも含めると、500人をちょっと越える位かなぁ。
『仮免許取得試験第一試験、開始10秒前9、8、7、6、5、4、3、2、1、始め!!』
「「「「当たれーーー!!!!」」」」
360度、上から下から1000個近いボールが、ターゲットに光が灯った瞬間投げられる。初手は、当たればラッキー恨みっこなしって奴かい?
「···舐めるなよ」
そもそも、私に向かって"投げる"ってのが間違ってる。その程度の質量、雪の数粒で容易に止められるんだよ。私に当てたいのなら、ボール持って殴るのが一番だよ。
「よし、君に決めた」
自分に当たる軌道のボールだけをちょいっと反らしながら、二年生っぽくて、次は確実に通るだろうな~っていう人に向かって、一直線にかっ飛ぶ。
「えっ?」
「悪いけど、一抜けさせて貰うね。次頑張ってね」
両手+雪拳に一個ずつボール持って、すれ違い様にボールをターゲットに当てていく。当てられた人は呆然、周りの人達も唖然としている。
『筒美です。通過者、脱落者が出れば、私が放送によって報せる。そして、早速一名通過者が出た、脱落者も一名だ』
「ウソだろ···」
「面制圧も悪くないけどさ、逆に目標の姿を見え辛くさせる場合もあるから、気を付けた方がいいよ」
ターゲットから流れるアナウンスに従って、通過者控え室に向かう。皆、待ってるからね。
▼▼▼
「かかれーーー!!!!」
「やれーーー!!!!」
「「「うおおおおお!!!!!!」」」
「なぁ、どうするよ、爆豪」
「知るか、俺に聞くんじゃねぇ」
「な、何なのだこれはーー!!!!」
単独行動しようとした爆豪を追っかけて、高架エリアに来た俺達の目の前で、100人位の集団と30人位の集団が争っている。争ってるっていうか、俺ら(厳密には爆豪だけど)に襲いかかろうとしてくる100人から、30人が守ろうとしてくれている···のだろうか。
示威とか何とか言ってた士傑の人が、隣で膝をついてうちひしがれている。自分の個性を破られた事が、そんなにショックだったのだろうか。
「邪魔をするな!!!我らが女神!八木雪花様に、体育祭で淫らな真似をした不倶戴天の敵!爆豪勝己に我らが鉄槌を食らわせるのだーー!!!」
「ふざけるな!!爆豪氏との逢い引き、その時彼女が浮かべる笑みを見た事があるか!?あの笑顔を守る為に、我らは戦う!!奮起せよ!八木雪花応援隊!!!」
なぁ、一応仮免試験中だよなぁ。
「貴様ら!!この神聖な場を何だと心得る!!!粛清だ!!!」
「「部外者は引っ込んでいろ!!!」」
「うごあっ!!」
士傑の人が、また体を分離させて何人かにくっ付けて、サッカーボール位の歪な肉塊にした。しかし、どういう原理か分かんねぇけど、自力で肉の呪縛から全員脱出した。初手で俺もやられたけど、アレは自力でどうにか出来るもんじゃなかったけどなぁ。
「加勢した方がいいんじゃねぇか?俺ら守ろうとしてくれてる訳だし」
「そうだな、ここで見てるだけなんて男じゃねぇもんな」
「······面倒くせぇ~、さっさと終わらせんぞ」
応援隊の援護に駆け出す俺達。正直、個々の力量もさる事ながら、連携も凄まじい応援隊に援護が必要だったかは謎だったけどよ。まぁ、敵全員蹴散らして、皆通過出来たんだから良しとしよう。あ、いつの間にか、士傑の人脱落してる。
「爆豪勝己!貴様がもし、彼女を悲しませる様な真似をすれば、我らは第二の彼らになるだろう。肝に命じておけ!!」
「テメェらに言われる筋合いねぇわ!!!」
俺らは、何かアレだったけど、皆も頑張れよ。
「八木さん!俺と!!結婚を前提にお付き合いしてください!!!」
「はいっ?!」
なぁ、今仮免試験中だよなぁ!!
▼▼▼
「皆、大丈夫かなぁ」
「信じて待つだけです。ほら、今度はこれにサインしてください。さっさとしないと、皆を出迎え出来ない所か、家に帰れませんからね」
「まだそんなにあるの?!冬花さん···あの···」
「す·べ·て!!貴方のサインでなければならない書類です、オールマイト。いいから、サイン会だと思って手を動かしなさい」
「···はい」
肉倉先輩、すみません。
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