八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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第五十九話「八木雪花と仮免試験·Ⅱ」

 

 

 

 

「言わなくて良かったのか?イレイザー」

「···何がだ」

「しらばっくれんなよ、ウケるだろ。例のアレ、仮免試験恒例"雄英潰し"。幾らアンタが除籍しない位優秀な生徒達だとしても、一年生には厳しいんじゃないの?」

「教える必要がない」

「何だ?自分達の力量を分からせて、来年への弾みにしようってか?笑わせんじゃないのさ」

「···本当に、必要がないんだよ、アイツらには」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「おうおう、私って人気者~」

 

 商店街エリア、建物に囲まれた中央公園的な場所の中心にポツンと一人、周りをずらっと他参加者に囲まれている私。何で、私がボッチしてるのかというと、配布が終わった頃まで戻る。

 説明会場が物理的に展開され、試験会場が姿を現すと、予想通りかっくんがタッタカターと単独行動、続いて焦凍もスッタカター。かっくんの方には、切島君と上鳴君が追いかけていった。

 

「八木さん、僕らはひとかたまりで···」

「緑谷君、私も抜けるよ」

「え?」

「雪花さん、どうして···」

「だって、一緒に行動して通過したら、絶対皆言われるよ、オールマイトの娘が居たから通過出来たんだって」

 

 困惑気味だった皆の顔が、私の言葉に強ばる。

 皆が強いのは分かってる。でも、それは皆を知っているから。知らない人からすれば、一年生で突破しました、その中にオールマイトの娘が居ました何て情報があれば、オールマイトの娘が居れば当然でしょ、みたいな印象持っても不思議じゃない。それだけ、お父さんの名前はでかすぎる。

 

「それに、私にもオールマイトの娘っていう見栄があるからさ。じゃあ、後で会おうね」

 

 そうして、かっくんや焦凍が向かわなかった方向に足を向けて冒頭である。いやぁ、オールマイトの娘を倒して名を上げようって人ばっかだねぇ。300人位?漁夫の利狙いも含めると、500人をちょっと越える位かなぁ。

 

『仮免許取得試験第一試験、開始10秒前9、8、7、6、5、4、3、2、1、始め!!』

「「「「当たれーーー!!!!」」」」

 

 360度、上から下から1000個近いボールが、ターゲットに光が灯った瞬間投げられる。初手は、当たればラッキー恨みっこなしって奴かい?

 

「···舐めるなよ」

 

 そもそも、私に向かって"投げる"ってのが間違ってる。その程度の質量、雪の数粒で容易に止められるんだよ。私に当てたいのなら、ボール持って殴るのが一番だよ。

 

「よし、君に決めた」

 

 自分に当たる軌道のボールだけをちょいっと反らしながら、二年生っぽくて、次は確実に通るだろうな~っていう人に向かって、一直線にかっ飛ぶ。

 

「えっ?」

「悪いけど、一抜けさせて貰うね。次頑張ってね」

 

 両手+雪拳に一個ずつボール持って、すれ違い様にボールをターゲットに当てていく。当てられた人は呆然、周りの人達も唖然としている。

 

『筒美です。通過者、脱落者が出れば、私が放送によって報せる。そして、早速一名通過者が出た、脱落者も一名だ』

「ウソだろ···」

「面制圧も悪くないけどさ、逆に目標の姿を見え辛くさせる場合もあるから、気を付けた方がいいよ」

 

 ターゲットから流れるアナウンスに従って、通過者控え室に向かう。皆、待ってるからね。

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「かかれーーー!!!!」

「やれーーー!!!!」

「「「うおおおおお!!!!!!」」」

 

「なぁ、どうするよ、爆豪」

「知るか、俺に聞くんじゃねぇ」

「な、何なのだこれはーー!!!!」

 

 

 単独行動しようとした爆豪を追っかけて、高架エリアに来た俺達の目の前で、100人位の集団と30人位の集団が争っている。争ってるっていうか、俺ら(厳密には爆豪だけど)に襲いかかろうとしてくる100人から、30人が守ろうとしてくれている···のだろうか。

 示威とか何とか言ってた士傑の人が、隣で膝をついてうちひしがれている。自分の個性を破られた事が、そんなにショックだったのだろうか。

 

「邪魔をするな!!!我らが女神!八木雪花様に、体育祭で淫らな真似をした不倶戴天の敵!爆豪勝己に我らが鉄槌を食らわせるのだーー!!!」

「ふざけるな!!爆豪氏との逢い引き、その時彼女が浮かべる笑みを見た事があるか!?あの笑顔を守る為に、我らは戦う!!奮起せよ!八木雪花応援隊!!!」

 

 なぁ、一応仮免試験中だよなぁ。

 

「貴様ら!!この神聖な場を何だと心得る!!!粛清だ!!!」

「「部外者は引っ込んでいろ!!!」」

「うごあっ!!」

 

 士傑の人が、また体を分離させて何人かにくっ付けて、サッカーボール位の歪な肉塊にした。しかし、どういう原理か分かんねぇけど、自力で肉の呪縛から全員脱出した。初手で俺もやられたけど、アレは自力でどうにか出来るもんじゃなかったけどなぁ。

 

「加勢した方がいいんじゃねぇか?俺ら守ろうとしてくれてる訳だし」

「そうだな、ここで見てるだけなんて男じゃねぇもんな」

「······面倒くせぇ~、さっさと終わらせんぞ」

 

 応援隊の援護に駆け出す俺達。正直、個々の力量もさる事ながら、連携も凄まじい応援隊に援護が必要だったかは謎だったけどよ。まぁ、敵全員蹴散らして、皆通過出来たんだから良しとしよう。あ、いつの間にか、士傑の人脱落してる。

 

「爆豪勝己!貴様がもし、彼女を悲しませる様な真似をすれば、我らは第二の彼らになるだろう。肝に命じておけ!!」

「テメェらに言われる筋合いねぇわ!!!」

 

 俺らは、何かアレだったけど、皆も頑張れよ。

 

 

 

「八木さん!俺と!!結婚を前提にお付き合いしてください!!!」

「はいっ?!」

 

 なぁ、今仮免試験中だよなぁ!!

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「皆、大丈夫かなぁ」

「信じて待つだけです。ほら、今度はこれにサインしてください。さっさとしないと、皆を出迎え出来ない所か、家に帰れませんからね」

「まだそんなにあるの?!冬花さん···あの···」

「す·べ·て!!貴方のサインでなければならない書類です、オールマイト。いいから、サイン会だと思って手を動かしなさい」

「···はい」

 

 

 




肉倉先輩、すみません。

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