「出久君、どうするです?」
「デク君、どうするん?」
「ふ、ふ、二人とも、ち、近い!?」
▼▼▼
「八木雪花さん!貴女の戦い方、惚れ惚れしたっす!!繊細で緻密な個性の使用、無駄の無い動き、的確な判断力!!自分、感動したっす!!!」
「あ、ありがとう」
一人ポツンと他の通過者が来るのを待っていると、あの円陣時に乱入してきた士傑の子が入ってきた。コスチュームごっついな~何て思ってたら、スッゴい興奮した目(超純粋)でスッゴい勢いで詰め寄られ、怒涛の勢いで話しかけられた。
飯田君と切島君が、フュージョンしてSS化した感じの人だなぁ。
「え、え~っと、夜嵐イナサ君だっけ?」
「はい!夜嵐イナサっす!!覚えててくれたんすね!!」
「まぁ、焦凍が認めてた位だから···何で、雄英の推薦蹴って士傑に入ったの?」
「···自分、昔からエンデヴァーが好きなんす。エンデヴァーの訓練方法を真似て、戦い方を真似て、エンデヴァーの母校だからって雄英受けて。でも、そこであの轟焦凍に負けたっす。
そん時、「流石エンデヴァーの息子っす。俺、エンデヴァーみたいになるのが夢なんす」って言ったら、「だから、俺が勝ったのか。良かったな、親父と同じ二位で」って返されたっす」
「はあっ?!アイツ、そんな失礼な事言ったの?!」
「俺もイラっとしたっす。けど、轟焦凍の目を見て感じたっす。俺と同じで、エンデヴァーを尊敬してるし憧れてる。でも、なりたいんじゃなくて越えたいって思ってるって。だから、エンデヴァーになりたい自分から卒業する為に、自分は雄英じゃなくて、士傑に入ったんす」
「···そっか、凄いね」
「凄いのは貴女っす!!」
「うきゃっ!」
大きなグローブを着けた手で、両手を包み込む様にギュッと握られた。
「体育祭の活躍を見てから、貴女の事が頭から離れないっす!貴女の強さに惚れたっす!!さっきのを見て、ますます惚れ直したっす!!」
近い近い近い近い近い!!!圧が凄い!!!
「八木さん!俺と!!結婚を前提にお付き合いしてください!!!」
「はいっ?!」
いや、流れ的に分かってたけど。あれで気付かない程鈍くないし。でも、本当にこの場で言うんかい!!
「士傑は恋愛禁止っすけど、それでも自分の気持ちに嘘はつけないっす!!どうか、自分と!!」
「えと、あのね···」
「絶対に幸せにするっす!!!」
「いや、だからね···」
「おい、何してやがる、テメェ」
「か、かっくん···」
「何すか、今大事な所なんすけど」
いつの間にか、かっくん達が来ていた。というか、入り口の所で他の通過者達が、息を潜めて興味津々に此方を見ていた。え、もしかして全部見られてた?!
「その手、離せや、クソ野郎」
「思い出したっす、体育祭決勝で八木さんと戦って負けた人っすね」
「ちょっ!あの、夜嵐君!あのね、私ね!」
「同じ雄英生だとしても、邪魔しないでほしいっす」
「死にてぇか、テメェ」
あ、ピンに手を掛けるな!撃ったら私も危ないだろ!!ああもう!!
「夜嵐君!ごめんなさい!!」
「あ、八木さん!」
私は、仮免取りに来ただけで、修羅場なんてノーセンキューだってば。頭下げる勢いで、握られてる手を引っこ抜き、かっくんの腕を抱き締める体で、ピンに掛かっている手を外す。
「私、付き合ってる人がいるの。だから、貴方の好意は受け取れません」
「···そういうこった」
「······本当っすか···」
「うん、マジ」
▼▼▼
「女子二人を狙え!そうすりゃ、緑谷出久の動きを制限できる!!」
「少なくとも、麗日お茶子は近づかなきゃ問題ねぇ!!」
「···だそうですよ、お茶子ちゃん」
「···舐められちゃったね、ヒミコちゃん」
「あの、僕が囮に···」
「「デク·出久君は後ろに居て、ね」」
「···はい」
二人とも、笑顔なのに怖い。僕が囮になって掻き回して、二人には隙を狙って貰う作戦の筈なんですけど。
「もし見失って、巻き込んじゃったらごめんね、ヒミコちゃん」
「そしたら、後でちうちうさせて下さいね、お茶子ちゃん」
同じ位の大きさの瓦礫を掲げるお茶子さん。うん、個性を使った投石訓練に何度か付き合ったし、期末試験でオールマイトにビル投げてたもんね。お茶子さんに、肩ポンッてされたトガさんが、その瓦礫の上に乗って身構えてる。
「「じゃあ、行ってくるね·来ますね、デク·出久君」」
「······はい、お気を付けて」
「力で抑え付けちまえば!!」
「ガンヘッド·マーシャルアーツ!!」
「く、どこ行きやがった!!そういう個性か?!」
「いえ、ただの技術です」
何が起こってんだよ。体育祭の映像で、緑谷出久が要警戒人物の一人なのは分かってた。初動で、真っ先に仲間を守る行動をしたから、周囲がピンチになれば隙が出来ると判断して、一緒に居た女子二人を狙う様に指示したっていうのに。
「ヒミコちゃん、伏せて!!」
「はいです!!」
「「ごふっ!!」」
姿を消す、ヒミコとか呼ばれてるお団子頭に翻弄され、瓦礫をブン回したりブン投げたりする麗日お茶子に倒されていく。何とか攻撃しようとしても、ヒミコには避けられ、麗日には捌かれ浮かされる。
地形は悪いし、人も思ったより集められなかったけどよ、こんなに蹂躙されるなんて思わねぇだろ、緑谷出久はあっちで見てるだけなんだぞ!!俺は、太陽を遮って降ってくるコンクリートの瓦礫を見ながら、次は雄英潰しに参加しないと誓った。
「デクく~ん!ボール当てに来てー!!」
「呆気なかったですね~。態と当たって、お茶子ちゃんちうちうする予定でしたのに」
「おーい、緑谷ー!麗日ー!」
「あ、瀬呂君!!」
「うおっ!これお前らがやったのか!!」
「えっと···お茶子さんとトガさんが······」
「···俺も、おこぼれに預かっていい?」
「···うん、いいと思う」
▼▼▼
「今年は流石ね。雄英潰しで、誰一人脱落者を出さずに通過するなんて」
「オールマイトに鍛えられただけの事はありますな。殆どの生徒が、自分の力で突破している」
「その娘やエンデヴァーの息子、それに匹敵する緑谷と爆豪という存在。それらが噛み合って、より一層伸びたのよ。こちらとしても、大分有難い事だわ」
「オールマイトの引退。それが世間に公表されれば、確実に犯罪率は上がりますからな。只でさえ、今はキナ臭い匂いがしているというのに」
「これが終われば、私にも現場復帰しろとお達しが出たわ。さっさと、ヒューマライズの尻尾位は掴みたいものね」
「出来れば、オールマイトが引退する前に解決しておきたいのが本音ですな」
「同感ね。さぁ、通過枠も100人を切ったわ。二次の準備を進めて頂戴、飛田」
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「お~轟!良かった、お前も無事通過出来たんだな」
「そっちもな、瀬呂。······緑谷···何してんだ?」
「あははは···」
「轟君、あんま触れんといて···」
「真っ赤なお茶子ちゃんもカアイイですね~!」
「申し訳ありませんでしたーー!!!!」
「うおっ!···ありゃ、朝の士傑生か?」
「···何やってんだ?」
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