八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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第三話「八木雪花と合格祝い」

 

 

 

「じゃあ、開けるよ」

『HAHAHA、私が来』プツッ

「何してるの、おじさん」

「···すまない、奴の声を聞くと条件反射的に」

 

 轟家居間。入試から一週間ちょっと経った頃、それは届いた。雄英高校と書かれた豪華な封筒。中には、小型の映像投写機が一個入っているだけだった。

 推薦決めた焦凍の時は、ちゃんと書類が入ってたのに何で?と思いながら、見守る皆の前でスイッチを押した。とても聞き馴染みのある声が流れた瞬間、炎司おじさんがスイッチを切った。皆から非難の目を向けられながら、おじさんは大人しくスイッチを入れ直した。

 

『た!どうしてかって?来年から、私が雄英高校で教師を勤めるからさ、HAHAHA~。さて、待ち遠しいであろう試験の結果を発表しよう。筆記は申し分なし、実技も大活躍、文句無しの合格だ!!来なさい、雄英に。ここが、君のヒーローアカデミアだ!!』

 

 そう言って大きく手を広げた所で、映像は終わった。

 

「い~~~やった~~~~~~~~!!!!!」

「おめでとう、雪花さん」

「おめでと~、雪花」

「おめでとう、雪花」

「おめでとさん、まぁ本番はこっからだからな、雪花」

「燈矢の言う通り、まだスタートラインに立つ権利を貰っただけだ。だが、ひとまずおめでとう、雪花」

「みんな、あ゛り゛か゛と゛~~」

 

 

  ▼▼▼

 

 

 

「それでは、焦凍君雪花ちゃん雄英高校合格を祝って、カンパーイ!!!」

「「「「「「「「「「カンパーイ!!!」」」」」」」」」」

 

 バーニンさんの音頭で始まったBBQ、グラスをカチンと鳴らす音が響き渡る。大量に用意された高級肉や魚介類に野菜を見るだけでお腹一杯になりそう。いや、食べるけどね。ヒーローは体が資本だから、ダイエットなどやってられんのだよ。

 

「美味し~!重圧から解放されて食べるお肉は最高~だね~!!」

「···蕎麦、ねぇかな」

「あるわけねぇだろ、大人しく肉食っとけ。あ、てめ、俺が育てた肉盗るんじゃねぇよ」

「まだ一杯あるんだし、いいじゃんか燈矢兄。今日は焦凍と雪花ちゃんが主役なんだし」

「そうだぞ、燈矢!ほら、こっち焼けたから、ついでに野菜も食え!」

「焼き鳥もいい感じばい。ほい、焼いてばっかの冬美さんも食べんね、あーん」

「ホ、ホークスさん!あ、あ~ん」

「あらあらあらあら」

「冷、焼けたぞ。···今日位は、そっとしておいてやれ」

 

 美味しいお肉に舌鼓を打ちながら、いつもの光景を眺める。家族が揃ってる風景が、ちょっと羨ましい。一応、お母さんには連絡入れたけど、間に合えば行くとしか返ってきてない。

 

「どうした?顔が暗いぞ、後輩!!」

「わぷっ、ちょバーニンさん?!顔真っ赤!もうそんなに飲んだんですか??!」

「飲んでない!!全然飲んでない!!雪花なら大丈夫!!すぐ大きくなる!!!」

「キャッ!!揉まないで掴まないで別に悩んでない!!やめ、んっ」

 

 冬姉とかバーニンさんとか冷さんとかお母さんが大きいだけで、私は一般的に言えば美乳だわい。

 

「ちなみに、私の胸は燈矢が育てた!!」

「「ぶっ!!!」」

「いい加減にしろ、酔っ払い。人の酒勝手に飲んで、未成年にセクハラしてんじゃねぇよ」

 

 あー、燈矢さんてウワバミだもんなぁ。強めのお酒が好みだし。トムラさんやトガさん曰く、一口泥酔一杯昏睡なんだそうな。

 

「あ~、燈矢さん。挙式はお腹が目立つ前にした方がいいと思うよ?」

「んな予定はねぇよ。いいから、お前は肉食ってろ」

「こらぁあ!きょうはあんぜんびじゃないぞー!」

「「ゲホッ!ゲホッ!」」

「黙れ、馬鹿」

 

 恋人を容赦なく俵担ぎして、屋敷の中に入っていく燈矢さん。とりあえず、ごゆっくり~と手を振っておこう。因みに、飲み物を吹き出したのが炎司おじさんと夏雄さん、噎せたのが冷さんと冬姉だ。まぁ二人とも25だし、やる事ヤってる訳で、バーニンさんが「出来ちゃった!」とか言ってきてもあんま驚かないと思う。

 

「また、後輩に先越されたってピクシーボブさんが自棄酒するのかなぁ。マグ姐にメールしとこ」

「あの人、立派なヒーローだし悪い人じゃないんだけど、恋愛方面は壊滅的だもんなぁ」

「この前、マグ姐がガチ顔で「あの子、いっその事私が貰ってあげないと駄目かしら」なんて言ってた。夏雄さんの友達紹介してあげれば?」

「···流石に10歳年上はなぁ······上路さん紹介してとはよく言われる。俺よりも、親父ら世代が世話してやった方がいいだろ。あ、おかえり燈矢兄。上路さんは?」

「ベッドに縛り付けて落としてきた」

 

 少し服とか髪型が乱れた燈矢さんが帰ってきた。よく見れば、唇の色がちょっと変わってるような···。JCには刺激が強すぎますね~。

 

「燈矢君も大変だねぇ。焼き鳥食べるかい?」

「お前に言われたくねぇよ、啓吾。皮寄越せ」

 

 ホークスさんから串を受け取る燈矢さん。もう一方の手には、"秘伝エンデヴァー殺し"と書かれたラベルが貼られた酒瓶が握られている。炎司おじさんが、コップ一杯で撃沈したアルコール率ワギャン%な代物らしい。燈矢さんが、とある酒屋と協力して造ったとか、風の噂で耳にしたけど真相は闇の中である。

 

 それから、バーニンさんが復活してきたり、酔って眠気が来た冬姉がホークスさんに膝枕して貰ったり、多少のハプニングもありつつ、和気藹々とBBQを楽しんだ。大分お腹も膨れて、準備した食材も二割程度となった頃、外門のチャイムが鳴った。炎司おじさんが、やっと来たかと鼻息荒く、冷さんと一緒に出迎えに向かう。

 少しすると、炎司おじさんが一人の男性を引き連れて戻ってきた。

 V字にピンっと立った金色の前髪。鍛え上げられた筋骨粒々な肉体。真っ白い歯が輝く満面の笑み。

 

「遅くなってすまない。娘の合格祝いに私が来た!!」

「お父さん!!」

 

 私は、お父さんの胸に思いっきり飛び込んだ。

 

「改めて、おめでとう雪花。モニタールームで見てたけど、誰よりも立派だったぜ!父として、鼻が高い」

「当然、No.1と元No.4の娘で、No.2とNo.3が師匠なんだから、下手な活躍は出来ません。私は皆を超えて、てっぺんに立つんだから」

「そうだったね。だが、易々とは抜かせないぞ。心してかかって来なさい」

「そろそろ、私も混ぜて貰ってもいいかしら?」

「お母さん!」

 

 お母さんが冷さんと一緒に立っている。お母さんと冷さんは、殆どそっくりな姉妹。たれ目で優しそうなのが冷さん、つり目でクールな感じがお母さん。

 

「貴様らの分も残してある、邪魔はせん。久方ぶりの団欒を楽しめ」

「部屋も用意してあるから、ゆっくりしていってね」

「ありがとう、義兄さん姉さん」

「何焼く?タン?カルビ?ロース?ホルモン?あ、野菜もいるよね」

「こらこら、待ちなさい」

「一緒に焼きましょう、雪花。会えなかった間の事、色々聞かせてちょうだい」

「うん!」

 

 こうして、夜は更けていくのであった。




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