八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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第六十三話「八木雪花と仮免試験·Ⅶ」

 

 

 

 

『八木雪花を負けさせろ···ですか』

『ええ、そうです。二次試験中、どんな手を使っても、八木雪花をヴィランに負けさせるのです』

『しかし、それでは公平性が保てません!!』

『現場に出れば、そんなものは存在しません』

『···それをする理由は』

『第二のオールマイトを誕生させない為です』

『第二のオールマイトを···』

『ともかく、これは決定事項です。速やかに、準備に取り掛かりなさい、レディナガン』

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「ぁ······ぁ···」

「マジですげぇな。俺が満腹にさせられるなんてよ。今なら、オールマイトにだって勝てるかもなぁ」

 

 瓦礫から覗き込む先には、最初より何倍も大きくなったヴィランに捕まってグッタリしてる八百万ちゃんや八木雪花、麗日お茶子の姿がある。

 

「くそっ、手が出せねぇ」

「どうするの?ヨー君」

「せめて、あの三人だけでも救出したいんだが」

「私じゃ二擊位避けるのがやっとだよ?」

「誰か、あのデカブツを相手に出来る奴が来てくれれば···」

「そんな人···何か音しない?」

「···向こうだ。連続する爆発音?爆豪勝己か!!」

「氷も見えるし緑っぽい光も見えたよ!轟焦凍と緑谷出久だよきっと!!」

「···彼女ボコられてるのに気付いて、かっとんで来たか?」

「······ヨー君も、私があそこに居たら、来てくれる?」

「···当たり前だろ」

 

 

 

 

「止まれ!コイツらどうなっても良

「爆速ターボ·クラスター·ストライク!!!」

「噴流紫炎」

「CAROLINA SMASH!!」の゛か゛!!」

 

 迫り来る三人に、八木雪花と麗日お茶子を掲げて止めようとした活瓶だが、そんな事より解放しろと言わんばかりに、それぞれ渾身の、爆豪の蹴りが、轟の拳が、緑谷のクロスチョップが、突き刺さる。

 あまりの衝撃に、八木と麗日は手から離れ、八百万に乗っていた足は宙を浮く。

 

「引けや!!」

「うん」「ああ」

 

 爆豪が籠手を構え、背中を支える緑谷と轟がピンを引き抜く。爆音と衝撃で、会場全体が揺れる。瓦礫を撒き散らしながら転がっていく活瓶を尻目に、己がパートナーをその腕に優しく抱き上げる。

 

「お姫様を救う王子様の登場ってか?カッコいいね~。減った分の活力を、カワイ子ちゃん達でまた補充させてくれよ」

 

 瓦礫を吹き飛ばし、三人に向かって駆けてくる活瓶。轟が前に出て、氷壁を出そうと身構える。

 

「行かせるかよ!!振天動地!!!」

「ふぅきぃぃぃィィイイイイ飛べえええええ!!!」

 

 しかし、機を窺っていた真堂と、救援に駆けつけた夜嵐の攻撃が奇跡的に噛み合い、再び活瓶を瓦礫の中へと吹き飛ばす。

 

「八木さんは、無事っすか!!」

「当たり前だろうが。おい、クソ風野郎」

「ムッ、自分は夜嵐イナサっす!人の名前もちゃんと呼べないっすか!やっぱり、そんな人に八木さ「雪花を任せる」···はっ?」

「夜嵐、百を頼む」

「お茶子さんを、安全な場所に」

「テメェに託すの癪だが、こん中で一番安全かつ確実に運べるのはテメェだ。だから、今だけはテメェに託す」

「···分かったっす。お三方は、自分が必ず安全な場所にお連れするっす!!」

「悪いが、畳も一緒に頼む」

「おいおい、カワイ子ちゃん連れてくとか止めてくれよ。まだ触り足りないってのに」

「っつあ!!今だ、行け!!」

「任せるっす!!」

 

 轟の氷壁で足止めした瞬間、夜嵐が女性陣を風に乗せて飛んでいく。

 

「これで、何の憂いもなく、あのクソヴィランをヤれるって訳だ」

「今回ばかりは、かっちゃんに同意だよ」

「悪いが、お前らの分は残らないかもしんねぇぞ」

「カワイ子ちゃん居ねぇのかよ。仕方ねぇ、この力だけでも存分に堪能するとしようか」

 

 氷壁を打ち砕き、周りを見渡して女性陣の姿が無い事に落ち込む活瓶であったが、気を取り直して拳を握り、やる気ならぬヤル気に満ちた爆豪·緑谷·轟に向かって構える。

 

「さぁ、来いよ。お前らの女から存分に頂いたからな、そのお礼をお前らにしてやるよ」

 

 

 

 

「幾らでかくなってスピードとパワーが上がったからって、No.1やNo.2程じゃねぇんだよ!!」

 

 雪花の体は、平常では考えられない熱さを持っていた。その割に、汗が全く無かった。

 エンデヴァー曰く、雪花を倒すのなら、雪を作れない程の高温か、雪を作る為の水分を無くしたフィールドを用意するのが一番だと。その上で、雪花が退けないよう動けない味方を用意し、肉弾戦をするには不利な個性持ちをぶつけるのだと。

 そんな状況が、偶然起こる訳がねぇ。この試験において、雪花一人を狙った対策が施されてやがったんだ。そう考えると、俺らの前にジェントル·クリミナルが現れたのも偶然じゃねぇ。

 

「合わせろ、出久、轟!!A.P.ショット!!」

「DELAWARE SMASH!!」

「ジェットバーン!」

「ぬぐおっ!猪口才なぁあ!!」

 

 アイツに敗北の味を覚えさせる、なんて理由で仕組まれた訳じゃねぇだろうがよ、ふざけてんじゃねぇぞ。

 

「上からぶっ叩け、冷炎白刃」

「MANCHESTER SMASH!!」

「ハウザーインパクト!!」

「ごっ!ぬがあああ!!」

 

 オールマイトの後継者として相応しいか見たかったのか?成り得るか見たかったのか?

 

「穿天翔壁!爆豪」

「堕ちろや!エクスカタパルト!!出久!!」

「DETROIT SMASH!!」

「ごばっ!!!」

 

 アイツが、自分で背負うのは仕方ねぇよ。アイツごと、俺が背負ってやりゃ良いだけだからな。でもよ、テメェらが勝手に背負わせてんじゃねぇよ。アイツは、平和に馬鹿やって、騒いで、はしゃいで、

 

「俺の側で笑ってりゃ良いんだよ!!ヘイルクラスター!!!」

「がばばばばば···がふっ···」

 

 

 

 不味い。まさか、この三人がここまで強いとは想定外。いや、体育祭の映像や乱波達の話から、出来る方だと思ってたよ。でも、ここまでとは思わないじゃん!

 若頭から、"八木雪花を倒す"事さえ達成すれば、今日は何をしても良いって言われたから、ちょ~っと趣味に走っちゃったけどさ~。マジで、カワイ子ちゃん達の活力無かったらお陀仏してるよ。いや、カワイ子ちゃん達の活力があるから、気絶出来ずに地獄の苦しみが続いているのだけど。

 もうちょっと容赦してほしいな~。

 

「ちっ、アレでも倒れねぇのかよ」

「流石に、30%だと体が···」

「俺も、もう燐を維持出来ねぇな」

 

 お、もしかしてスーパーモードの時間切れ?轟焦凍君何て、髪の毛凄い事になってたから、一瞬誰か分かんなかったもんね。俺にも勝機が···影?

 

 

 

「シュガーラッシュ!!」

「オクトブロー!!」

「烈怒頑斗裂屠!!」

「レシプロターボ!!」

「尾空旋舞!!」

「深淵闇躯!!」

「ごっは!!!」

「三人だけで始めるとか、ウチらも混ぜてよ」

「そうだそうだー!」

「雪花に言われて、救助と避難終わらせて来たんだから、私達の出番も残しといて貰わなきゃ」

「ケロ、こう見えて、私とても怒ってるの、ケロ」

「出久君、お茶子ちゃん達虐めたの、アイツでいいんですよね?」

「皆!!」

「けっ、遅いんだよモブ共」

「そう言うなって、爆豪のかっちゃん。これでも、皆すぐに駆けつけたいの我慢して、やる事やってから来たんだから」

「鶏冠に来てんのはお前らだけじゃねぇって事さ」

「(コクコク)」

「夜嵐イナサ!無事送り届けて戻って来たっすよ!!」

「すまねぇ、感謝する」

 

「······質問なんだけどよ~、降参て選択肢は用意されてるかい?」

 

「「「あるわけないだろ」」」

「ですよね~」

「行くぞ、ヴィラン退治だ」

 

 

 ぴんぽ~ん

『救助者全員の避難を確認。これにて、仮免許取得試験二次試験を終了します。受験者は、コスチュームを着替えて、30分後に集合してください』

 

「「「「はぁああああ!!!!」」」」

「た、助かった~~」

 

 

 

 

 

 




ヘイルクラスター:汗の粒を目標に飛ばして張り付かせ、粒の中にある細かな汗を爆発させて攻撃する技。爆発に、より指向性を持たせてあるので、広範囲攻撃というより高威力の連続攻撃。0距離なので威力減衰も無い。

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