「···ん······んん···」
「あ、目が覚めた?お茶子さん」
「お茶子ちゃん、お目覚めです!」
「······ひみこちゃん···でくくん?······ふぇっ!!」
誰かがほっぺたをツンツンする感触に、麗日お茶子の重い瞼が上がる。視界一杯に、満面の笑みを浮かべる渡我被身子の顔が映る。横を向くと、安心した顔で覗き込んでくる緑谷出久の顔が、思ったよりも至近距離にあり、それに驚いて、ボーッとしていた意識が一気に覚醒した。そして、自身が今、どういう体勢をしているのか自覚した。
お尻に敷いた出久の足、後ろから抱き締めるように回された出久の腕、頭と背中に感じる逞しい出久の胸。自分が、胡座をかく出久の足の上に座らされている事に。
反射的に出久の顔とは反対方向に顔を向けたら、隣で、横抱き状態で轟焦凍の膝の上に座り、轟の胸に顔を預けて眠る八百万百の姿が目に入った。何となく、顔を戻して出久の顔の向こうを覗くと、そこには百と同じ様に、爆豪勝己の膝の上に、横抱き状態で座り眠る八木雪花の姿があった。
「······デク君、どういう状況なん?」
「···えっと······治療を終えたお茶子さん達は、治療室のベッドで横になってたんだけど、そこにあの人も治療されて寝ててさ」
「あの人?」
「お茶子さん達が戦ってたヴィラン役の人。それに気付いたかっちゃんと轟君が、"こんな所に置いとけるかよ"って二人を抱き上げて連れ出しちゃってさ。治療自体は終わってるし、後は目を覚ますのを待つだけって話だったから、僕も、お茶子さんを残していくのは嫌だったし、かといって他に部屋はなくて、まぁこういう感じに···。今は、合否の発表待ちかな」
「···なるほど?」
「安心しきったお茶子ちゃんの寝顔、カアイかったですよ」
「ちょ、ヒミコちゃんやめて!って、ここにいる皆に見られたって事!?めっちゃハズいんやけど···」
「照れてるお茶子ちゃんは益々カアイイです!」
「見んといてーー!!」
「んん······はっ!······しょうと···さん?」
「起きたか、百」
「オメェもそろそろ目ぇ覚ませや、雪花」
「んがっ······あとごふん···あでっ!!いったーー!!!」
▼▼▼
『受験生の皆、お待たせした。では、これより仮免許取得試験の合格者を発表する。受験生の皆は、正面にある機械に受験票を通してくれ。そうすれば、今試験の総評が書かれた物の入った封筒が出てくる。その中に、仮免許が封入されていた者が合格、入っていない者は不合格だ。尚、総評等を読んで判定に不服がある者は、各々の責任者を通して一週間以内に不服届けを提出する様に。ここで騒いでも、何も変わらんと理解しておけ。私からは以上だ。封筒を受け取った者から退出し、解散する様に』
▼▼▼
「取り敢えず、皆ご苦労だった。まずは、俺に結果を教えてくれ」
朝、円陣を組んだ所に集合した私達。
相澤先生を前にして、皆でアイコンタクトをしあい、飯田君が一歩前に出る。
「はい!この度の仮免許取得試験、僕達雄英高校一年A組!誰一人欠けることなく合格致しました!!これも、先生方の日頃のご教授のお陰です!!」
全員で、ヒーロー活動許可仮免許を相澤先生に向けて掲げてみせる。
いや~、ヴィラン役にやられちゃったから、内心落ちたんじゃないかとビックビクだったけど、そこは色々と考慮してくれてはいた。総評には、今度から単独ではなく自身の不利を解消出来る仲間と一緒に行きましょう、あの状況で取り乱さずよく頑張りました的な事が書かれてた。あ、点数としては76点でした。
かっくんも、言葉遣いを注意されてはいたけど、行動自体はほぼ完璧だったので89点との事。10点差付けられたのは悔しい。
「···ふぅ。いつもなら、これに驕らず等と釘を刺す所だが、それは新学期に取っておく。よくやった、お前達。俺の、俺達の自慢の生徒だ」
相澤先生が、今まで見た事ない位穏やかな笑みを浮かべた。私、三奈、透が真顔のまま、神速の動きで携帯を取り出し、カメラを起動して連写する。
「おい、何してる···」
「いえ、とても貴重でしたので思わず。取り敢えず、13号先生とミッドナイト先生とピクシーボブに送っておきますね」
「やめろ、何だその人選は」
「···何となく。大穴ミッドナイト先生、本命13号先生、お情けピクシーボブです」
「何の本命だ、まったく。全員バスに乗れ」
「「「「はい!」」」」
「八木さん!!」
「はえ?」
名前を呼ばれて振り返ると、夜嵐君が立っていた。
「夜嵐君。夜嵐君も、助けに駆けつけてくれたんだってね。ありがとね、夜嵐君」
「いえ、自分は目の前の事に必死で、本当なら、真っ先に気付いて真っ先に駆けつけたかったっす!だから、もっともっと鍛えて、爆豪勝己よりも自分の方が良いって思って貰えるよう頑張るっす!!」
「あ゛あ゛!!何言っ「爆豪、今は抑えろ」放せクソ髪!!」
「そっか、思いに答えてあげられるかは分からないけど、頑張ってね」
「はい!!では、雄英の皆さん!!今度はプロの現場で会いましょうっす!!!」
そう言って、また地面に叩きつける位頭を下げて、他の士傑生のいる所へ駆けていく夜嵐君。まぁ、かっくんがよっぽどやらかしたら、考えてあげようかな。
「出久くーん!お茶子ちゃーん!梅雨ちゃーん!私、合格したのです!!今度、事務所に遊びに来て欲しいです!!では、またなのでーす!!!」
「おめでとー!トガさーん!!」
「またねー!ヒミコちゃーん!!」
「その時は、ゆっくりおしゃべりしましょー!ヒミコちゃん!!」
あっちはあっちで、仮免許を掲げてブンブン手を振るトガさんに、手を振り返すお茶子達。
「おーいイレイザー。全員合格とは凄いね~。今度、ウチと合同訓練してくれよ。後、結婚しようぜ」
「···学校に提案しておく。それと、結婚はしない」
「しないのかよ、ウケる!!じゃあな、訓練の件、よろしく頼むな~!!」
「はぁ···」
「···あの人に、さっきの写真見せに行っていいですか?」
「除籍されたいならな」
こうして、私達はまた新たな一歩を踏み出したのであった。
「雪花達、どうなったかなあ?!大丈夫かな?!落ちたりしてないかな!!?」
「いいから、貴方はさっさとサインする!!」
「···はい。あ、合格祝いにどこか美味しい料理屋に予約を」
「次手を止めたら、出迎えは私一人でしますよ」
「(´・ω・`)ショボーン」
▼▼▼
「な、な、な、な、な、何なんですかこの写真はぁぁぁあああああああ!!!!!!!!!」
「いきなりどうしたの!?13号!?!」
「ほ、ほ、保存して!あ、パソコンにも転送して!!そうだ、現像!コルクボード買わなきゃ!あ、額の方が!!」
「···とりあえず、落ち着きなさい」
仮免試験無事?終了。
さて、ライジングをやるのか、WHMをどこに入れ込むのか、本格的に悩まなければならなくなった。
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