「今日から普通の授業再開だが、その前に、皆無事仮免を取得したという事で、インターンについて説明しようと思う」
そう言って、プリント片手に説明を始める相澤先生。
インターンシップ。職場体験と違い、こっちから働かせて下さいと頼んで、事務所所属のヒーローとしてヒーロー活動をする、職場体験の一歩先に進んだ物。
このインターンで、どれだけ横の繋がりや実績を積めるかで、デビューした時に差が出るというのは耳にした事がある。
「やるかやらないかは、お前達の任意だ。ヒーロー側が、受け入れるかどうかもある。それに、仮免を取ったからと言っても、お前達はまだ一年生だ。学ばなければならない事が、まだまだ沢山ある。二年や三年の様に、インターン優先という訳にはいかない、という事も理解しておけ」
「それでは、何か制約があるという事でしょうか?」
「ああ、そういう事だ。まず、依頼できるヒーロー事務所は、一定のインターン実績を持つ事務所である事。平日のインターンは、原則その週で一日のみ。インターンに行った者は、中間期末とは別に、定期的にテストを受けて貰い、赤点を取ればその学期中はインターン禁止となる」
あくまで、学業優先て事ですな。インターン受けたいなら、自身の責任において学業との両立をしろと。
「より詳しい事は、今日のヒーロー基礎学でまた話す。待たせたな、マイク。ああ、日々の授業態度もインターンの可否に繋がるからな」
そう言い残して、プレゼントマイク先生と入れ替わりで、教室を後にする相澤先生。さて、私はどうしましょうかねぇ。
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「改めて、久しぶりね、雪花、緑谷君、麗日さん。仮免合格、おめでとう」
「ありがと、メリ姉。しっかし、まさかこっちで再会するとは思ってもみなかったよ」
「私もよ。まさか、パパと一緒に島の外へ出られるとは思ってなかったわ」
お昼休み、大勢で押し掛けてもアレなので、クラスを代表して私·お茶子·緑谷君の三人で、メリ姉の所に、ランチラッシュのお弁当待ってやってきた。
まぁ、サポート科を中心に沢山の人が来てたけど、そこは、メリ姉がやんわり断ってくれた。因みに、発目さんは飯田君が回収してった。
「ああそうだわ!雪花から聞いたんだけど、緑谷君と麗日さん、お付き合いする事になったのよね!」
「え?!え、あ、えと···」
「はい、デク君と恋人になりました」
「お、お茶子さん!!」
緑谷君の左腕に、ガシッと抱きつくお茶子。皆に、キスシーンまで見られて吹っ切れたのか、周りの目を気にせず、公序良俗を守った上でイチャイチャする様になって、純真だった頃のお茶子を返せーー!!
「ふふ、末永くお幸せにね。雪花も、島で一緒に居た子がボーイフレンドになったのよね?皆に、先を越されちゃったわ」
「メリ姉だって、好い人が現れるよ。こう、ビビっとくる人がさ」
「期待しておくわ。で、お祝いって訳じゃないんだけど、これを緑谷君に使って欲しいの。私が開発中のサポートアイテムなんだけど」
そう言って、机に置いてあるケースから、右手用のグローブを取り出して、緑谷君に差し出すメリ姉。
「着けてみて」
「あ、はい」
緑谷君がグローブを嵌めると、バンテージみたいなのが出てきて、肘上辺りまでをピッチリ覆う。
「おお~、カッチョいい!」
「仮名でフルガントレットって呼んでるの。マイトおじさまの全力を、五回まで耐えうる代物よ」
「オールマイトの全力を···。そんな物を、僕が使っても良いんですか!?」
「まだ、詳細を明かせない技術も使ってるから、信頼出来る人じゃないと頼めないの。その上で、それの限界を超えるパワーを出せる人って言ったら、緑谷君しか居ないから。因みに、マイトおじさまからの推薦よ、緑谷少年に是非って」
「オールマイトが···、僕、頑張ります!!」
「はい、じゃあ契約書。守秘義務にも関わるから、よく読んでサインしてね。使用したら、レポートもお願いね。壊れても構わないから、ドンドン使ってあげて」
「はい!!」
いいなぁ~、私もメリ姉に何か作って貰おうかな~。
「そういえば、メリ姉やデイヴさんは、いつまでこっちにいるの?」
「ん~、あっち次第何だけど、長くても今年度一杯かしら。もしかしたら、こっちで卒業式するかもしれないわ。だから、休みの日は、色んな所を案内して欲しいわ」
「OKOK、この雪花ちゃんにお任せあれ!」
その後は、休憩終わりギリギリまで、他愛ない話で盛り上がったのでした。
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「自棄酒猫、雲を掴む」
「んぐっんぐっんぐっ、うがあああああ!!!おかわり!!!」
「···今日は、いつも以上に荒れてるね。何かあったの?流子ちゃん」
「マスターだって回ってきたんでしょ、あの写真」
「写真?···ああ、消太が担任してるクラスの子が、無事に告白を成功させた奴の事?」
「そうよ!!しかも、ご丁寧に"貴女にも、幸せが訪れます様に"って煽り文句まで添えてぇ~、今度という今度は許さないからね、雪花ぁああ!!」
「明日は仕事?」
「オフだからこうやって自棄酒してんでしょうが!ほら、次のお酒持ってこーい!!」
「悪いけど、今日はもう店仕舞い」
「ええ~、何でよ~~!!!」
「この前、流子ちゃんがしこたま飲んだ所為で、お店のお酒在庫はすっからかんだから」
「まだ飲み足りないーー!!信乃は洸汰んとこだし、柔と知子は旅行だし、帰っても一人なのーー!!寂しいのーー!!」
「はぁ···家に、消太達から貰った結構良いワインで、そろそろ飲み頃の奴があるから、それ飲みに来なよ」
「···え?」
「どうせ、またぶっ倒れるまで飲むんだろ?せめて、酔い潰れるなら俺の前だけにしてよ。被害者は俺一人で十分」
「どういう意味よーー!!」
「分かんないならそれでいい。ほら、片付けだけしてくるから、外で待ってて」
「早くこないと、他所行っちゃうからね」
「はいはい、分かってますよ」
翌日。
二日酔いによる頭痛と、下腹部の鈍い痛みによって目が覚めた土川流子が、自分が一糸纏わぬ姿で、これまた何もその身に纏っていない白雲朧と抱き合って、ベッドの上で横になっているのに気付いて悲鳴をあげるまで、後17分である。
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